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納谷建築設計事務所×HOWS Renovation《井の頭の家》内覧会

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(株)リビタが企画・事業主である武蔵野、井の頭の上水沿いに建つ《井の頭の家》を見学。
1984年(昭和59)に竣工した戸建て物件をリビタが取得し、納谷学氏と新氏が共同代表を務める納谷建築設計事務所を設計管理のパートナーに迎え、リノベーションしたもの。

この《井の頭の家》は、リビタが立ち上げた戸建てリノベーション事業「HOWS Renovation」が世に送り出す6つめの作品。同社はさらに12の戸建て中古物件を購入済みで、同様のリノベ・プロジェクトを進行中(会場配布物:ReBITA ニュースリリースより)

上水沿いの遊歩道から1階分下がった土地。緑はすぐ目の前。見学時は夕刻だったので、以降の画はやや暗いが、ロケーションは素晴らしい。
出入りは反対の道路側から。縦列で車が2台停められる長いアプローチ。奥まったところにあった門扉を取り払い、見通しを良くした。ドアの手前の緑はハナミズキ。
ここ数年は空家になっていた物件を、リビタが取得したのは昨年の秋。建物検査、構造検証など必要な段階を経て、約4ヶ月かけて改修した。1階はRC造、その上は木造の2階建て。建物面積は147.31平米。
改修前は、小さな玄関と廊下、2階に上がる階段室だった空間は、奥まで続く長い土間に。例えばマウンテンバイクを数台停められる余裕がある。
土間空間の突き当たりから内部の眺め。突き当たりが上水側。急勾配の崖地になっている庭に、桜、白樫、山椒の木が植わっている。
ところどころで部屋などが出っ張り、斜めの壁もある変形の家。1階の中央部分は元から吹き抜けで、4面を壁とサッシとで囲い、当初はサンルームとして設計されたと思われる。
「かなり個性の強い家で、そのままでは住まい手が限定されてしまうと感じました。先ずはニュートラルな状態へと要素をそぎ落としながら、住宅のような、別荘なような、その中間的な空間を全体で目指しました。それから、あちらこちらに人の"居場所"を用意しています」納谷建築設計事務所納谷新氏 談)
事業主であるリビタとしても、住まい手の移り変わり、ライフスタイルや家族構成の変化によって、住宅が単なる消費材に陥るという悪循環から脱却し、社会資産となるようなリノベーション住宅を求めた。○○室という名称と用途を最初から押し付けず、例えば玄関の土間のように、空間に「余白」をもたせている。コンセプトは「自ら丁寧に手を入れる暮らし」。
このコンセプトに基づき、1,2階は共にいたって緩やかに仕切られている。1階にはRC壁が残り、引き戸の扉で閉じることもできるが、開け放てば1室空間に近い(オフィスとしても使えるのではないかという印象)
上の画・見上げた正面の窓と、階段出入口は新たに開けた。サッシも全て交換している。
前述した通り、この吹き抜けは以前、四方を壁とサッシに囲まれ、1-2階を結ぶ階段もフロアの隅にあった。
階段を上がったところから、吹き抜けを挟んで、上水の緑に面したバルコニーの眺め。
2階 キッチン、ダイニング、リビングとして使える大空間。壁と天井は断熱改修済みの上から構造用合板で仕上げ。床材はロシアンバーチ。「耐久性があり、表面も通常のラーチ材と違ってささくれだっていないので、裸足で歩いても優しい弾力性が感じられるのが気に入っている」と納谷さん。近く竣工予定の幼稚園《昭和こども園》でも、主な床材として採用しているとのこと。
天井の上は片流れの屋根。"リビング"の側(下の画)のみ踏襲し、キッチンが置かれた側は切妻としている。約21畳という"がらんどう"の空間が単調になってしまうのを避けるためと、緩やかに居場所をつくってあげている。
"リビング"の側の天井には間接照明も仕込まれ、夕方以降は雰囲気たっぷり。
テーブルの上に広げられた、リノベーション前と工事中の様子がうかがえる記録写真の数々。
造作のキッチンが設置された辺りはが、改修前は階段室だったところ。厨房機器はガスではなく最新のIH。カウンターの下は使い勝手を住まい手に任せて"がらんどう"に。
水まわりは吹き抜けを挟んだ反対側の1室に集約。この据置式浴槽は初めて見た。
横に長い洗面台と、トイレ、腰壁の向こうが洗濯機パンという配置。見学者のひとりが「ウチ(のワンルームアパート)と同じくらいかも」と冗談混じりに言い表していたくらいに広い。納谷さんいわく、「別にここで本を読んだり、音楽を聴いたり、好きに過ごして欲しい。言い換えれば、本を読みふけっていた場所がたまたまトイレだった、という具合に」。
水まわり空間からは外のバルコニーに出られる。上水の緑はすぐ目の前。ウォーキングや犬の散歩を楽しむ人々が往来する遊歩道のレベルとほぼ同じなので、リノベ前は厚い腰壁が回っていたが、黒いフェンスに変えて、豊かな緑を内側に引き込んだ。逆に、網フェンスだった敷地境界線の柵は木製に変えて目隠しに。
バルコニーは前述のリビングとも繋がっている。新たに敷設したデッキの材はレッドシダー。吹き抜け空間を挟んだ室内の床もレッドシダー。貼りの方向を同じに揃えて、外と内の空間に連続性をもたせている。
納谷建築設計事務所×ReBITA《井の頭の家》は分譲物件。価格など詳細は、リビタによる「HOWS Renovation Lab.」サイトのページほかにリンクを張る。

参考:Rebitaによる納谷新氏へのインタビュー「部屋名のない居場所を楽しむ!」01,02
http://hows-renovation.com/partners/inokashira_001/


吹き抜け空間のガラスを覆うように、緑の葉と枝を広げた桜の木。都内でも有数の桜の名所たる恩師公園が徒歩圏内だが、混雑と喧噪と無縁の花見が毎春楽しめるだろう。

なお、リビタはこの内覧会の2日前、新たに「シェア型複合ホテル」プロジェクトを全国展開すると発表しており、こちらも注目される(ReBITA ニュースリリース




+飲食のメモ。
蝉が大合唱している公園を抜け、吉祥寺駅方面へ。丸井吉祥寺1階にオープンした「BUON'AMORE(ブオン・アモーレ)」でひと休み。

砂糖不使用ながらしっかり濃厚なジェラートと、豊富なドライフルーツを中心としたグラノーラの専門店。一番人気という「ハニーラテ」に、店頭のベンチなどですぐ食べる場合のみ無料でつく、4種類から選べるフルーツ・グラノーラと、5種類のソースから、黒蜜とビューティクランチなるトッピングをかけていただく(350円+消費税)
合う。正解。美味っしい。
ごちそうさまでした。

BUON'AMORE(ブオン・アモーレ)
http://buon-amore.com/

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