西麻布のGALLERY le bain(ギャラリー ル・ベイン)で20日から開催されている企画展、内田 繁「装飾の今日」へ。23日の夜に開催されたレセプションは大盛況。
事務所の内田デザイン研究所の現所員および元所員、関係者らに囲まれ、にこやかに挨拶される内田繁氏。右と左の両隣は、本展に内田氏と共同製作した作品を出展したおふたり。テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏と、ガラス工芸作家の林久美子氏。
内田氏の発言を以下に要約する。
「近代モダニズムの時代に、我々は失ったものがいくつかある。なかでも、巨匠と呼ばれるミースやグロピウスらによって、装飾を罪悪とみなして否定するかのような考え方が流布されたが、そうではないのだということを、『装飾の今日』と名付けた今回の展覧会で示したい。来場者には“人間のための装飾”とは何かをぜひとも考えてほしい」。
「近代モダニズムの時代に、我々は失ったものがいくつかある。なかでも、巨匠と呼ばれるミースやグロピウスらによって、装飾を罪悪とみなして否定するかのような考え方が流布されたが、そうではないのだということを、『装飾の今日』と名付けた今回の展覧会で示したい。来場者には“人間のための装飾”とは何かをぜひとも考えてほしい」。
新作の大テーブル「LAND TABLE "AOMORI"」。床につくる影まで綺麗なこのテーブルとセットでデザインされたスツールに腰掛け、終始笑顔で来場者に応対する内田氏。
元になっているのは、内田氏が1978年にデザインし、西麻布にあった飲食店「プロント」で使われていた、イタリア半島のかたちをデフォルメしたカウンター(下の画)。
元になっているのは、内田氏が1978年にデザインし、西麻布にあった飲食店「プロント」で使われていた、イタリア半島のかたちをデフォルメしたカウンター(下の画)。
さらに大元は、小笠原諸島の父島の等高線を切り取り、それを積層したスリットを利用した照明器具「ISLAND」。デザインは1975年。
今回の新作3作品もかなり苦労してラインをとり、かたちを決めていったそうなので、40年前ともなれば、相当の困難を伴ったと推察される(上の画像2点共に提供:内田デザイン研究所)。
「評判が良かったので、今回は青森県のテーブルと、もう2種類を新たにつくった(註.うち2点は売約済み)。依頼があればなんでも作ります」と自ら営業する内田デザイン研究所所長に、満場の聴衆は思わず大笑い。
「評判が良かったので、今回は青森県のテーブルと、もう2種類を新たにつくった(註.うち2点は売約済み)。依頼があればなんでも作ります」と自ら営業する内田デザイン研究所所長に、満場の聴衆は思わず大笑い。
「LAND TABLE "AOMORI"」のサイズは実際の1/62500の縮尺。テーブル本体は合板にウレタン塗装。見た目の美しさ、運搬、製造などさまざまな要因により、地図上の境界線で2分割されたデザインに。2枚あわせて約100kgという天板を、19本のステンレスパイプの脚が支える。
赤いテーブル:内田 繁「Land table "Aizuwakamatsu Inawashiro Koriyama"」(実際のおよそ1/43400)
緑のテーブル:内田 繁「Land table "Shonan Keihin"」( 実際のおよそ1/43400)
壁に掛かっている作品は、本展のために鈴木マサル氏が自身のブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」のテキスタイルからトリミングした「テキスタイルパネル」。上の画は1枚にみえるが、実は20枚のパネルを構成したもの。計38点ある鈴木作品を含めて、「できるだけ多くの人に買える機会を」との内田氏の願いから、出展作品は会期中に限り展覧会特別価格で販売(非売品、売約済みを除く)。
鈴木氏といえば、この会場で今年5月に開催された「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」での、傘を吹き抜け大空間に配した美しいインスタレーションが記憶に新しい(会場構成:設計事務所ima)。内田氏とは、2012年に浅草に開業した《ザ・ゲートホテル雷門 by HULIC》の客室空間に彩りを添えるテキスタイルパネルを共同で製作している。本展会場内に展示されている鏡の作品も、同ホテルのエレベーターホール前などで目にするもの。
定期的に展覧会も開催している「棚」の作品、桑沢デザイン研究所での作品展「茶の湯の風景」でもみられたような、和の空間にしつらえるモダンな作品も展示。
こちらは1998年に開業した《門司港ホテル》のために内田氏がデザインした「オクトパスランプ」をもとに、ガラス作家の林久美子氏が装飾を施したもの。原型である白色の「オクトパス」も会場の隅に置かれており、装飾の有無でガラリと雰囲気が変わるというデザインの魅力を比較、堪能できる。
下の作品は2007年のミラノサローネに出展した「Tree Glass」。
下の作品は2007年のミラノサローネに出展した「Tree Glass」。
内田 繁「装飾の今日」は西麻布のギャラリー ル・ベインにて、11月1日まで開催。月曜休廊、開廊は11-19時(最終日は17時まで)、入場無料。
ギャラリー ル・ベイン
www.le-bain.com/gallery/lebain/
ギャラリー ル・ベイン
www.le-bain.com/gallery/lebain/
+飲食のメモ。
ロティサリーチキン専門店[ALZE(アルゼ)]へ。
スパイシーな鶏一羽丸焼き(と書くとワイルドを通り超して残酷なようだが)をテイクアウトしようと目論んだのだが、タイミング悪く、これから焼くので1時間かかるという。米飯の上に載せて食べる(キチンオーバーライス)分ならばある、というので、数種類のソースからヨーグルトソースをオーダー、店内のカウンター席でいただく(単品で消費税込み¥972ナリ)。
ロティサリーチキン専門店[ALZE(アルゼ)]へ。
スパイシーな鶏一羽丸焼き(と書くとワイルドを通り超して残酷なようだが)をテイクアウトしようと目論んだのだが、タイミング悪く、これから焼くので1時間かかるという。米飯の上に載せて食べる(キチンオーバーライス)分ならばある、というので、数種類のソースからヨーグルトソースをオーダー、店内のカウンター席でいただく(単品で消費税込み¥972ナリ)。
空腹満たされました。ごちそうさまでした。
ロティサリーチキン専門店[ALZE]
www.alze1978.com/
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