北欧モダンを代表するフィンランドのインテリアブランド、アルテックが今年10月15日で"80歳"を迎えた。80周年を記念する巡回展「アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY - 80年のキセキとこれから -」が、西新宿のリビングデザインセンターOZONEで5日から始まった。会期は11月24日まで。
エレベータを3階まで上がった目の前に、アルテックを代表するアイコンといえるチェア、照明の数々が並ぶ。
左から、アルヴァ・アアルトが1936年にデザインした〈901ティートローリー〉、〈41アームチェアパイミオ〉、〈401アームチェア〉、スタッキングされた〈スツール60〉、〈チェア66〉。一連の黒い椅子はイリタリ・タピオヴァーラ(1914-1999)がデザインした〈ドムスチェア〉のシリーズほか。
"手榴弾"の呼び名をもつペンダント〈A110〉、"蜂の巣"〈A331〉、"ゴールデンベル"〈A330S〉、"カブ"〈A333〉など。
冬が厳しく長いフィンランドでは、家の中でいかに快適に過ごすかが重要に。機能的であることはもちろん、見た目の美しさ、長時間照らされても心理的に負担とならない光であることが求められた。
照明に限らず製品全ての共通するデザイン理念は、アルヴァ・アアルト(1898-1976)ら4人による創業宣言「マニフェスト(Manifest)」に基づく。
冬が厳しく長いフィンランドでは、家の中でいかに快適に過ごすかが重要に。機能的であることはもちろん、見た目の美しさ、長時間照らされても心理的に負担とならない光であることが求められた。
照明に限らず製品全ての共通するデザイン理念は、アルヴァ・アアルト(1898-1976)ら4人による創業宣言「マニフェスト(Manifest)」に基づく。
そもそも社名のアルテックとは、「アート(芸術)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わせた造語。この2つの領域を融合させ、単なるものづくりに留まらず、デザインを広義に啓蒙する役割を果たそうとした。かつて運営していたギャラリーでは、ミロやピカソといったアーティストの展覧会も開催されている。
アルテックのネットワークを俯瞰できる「アルテック コスモス」と並んで掲示された、このマニフェストは実に明快。3つの枝ーー左から、Modern art、Industry and Interior design、Propaganda に分かれ、相関の関係にもある。国際的に発展してからの後付けではなく、創業時から掲げていたというのが凄い(1935年はバウハウスのデッサウ校が閉校した3年後、ドイツがポーランドに侵攻する4年前。日本の年号では昭和10年である)。
会場に展示されているアルテックのチェアやソファには座ることもできる(以前、OZONEにあった[chaircafe]を想い起こさせる嬉しい企画)。上の画は、アアルトが1933年に発表した〈401アームチェア〉に腰掛けての、"1つ歳上"の〈41アームチェアパイミオ〉、そのほかの眺め。
この〈パイミオ〉は、アアルトが建築設計コンペを経て手掛けることになった《パイミオ サナトリウム》のために開発、デザインされたものとして知られる。
この〈パイミオ〉は、アアルトが建築設計コンペを経て手掛けることになった《パイミオ サナトリウム》のために開発、デザインされたものとして知られる。
曲げ木の技術はその後のアルテックの歴史をもそのままかたちづくっていく。「L-レッグ」(下の画、左上)は〈スツール60〉の脚であり、1946年にはL脚3本を90度で接合した「Y-レッグ」が(その右隣)、さらに扇状に展開させた「X-レッグ」が開発される。
特許を取得しているアルテックの曲げ木は、木目を縦横互い違いに積層しないで同じ木目で揃え、強さのなかに柔軟性をもたせている。肝となる「ラメラ」も展示で確認できる。
アルテックの加工技術については同社の製品を取り扱っているSEMPLEのWEBカタログのテキストが詳しい。さらに本展会場の配布物も、アルテック80年の軌跡を網羅していてわかりやすく、勉強になる。
アルテックの加工技術については同社の製品を取り扱っているSEMPLEのWEBカタログのテキストが詳しい。さらに本展会場の配布物も、アルテック80年の軌跡を網羅していてわかりやすく、勉強になる。
今春のサローネでも展示された新作。ブルレック兄弟(ロナン/1971,エルワン/1976-)がデザインした〈カアリ〉のシリーズのテーブルに、コンスタンチン・グルチッチ(1965-)の〈ライバルチェア〉という組み合わせ(上の画、左側)。〈ライバルチェア〉の座面は回転式で、アルテックとしては初となる。
手前のオットマン付きの黒いチェアは、ウルヨ・クッカプロ(1933-)がデザインした〈カルセリ ラウンジチェア〉。
特別展示はほかのフロアにもあり。下の画は4階のコンランショップ内にて(撮影・掲載許可済み)。
手前のオットマン付きの黒いチェアは、ウルヨ・クッカプロ(1933-)がデザインした〈カルセリ ラウンジチェア〉。
特別展示はほかのフロアにもあり。下の画は4階のコンランショップ内にて(撮影・掲載許可済み)。
〈チェア66〉の向かいの壁、〈カアリ テーブル〉の上に掲げられているのは、アルテック80周年記念レリーフ。シリアルナンバー入りで世界80個限定販売、日本では5点のみ(見学時で2点が予約済み)。
上の画・奥に写っているのは〈カアリ シェルフ〉と〈カアリ デスク付きシェルフ〉。
館内ではこのほかにも「Artek 80 ART & TECHNOLOGY」連動企画を開催中。
7階にあるCLUBOZONE スクエア ライブラリーでは、12月26日までのイベント「本から見る日本×北欧 建築デザイン・インテリア」を開催。アルテックの〈66チェア ゼブラ〉ほか北欧のチェアやテーブルを配置、年表資料などの掲示もある。
館内ではこのほかにも「Artek 80 ART & TECHNOLOGY」連動企画を開催中。
7階にあるCLUBOZONE スクエア ライブラリーでは、12月26日までのイベント「本から見る日本×北欧 建築デザイン・インテリア」を開催。アルテックの〈66チェア ゼブラ〉ほか北欧のチェアやテーブルを配置、年表資料などの掲示もある。
通常はCLUBOZONE会員しか利用できないライブラリーだが、上記イベント期間中に限り一般にも特別開放される。図書館には置いていない専門雑誌バックナンバーなど、貴重な資料が閲覧できるのはありがたい。
「アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY」は、リビングデザインセンターOZONEにて11月24日まで開催(水曜休館)。開館は10:30-19:00。入場無料。11月7日と21日の13時と15時には約30分のガイドツアーも催行される(無料、予約も不要)。
同展は今後日本国内を巡回予定。詳細はArtek Japan Facebookにて発表される。
Artek Japan Facebook
https://ja-jp.facebook.com/ArtekJapan/
「アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY」は、リビングデザインセンターOZONEにて11月24日まで開催(水曜休館)。開館は10:30-19:00。入場無料。11月7日と21日の13時と15時には約30分のガイドツアーも催行される(無料、予約も不要)。
同展は今後日本国内を巡回予定。詳細はArtek Japan Facebookにて発表される。
Artek Japan Facebook
https://ja-jp.facebook.com/ArtekJapan/
+飲食のメモ。
3階展示の向かいにある[ザ・コンランショップ カフェ]では、本展のコラボイベントが10月29日から先行して開催中。「KAHVILA ARTEK 80@ザ・コンランショップ カフェ 新宿」と題して、店内の椅子や照明がアルテックのものに(フィンランド語でコーヒーは"KAHVI"と記し、KAHVILAはカフェの意)。
本展にあわせた限定メニューのひとつ、イッタラの器でいただく「カルダモンのスパイスケーキ ヨーグルトソースとミックスベリー添え」。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
3階展示の向かいにある[ザ・コンランショップ カフェ]では、本展のコラボイベントが10月29日から先行して開催中。「KAHVILA ARTEK 80@ザ・コンランショップ カフェ 新宿」と題して、店内の椅子や照明がアルテックのものに(フィンランド語でコーヒーは"KAHVI"と記し、KAHVILAはカフェの意)。
本展にあわせた限定メニューのひとつ、イッタラの器でいただく「カルダモンのスパイスケーキ ヨーグルトソースとミックスベリー添え」。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
このほか、オープンサンドとスープの食事メニューもあり(Artek Japan FBに画アリ)。ドリンクメニューには北欧のコーヒーチェーンRobert’s Coffee(ロバーツコーヒー)も。ストライプの菓子もフィンランドのマリアンネ ミントキャンディー。水が入ったガラスのタンブラーは、アルテック創業者のひとりアイノ・アアルト(1894-1949)のデザイン。テーブルの上には北欧関連書が並び、北欧づくしの秋を満喫できる。
ザ・コンランショップ
www.ozone.co.jp/showroom_shop/conranshop/
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