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HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION@青海特設会場

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30日から始まる「HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION」 内覧会へ。2013年以来、東京では3年振り2回目の開催。
 

会場は東京臨海エリア。ゆりかもめ青海駅から徒歩3分ほど(下の画は新橋方面から進行して入線直前の車内からの俯瞰。右奥に見切れているのは《東京テレコムセンター》)
展覧会ディレクターを原研哉氏が務め、原寸大に具現化された展示ハウスでそれぞれの近未来を提示する「HOUSE VISION」。全体の会場構成は今回も隈 研吾氏が担当。12の展示ハウスが場内に分散し、渡されたウッドデッキを渡って進む。
来場者を迎えるシンボル・ツリーは、住友林業緑化とプラントハンターの西畠清順氏そら植物園が1か月前に船便で日本に持ち込んだもの。推定樹齢1000年というオリーブの大樹の、左右に手を広げたような立ち姿から、人と植物が築いてきた長い関係性や、"何かが芽生えるように"して本展からさまざまな気づきを得て欲しいというメッセージが込められている。
「新しい常識で家をつくろう」をテーマに開催された2013年は7つだった展示ハウス。今年は12に増。「CO-DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる」を共通テーマに掲げる各展示ハウスの解説は場内配布物に記載あり。あるいは原氏自らがテキストを読み上げる音声ガイダンスでも聴ける(アプリはHOUSE VISION 公式サイト経由で無料ダウンロードできる)
以下、ナンバリングは配布物に準じる(*印は前回も出展した企業あるいは建築家)
1.[冷蔵庫が外から開く家] ヤマトホールディングス × 柴田文江
2015年のHOUSE VISION シンポジウムに登壇した鈴木健氏の発言に着想を得た提案。家の内と外・両側から、クリーニングの衣類や冷蔵冷凍品、また高齢者向けに薬の配達も視野に入れている。
住まい手不在でも「もう一つのドア」が大事な荷物を管理してくれる住まい。
2.[吉野杉の家] Airbnb × 長谷川 豪
先に奈良県吉野町で作られてから、分解して5台のトラックで会場搬入、再び建てられた家。会期終了後は吉野川のほとりに移設され、Airbnb(エアビーアンドビー)登録の宿泊施設として利用されることが決まっている。"コミュニティがホストとなることで地域との新しい関係を目指す家"。
1階は地域の人にも開放されるコミュニティの場(移設後はカフェ利用も計画中)。食器類も含めて全て奈良・吉野の杉と檜。
濃密な木の香りに包まれながら、昨夏に見学した展覧会「木を知り、木を使い、木を活かす Vol.2」を思い出す。
床に接していない階段。2階がゲストルーム。
移設後は長辺を東西に向けて建てる予定。夕日が沈む西側が小さなちゃぶ台が置かれたくつろぎの間、陽が昇る東の間に布団を敷いて就寝する。
長谷川氏はこの展示ハウスのほか、場内休憩スペースも手掛けている。
[冷涼珈琲店ー煎] AGF × 長谷川 豪
先端を尖らせた吉野檜の柱に、麻の布屋根をかけた休憩所。海風で麻布が煽られる。
内覧会時はアイスコーヒーと甘味が振舞われ、来場者に何よりの涼をもたらした(会期中は有料:「AGF 冷涼珈琲〈煎〉¥300、榮太棲葛小氷あずき寄せ¥300ほか)。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
麻の暖簾越しに、展示ハウス3.[の家]の眺め。協働者はPanasonic × 永山祐子氏。
上から見ると「の」の字をした壁を持つ展示ハウスの外周部に沿って、デッキの上に描かれた白い猫の足跡を辿るように1周してから中に入る動線。白い壁に記されたサインにタブレットを向けると、画面に「IoT : Internet of Things」のガイダンス映像が流れる。
[の家]の内部。曲面の壁が全てインターネットに接続するスクリーン。通話や通販、健康管理、映画も楽しめる。P社が自社展示会でも数年前から提示している近未来。
外気温などから室内環境にフィードバックしてくれる"風見猫"をいただくテント幕屋根の下、中央に水まわりと就寝空間を配置。軽量化と単純な構成により、どこにでも建てられるというコンセプト。
5.[遊動の家] 三越伊勢丹 × 谷尻 誠・吉田 愛
土間の1室空間にキッチン・ダイニング、寝室、水まわり、茶室を緩やかに仕切る。定住ではなく遊動するニュー・ノマドを住まい手として設定。高い購買力を前提とするインテリア。
黒皮鉄、杉古材、モルタルで構成した「背景」に、百貨店バイヤーが世界中から取り揃えてくるこだわりの品々が点景に。
6.[賃貸空間タワー] 大東建託 × 藤本壮介*
最小化した個人の空間と、最大化した共有空間の、立体的パッチワーク。
個人の本棚を集約し、趣味を共有するライブラリー。
共有化することで広く贅沢な空間も夢ではないバスルーム。
さまざまな世代が"1つ屋根の下"に住めば、時間に余裕のある高齢者層が畑や植栽いじりを楽しみながら管理してくれるのではという想定。
ホームシアターやカラオケルームもある。
”心ときめく複合空間”になる[賃貸空間タワー]の廊下から、HOUSE VISION場内の眺め。中央に見えるのが[冷涼珈琲店ー煎]。
7.[凝縮と開放の家] LIXIL* × 坂 茂*
軽くて丈夫なPHPパネル構造+ジッパーで脱着できるテント屋根=災害時にも仮設できる住まい。
1枚300kgもあるガラス窓の可動デモ中。向かって右側は90度回転させてから家の側面に収納。向かって左側は跳ね上げ式。遮光性ガラスで快適な軒下空間も演出。
2枚の大ガラスの間に柱はない。この大開口を、紙のハニカムボードを合板で挟んだPHPパネルで作られた"家型"のフレーム構造が支えている。
水まわりは家の中心に据えたボックス空間に集約(ライフコア)。床下ではなく、上の画・左に写っている頭上に配管そのほかの設備インフィルを通すことで、制約のない自由な間取りが可能に。
8.[市松の水辺] 住友林業* × 西畠清順 × 隈 研吾*
下足棚に靴を預け、冷たい水に足を入れて涼む足湯ならぬ"足水"の水辺。
 木目が美しい檜の集成材の底に、西畠氏が植えた枝垂れ楓の影が落ちる。
9.[木目の家] 凸版印刷 × 日本デザインセンター 原デザイン研究所
吉野檜の木片を超高解像度スキャンで20倍に拡大、出力して化粧した壁面に代表される、凸版印刷のプリント化粧版や液晶調光フィルムなどのシート素材をPRする展示。
1.[木目の家]内部 天井の隅の見上げ。当初は屋上に上がれるプランだったとのこと。
10.[内と外の間/家具と部屋の間] TOTO・YKK AP*× 五十嵐 淳・藤森泰司
単なる壁の開口部としての窓、窓→外部にそのまま直結する開口部ではなく、奥行きを持った新しい空間、豊かさを持った開口部を提案。
眠る、くつろぐ、食べる、思考する(一人で籠るトイレ)、入浴する、5つの空間への"入り口"を前に、藤森氏が作品解説。5つの「窓」と来場者はいきなり出会わずに、安東陽子氏がしつらえた白いカーテンの向こうに現れる。
眠る、の空間。この左側にある"セカンドリビング"同様、家具で空間がしつらえられている。
上の画・手前と下の画:食べる、の空間。
4枚前に掲出した画が「食べる、の空間」の外観。
入浴する、の空間と、展示ハウスの模型。内と外とが曖昧な、古来からある日本の縁側空間を、窓を切り口として現代的に解釈した住まい。
11.[グランド・サード・リビング] TOYOTA × 隈 研吾
向かって右:炭素繊維の骨に伸縮性のあるストレッチ繊維の「膜」をかけたテント。TOYOTAのプリウスPHVを電源供給元とすれば、エネルギーインフラがない土地にも引っ越せる、というコンセプト。
4.[棚田オフィス] 無印良品* × アトリエ・ワン
[棚田オフィス]も[吉野杉の家]同様、会期終了後は鴨川市釜沼集落に移築され、米作りのイベントを現地で行っている良品計画のサテライトオフィスとなる。
12.[電波の屋根を持つ家] カルチャア・コンビニエンス・クラブ(CCC)*× 日本デザインセンター原デザイン研究所*×中島信也の展示ハウスは、CCCが展開するスマートフォンサービス「TONE」による近未来を提示。VRゴーグルをかけて視聴する"180°コント"は、俳優の八嶋智人氏が一人4役で出演。 
今年も[蔦屋書店]が出店。会期中、連日開催されるトークイベントの会場はこちら。
メインテントや観覧ブリッジで使われている約1,500本の材木は、本展協賛の奈良県の吉野杉。会期終了後の再利用を見込み、断面10.5cm四方の角材をできるだけ加工せずに用いている。今年は"移動"や"ノマドといった、定住を前提としない提案が目立つ。
場内の家具提供はカッシーナ・イクスシー。
今年の場内では、水とお茶を廉価で、キッチンカーでは奈良の特産品やビールなども販売。上の画・奥では麦わら帽の販売とレンタルも。
代官山蔦屋書店2Fのラウンジが特別出店。サンドイッチ、ドリンク、かき氷を販売。いちごとマンゴー各¥600、練乳は¥50プラス。
「HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION」は2016年7月30日から8月28日まで。開場は11-20時(ライトアップあり)。入場は有料、連日開催のトークイベントは、当日の入場料で聴講できる。スケジュールなど詳細は公式サイトで順次公開。

HOUSE VISION 公式サイト
http://house-vision.jp




+飲食のメモ。
新橋駅前ビル1号館にて、内覧会見学前の腹ごしらえ。 ランチ時はどの店も行列ができている。2階の[七蔵]も13時近くなっても同様に激混みだが、店内は席数が多く、相席アリで回転が速い。長蛇の列に怯むことなかれ。
刻んだミョウガが入ったつけ汁はヨソにはない風味。ランチは小丼がつくセットメニューもあり、種類豊富かつ超ボリューミー。
左の画はマグロと煮タコの小丼と稲庭うどん(小)のセットで¥1,100ナリ。ニンニクの効いた白菜漬けがまた絶品。

七蔵(ななくら)
www.nanakura.co.jp/

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