南青山にあるギャラリー5610にて「Windsor Department Exhibition 04」が10日から始まった。
出展者:藤森泰司(藤森泰司アトリエ)、INODA+SVEJE(Kyoko Inoda + Nils Sveje)、DRILL DESIGN(林 裕輔 + 安西葉子)
17世紀後半のイギリスのウィンザー地方の町家や農家で使われていた木製の椅子が源流とされるこの椅子に魅力を感じていた藤森氏と林氏が意気投合、ミラノを拠点とするINODA+SVEJEの二人を誘い、2011年に結成したデザイングループ「Windsor Department」による自主企画展。
出展者:藤森泰司(藤森泰司アトリエ)、INODA+SVEJE(Kyoko Inoda + Nils Sveje)、DRILL DESIGN(林 裕輔 + 安西葉子)
17世紀後半のイギリスのウィンザー地方の町家や農家で使われていた木製の椅子が源流とされるこの椅子に魅力を感じていた藤森氏と林氏が意気投合、ミラノを拠点とするINODA+SVEJEの二人を誘い、2011年に結成したデザイングループ「Windsor Department」による自主企画展。
デザイナーとしての直感とリサーチに基づき、「各自がウィンザーの好きなところを抜き出してつくった」現代のウィンザーチェアを定期的に発表。4回目となる本展では、01から03の回で発表された作品も並列され、三組三様のデザインの変遷を辿れる構成に。 また場内の1作品を除き、実際に座り心地を試してみることもできる。
藤森泰司作品の展示コーナー。端・奥の2点:座面の奥行が極端に短い古いウィンザーチェアとの出会いから、2010年にプロトタイプが誕生した《Ruca》。ブルーの座面のスチームフレームのチェア《Flipper》は、藤森氏が「外に連れ出そう」とデザインした2013年の作。前回発表した《Copper》は原点回帰のシンプルなかたち。最新作《Tremolo》については後述。
展示台および各作品解説書を掲示した合板の塗装は、今月初旬に東京ビッグサイトで開催された「インテリア ライフスタイル」のアトリウム会場に出展されていた、富士の天然水を原料とする塗料「mizu color」によるもの(ビッグサイト出展ブースのデザインをDRILL DESIGN が手がけている)。
「好きなだけに逆に手を出せなかった」という林氏が、デザイナーとして第1作となる椅子の発表が、2011年12月に都内で開催された「Windsor Department Exhibition 01」であった。上の画・右端の作品がその《BEETLE》(アーム付きのバージョン)。プロダクトとしては重いという指摘を受けて、後述する最新作《ARGYLE》に至るまで、一貫してウィンザーらしいシンプルさと軽量化の両立に取り組んできた。
11日の夕方には、ニルス・スバイエ氏を除く4名の出展者によるギャラリートークが開催された。厚い座面に脚とスピンドルを差し込んだだけに見えるウィンザーチェアだが、特に昔に作られたものなどは、近代以降の生産の場では必須となる三面図に書き起こすのが極めて難しいそうで、実測したり模型を作ったり、手を動かすことで学びとる要素が多いとのこと。
猪田恭子氏とデンマーク出身のニルス・スバイエ氏によるユニットINODA+SVEJEの変遷は、白いコーリアンの笠木、肘当て、座面に、木材のコントランスをつけた《SNOW FLAKES》がスタート地点(この1脚のみDon't Touch)。声掛けされるまでウィンザーにまるで興味がなく、シェーカーの方が好みと打ち明け、場内の笑いをとった猪田氏に対し、藤森氏らは、デンマークをはじめとする北欧諸国には古いものを現代の技術でリ・デザインしながら受け継ぐ文化があると述べ、INODA+SVEJEの二人に参画してもらった経緯に触れた。
コーリアンを用いたラウンジチェア《SNOW FLAKES》は重量が30kgもあり、海外から担いで搬入する労苦に懲りた猪田氏は、続く《Pillow-back Windsor》以降をノックダウン方式に改良。前回2014年の《Manta ray》では笠木のないバージョンへと収斂進化している。
会場内でのギャラリートークの後、それぞれ最新のウィンザーチェアを外に持ち出し、青空の下で作品解説が進む。プロ同士の作品講評のやりとりとなり、聞き応えがあった。
会場内でのギャラリートークの後、それぞれ最新のウィンザーチェアを外に持ち出し、青空の下で作品解説が進む。プロ同士の作品講評のやりとりとなり、聞き応えがあった。
上の画・左端:後ろ脚とスポークが一体となり、花びらのような背もたれが特徴的なのがINODA+SVEJEの新作《Petalo》。前作で完結した感があり、またデザインから搬入までや半月強しかなかったため、使う材を極力減らし、構造的に新たな挑戦をしたコンセプトモデル。
藤森泰司氏はスチールパイプの脚とスポークに、クロムメッキと銅メッキをそれぞれ施した2タイプの《Tremolo》を出展。
座の上に補強が見られるが、市販流通品となるには当然ながら百貫クラスでの品証確認が要る。メーカーとの協働開発では難しいデザインに挑戦でき、クラシックなウィンザーチェアを通してプロである自身に様々なトレーニングを課す一連の活動に、各氏は得難い魅力を感じ、互いに刺激も受けているようだ。
DRILL DESIGN《ARGYLE》。3作品中、最も重量があるように見えるが、座の部分が布張りで、軽量化のコンセプトは不動。クロスバックの背は構造的にも強く、「空間的に人を支えようとする、モダンデザインの源流といえるのがウィンザーチェア」という各氏の定義づけを裏付ける作品に。
ギャラリー5610での「Windsor Department Exhibition 04」は6月18日(土)まで。開廊は11時~18時、会期中無休。入場無料。
Windsor Department 公式WEB
http://windsordepartment.com
ギャラリー5610での「Windsor Department Exhibition 04」は6月18日(土)まで。開廊は11時~18時、会期中無休。入場無料。
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会場向かいのカフェ[crirrcross OMOTESANDO]
スパイラルならびのカフェ[ A.R.I(エー・アール・アイ)]
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