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tupera tupera「イラストレーションの世界」@ムサビ gFAL

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小平市にある武蔵野美術大学で開催中の「tupera tuperaイラストレーションの世界展ILLUSTRATION WORKS」を観る。
会場はムサビ校内、2号館1階にあるギャラリーgFAL(ジーファル)

tupera tupera(ツペラ ツペラ)の創作活動の基本は、紙を切って貼ってつくりあげるいわゆる"切り絵"である。イラストレーター、絵本作家、NHK Eテレ番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクター、近年では舞台美術や映像の分野にも活動の場を拡げ、呼称はいろいろ。ワークショップも各地で数多くこなしている。
のっけに会場入口の扉、その並びのガラス壁面に貼られた切り絵作品が来場者を迎える(後で聞いたところによると、設営中に追加の装飾を思いつき、学内の世界堂でカッティングシートを購入、その場で切り貼りしたとのこと)。これらの絵の大元は、記帳台に閲覧用に置かれている著書『Pooka+ How to play? tupera tuperaのあそびかた』(2012,学研教育出版)の表4と表1。表1の二人の肖像画は公式TwitterFBにも使われている。原画の切り絵も展示されているので、before/after も比較できる。
tupera tuperaは亀山達矢氏と中川敦子氏によるユニット。前述の著書および公式サイト記載のプロフィールをまとめると、二人が出逢ったのは美大専門予備校に通っていた頃。1976年生まれの亀山氏は武蔵野美術大学短期大学部(当時)のグラフィックから学部の油絵学科に編入して版画を専攻。78年生まれの中川氏は多摩美術大学で染織デザインを学ぶ。2003年に初めて二人で共作し、オリジナルのマフラーを展示販売したのが活動の原点。翌年にユニット名を tupera tupera とする。
今回出展されているのは、広告のビジュアル、書籍の表紙や挿画、CDのジャケット、Tシャツなどで展開されてきたイラストレーションの原画の数々(平台に置かれているのは絵本の現物展示、閲覧可)。前述書籍に制作場面の一端が紹介されているが、使用するのは市販のタント紙のほか、ふだんから収集に努めているというさまざまな種類の紙。さらに上から色を塗るなど手を加えたり、作品にあわせてオリジナルの素材をイチから作っていく。ふだん我々が目にすることのないこれらの原画には、プロの技が濃密に詰まっている。但し、近寄ってみても、切り絵だと俄にわからないほどの超微細な仕事である。
左側の2点、プラネタリウム番組アートワーク「ぼくとクジラのものがたり」(2009,山梨県立科学館)、シルクスクリーン「ANIMALCIRCUS」(2009)
切り絵による原画がどのようにビジュアル化されれたのか、キャプションで確認できる。
下:宇野千代著『生きていく私』および佐藤愛子著『こんな言い方もある』(2009,角川書店)
上:田辺聖子『光源氏ものがたり』(2009,角川書店)
これらの書籍やCDを実際に手にしたり、街中に貼られたポスターや車内の吊り広告などで会場内のビジュアルを目にしたことがある人も多いのでは。
中央の3点:教科書挿画「中学国語1,2,3」(2012,池村書店)
見切れている左端:「東急百貨店 クリスマス」(2010)
同右:コラボレーション企画アートワーク,トートバックやYシャツなどで展開「PETIT BATEAU」(2011)
2013年のイベント「もみじ市 カラフル!」のメインビジュアルとして使われたイラストレーションの原画(註.切り貼りのニュアンスが判るように作品の一部を接写しています/作家諒承済)
壁の絵本作品は海外翻訳版。『しろくまのパンツ』はカタルーニャ語を含む8つの言葉に訳されている。台湾版と韓国版が出ている『パンダ銭湯』はシュールで「むふふ」と笑えるストーリー。国内の書店員が選ぶ数々の賞に輝いている。
絵本作家としてのデビューは2004年。自費出版で1,000部限定で刷った『木がずらり』(上の画、左下。但し会場の書籍は後年出版されたカバー付きのもの)、両面をフルに使える蛇腹ページならではの構成。
これら絵本のうち、『うんこしりとり』(2013,白泉社)を作家自ら子どもらに読み聞かせる場に居合わせたことがあるが、いつもは口にすると親にたしなめられるキーワードを、何ら憚りなく、嬉しそうに連呼する子らの姿は実に微笑ましく、同時にオトナの価値観がアッサリと突き崩された(下の画はそのイベント会場にて、校内2号館のトイレではありません)

会場のgFALは、ムサビ卒業生を中心とした若手作家の作品発表および情報発信の場として2002年に発足、2008年に2号館が建て直されたのを機に1階にスペースが設けられた。
この日は校門脇の守衛室にひと声かけたが、何ら支障なく、誰でも観賞できる。

tupera tupera「イラストレーションの世界 ILLUSTRATION WORKS」の会期は10月2日まで。休廊は日曜祝日、開廊は11-17時、入場無料。

武蔵野美術大学 gFAL(gallery of The Fine Art Laboratory)
www.musabi.ac.jp/topics/exhibition/gfal/




+飲食のメモ。
会場隣りの4号館1階の売店[ブーランジェリーエミュウ 武蔵野美術大学店(Boulangerie EMU)]にて、ホットコーヒー(¥100)と総菜パンを購入。鷹の台駅前の[しょう'sベーカリ]で予め買っておいたデニッシュ類とともにテラス席でいただく。

[エミュウ 武蔵野美術大学店]の「フライドフィッシュのコッペパン」(¥240+消費税)は購買感あふれるキャベツの盛り。

駅前「しょう'sベーカリー」の菓子パン(合計で¥515)はアーモンドクリームデニッシュと抹茶大納言デニッシュがたいそう美味しく、復路も立ち寄り、閉店直前のセット売りをゲット(食パン3枚+クロワッサン+デニッシュ=1袋 ¥450)

[しょう'sベーカリー]は今年でオープン5年め(ホームページやFBは開設していないとのこと)。鷹の台駅の改札を出て、線路に沿って左手に進むと、すぐ右側に看板が見える。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
現役生がうらやましい。

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