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アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair”

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1946年に誕生した「ドムスチェア」の70周年を記念する「アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair”」が、東京・南青山のスパイラルガーデンで開催される(主催:アルテック
以下の備忘録は、開催前日の内覧会での見聞と配布資料に拠る。


ドムスチェアをデザインしたのはイルマリ・タピオヴァーラ(1914-1999)。フィンランドを代表するデザイナーの巨匠も当時は32歳。祖国は対ソ連戦で荒廃し、復興途上という時期である。学生寮ドムスアカデミカの内装設計の一環として誕生したこの椅子は、やがて輸出され、アメリカでは「FINNCHAIR(フィンランドのチェア)」の名で販売された。1951年にはミラノトリエンナーレで金賞を受賞、今日ではフィンランドにとって重要なデザインアイコンのひとつに数えられる椅子に。
寮生が部屋で本を読む際にと考案されたチェアに腰掛けてみると、局面の背もたれが吸い付くように身体にピタッとはまる。短く思える肘掛けも違和感はない。
機能美のヒミツ、タピオヴァーラのデザイン精神、ドムスチェアを世に送り続けてきたアルテックの歴史など、背景の説明するものは会場に表立って見当たらない。入場時に渡される配布物で補完される。タピオヴァーラが遺した「A CHAIL IN NOT JUST A CHAIR, IT IS THE KEY TO THE WHOLE INTERIOR.」という言葉に基づいて、モノに触れて、感じてほしいというコンセプトが会場全体を貫く。
奥の吹き抜け空間では、フィンランド人・日本人の計4組が語ったドムスチェアへの想いから紡ぎ出された4つのストーリーがインタラクティブに展開される。ドムスチェア誕生の由来から、学生が使うノートの見開きがモチーフに。会場デザインは、フィンランドと東京に拠点をおく、ヨプス&ティモ・ラムの両氏によるクリエイティブスタジオ MUSUTA
各ブースに添えられたテキストはシンプル。どこの誰がドムスチェアについて語っているのかは、配布資料の冊子(これもノート)を開いて初めてわかる。掲載文は、現地工場や、ドムスアカデミカのかつての住民など関係者への取材をもとに、編集者の猪飼尚志氏がまとめた。
本展に先駆け、ドムスチェア70周年記念ポスターをデザインしている皆川明氏は、ドムスチェアの印象を「Little Girl」と形容。小さな肘掛け部分が、あどけない顔をした少女のおさげ髪に見えたのだという。
スパイラル1Fのショップ[MINA-TO]では会期中、皆川氏がデザイナーを務めるミナ ペルホネンの生地を背と座面に張った特別仕様を限定70台で販売中。柄は8種類。
5つのノート型ブースをただ見てまわるだけでは、意図された展示構成の半分も味わえない。ブースごとに置かれた、貴重なヴィンテージを含むドムスチェアに腰を下ろすと、MUSUTAが用意したインタラクティブなデザインを体感できる。
4つのストーリーを覗き込む、ドムスを抽象化したかたちの"鍵穴"にスポットが当てられたこちらのブースでも同様に、鍵穴にタッチして初めてそれぞれのストーリーが動き出す。
ノイズ部分はMUSUTAのヨプス・ラムさんのハンドドローイング。
なお、MUSUTAの母国でもあるフィンランドには、"鍵穴は人生を覗く窓"ということわざがあるそうだ。
Artek社長のマリアンネ・ゴーブル氏、皆川氏、猪飼氏が出席した特別トークは立ち見でぎっしり。最後に登場したMUSUTAのヨプス&ティモ・ラムの両氏は「アルテックはフィンランド人にとって大事なアイコン。そのアルテックを代表する椅子を今回展示するにあたり、映像や音など現代的な解釈を加味して表現した」と述べる(ティモ氏の親御さんはドムスアカデミカの学生だったというエピソードに場内沸く)
アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair” は10月8日(土)から16日(日)までの会期。入場無料。

アルテック ドムスチェア展覧会
”the chair ≠ a chair”(ザ チェア イズ ノット ア チェア)
www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_2050.html





+飲食のメモ。
内覧会開催日の晩、早仕舞いした1FのSpiral Cafeでパーティが開催された。アアルトのSIENA柄を敷いた上にフィンランドをイメージしたフィンガーフードのおもてなし。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

なお本展会期中、スパイラルガーデンにて朝9時から、北欧ジャーナリストを講師に迎えて、暮らしをはぐくむフードワークショップ「北欧・フィンランドの豊かなブレックファースト」も3回にわたって開催される(有料、要予約)

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