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「つみきのひろば」@ Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015

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東京ミッドタウンで16日から開催される「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」プレス向け内覧会を見学。「デザインを五感で楽しむ」を基本コンセプトに、今年のテーマとして掲げられたのは「つながるデザイン」。

恒例となっている芝生広場での展示は、隈研吾氏監修による「つみきのひろば」。会場を構成しているのは、"都市と森をつなぐ"をキーワードに活動している森林保全団体more trees(一般社団法人モア・トゥリーズ)の理念に共感した隈研吾氏隈研吾建築都市設計事務所代表)が、共同で開発した「つみき(TSUMIKI)」の1ピースのかたち。

メインビジュアルは、田中良治氏が代表を務めるデザイン集団セミトラが開発したオリジナルフォント「eyeFont」で描かれたもの。表紙を飾るフライヤーには、田中氏と隈氏の対談も収録されている。

「つながる」をテーマとする今回、デザインタッチ初の試みとして、芝生広場に加え、ガレリア館内にもサテライト会場が2カ所ある。2カ所のディスプレイは空間デザイナーの松村和典氏が担当(同氏は昨秋、カンディハウス東京ショールームでのインスタレーション「komorebi」で話題を集めた)

地下1階での展示が左の画。東京ミッドタウン館内の各ショップの取り扱う、「つながる」をテーマにした内外のアイテムが並ぶ。

A字に似た木の"看板"も、隈氏がデザインした「つみき」を10倍にしたもの。展示ケースの中も「つみき」をベースとしたディスプレイとなっている。
展示例:"空間とつながる"ドイツ製のガラスランタン、"音楽とつながる"ワイヤレスヘッドホン。
この「つみき」は7、13、22ピースでのセット販売が予定されており、パッケージも隈事務所と more trees がデザインしたもの。デザインタッチ会期中、ガレリア3階の[TIME & STYLE MIDTOWN] にて先行販売中。売り上げの一部は森林保全のために寄与される。
素材はFSC認証のとれた杉。more trees が全国11カ所+海外1カ所で展開中の森づくりプロジェクトのひとつ、宮崎県諸塚村産。健全な森に育てる途上で出る間伐材などを使っている。「つみき」1ピースのサイズは縦11cm×横12cm×奥行き4cm。上の写真のようなスタッキングができ、下の写真のようなブリッジもつくれる。
上の画、商品の「つみき」を4倍の大きさにしたのが右側、展示概要の説明板となっているピースで、後述する芝生広場会場の中央に据えられた"ピラミッド"の構成ピースでもある。
ガレリア3階での展示「つみきのまち」。
照明が組み込まれた四角い展示台を除き、タワーは全て隈氏の「つみき」で構成されている。その数、約1,000個。松村氏によると、一番高いタワーでも芯材は入れず、全て接着剤によるもの。但し、1.1mを越えるものは2本以上を連結して安定させている。中央部は4本のタワーを連結。
ステージまわり、ガラスケースの台座を囲むスギ材は、隈氏の「つみき」の奥行き4cmにあわせ、見た目の統一感を出している。
杉は比重が軽い。「つみき」の1ピースも驚くほど軽量だ。巷によくあるブロック形状の積み木とは異なるこの軽快さが、隈氏がデザインした「つみき」の最大の特長。最初はスティック状で考えていたそうだが、子どもが遊ぶには難しいと、構造としても安定した三角形に。建築をひとつ設計するのと同じくらいの時間と労力をかけたそうだ。
苦心のひとつに、玩具として保証されるべき強度の確保があった。2辺が合わさる三角形の頂点、中央部分は「カンザシ」というさし木の手法で補強されている。

「3才の頃から積み木で遊ぶのが大好きだった」という隈氏は、前述の対談のなかで「造る快感と同時に壊す快感もあった」と語っている。「かんたんに壊せるものでなければ子どもは面白さを感じない」という隈氏の考えが、この「つみき」には反映されている(その言が正しかったことは後に証明される)。小さなパーツから大きなものを手でつくりあげられると同時に、瞬時に手で崩してリセットもできるという、表裏一体のデザインとなっている。

子どもでも大人でも誰でも、自由に使える、隈氏いわく「民主的な積み木」。基本となるパーツは小さいが、バリエーション次第で家具となり、庭となり、建築にもなる(隈事務所では今後、建築の構造材として使うことも視野に入れている)。ボーダーレスな"民主主義的建築"が展開しているのが今年の芝生広場。こういう積み方、遊び方ができるという提案展示でもある。
会場のディレクションも担当した隈氏は、緩やかな勾配がある広場にあわせ、手前に大人でも楽々くぐれる"つみき"を据え、カーブを描いて徐々に小さくなっていくインスタレーションを発表。子どもたちが駆け回れるよう、芝生面を意識して広くとった。
芝生広場に設けられた「つみき」のゲート。
会場のサイン計画は、永森志希乃+高岡友美のユニットによる「風景と食設計室 HOO」が担当。
隈氏のインスタレーションの「つみき」の下にはひとつひとつ照明器具が設置されており、日没後に点灯する。夜間の写真は後ほど。
前述「つみき」パーツを4倍にしたサイズで組み上げられたピラミッド。その数、125個。
真横からの眺め。
夕闇迫る17時には隈研吾氏が来場、プレスのフォトセッションや質疑に応じた。
積み木少年だったという隈氏は「いつかは積み木をデザインしたいと思っていた」。国産材および杉の合板の新たな活用、新たな表現を求めていたmore treesから持ちかけられた今回のプロジェクトはまさに渡りに船。1本の木から森を育て、社会の中で無駄なく木材を循環させるシステムを構築しようとするmore treesのサステナビリティな理念に共感したこともあるが、隈氏にとって特別な想いがある高知県檮原町で、more treesの最初の森づくりが始まったことにも縁を感じたとのこと。
「木を使うことは、森を減らすのではなく育てることに繋がる。建築家が木を使うことで、森をとりまくコミュニティを守り、さらには社会をも再生できると考えている」と隈氏。more treesとのプロジェクト始動後、「つながる」をテーマにした今回の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」への参加も決まった。

下の画はオープン後のヒトコマ。積み上げたものをアッサリと壊し、再び積み、また崩してを繰り返し、夢中になって遊ぶ子どもたち。前述の隈氏の言が見事に証明された。
「小さなものの中にも世界は込められる。小さなものを積み重ねていくことで、大きな世界ができていく。建築も同じ。会場を訪れた子どもたちにそんなことを感じてもらえれば」(隈研吾氏談)
参考:AXIS Magazine『jiku』隈研吾インタビュー:建築家・隈 研吾×more treesーー建築にもつながる現代の「つみき」(2015.9.17掲載)

隈氏と同様に、国産材による「つみき」を基本形として、3組4名のアーティストがそれぞれ作品を発表している。
齊藤太一「Relax & Joy tsumiki garden」
鈴木啓太「BIRD HOUSE STAND」
ミヤケマイ+佐野文彦「木ヲ見て森ヲ見ズ 森ヲ見て木ヲ見ズ」。
ミヤケ氏が佐野氏と共に考えたコンセプチュアルな世界観を表現した作品。角材による構造物のいくつかの天辺に「つみき」を2つ組み合わせた菱形が。広場の手前側は緑、奥は赤。秋の紅葉をイメージした微妙なグラデーションがつけられているとのこと。
菱形は透過性のあるシートで、中には作家からのメッセージが白ヌキ文字で込められている。日本の森林産業を取り巻く現状、矛盾が指摘されている。この「森ヲ見て...」作品は、真上から鳥瞰すると「き」という文字になるように配置されており、かつ「Not イコール」のメッセージも密かに込められているとのこと(ミヤケ氏談)
ガレリア2階からの眺め。この高さではミヤケ+佐野作品の全貌は掴めない。
日没後、岡安泉氏岡安泉照明設計事務所のライティングにより、ガラリと雰囲気が変わる。芝生への入場時間は11-18時につき、夜間は入れない。以下はプレス内覧会開催時の撮影。
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」は11月3日まで。入場無料。各種会場によってオープン時間や期間が異なるので、公式サイトを参照のこと。

東京ミッドタウン「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」
http://www.tokyo-midtown.com/jp/designtouch/2015/





+飲食のメモ。
ミッドタウン館内には、隈研吾氏が設計した「サントリー美術館」がある。金沢の加賀麩 不室屋がプロデュースする[cafe]は、入館料なしで利用可。

前回のオーダーは「抹茶ラテ」。今回はセットのお茶が加賀棒茶、煎茶などから選べる「豆腐スコーンとお茶のセット」をいただく。クリームとジャムも付いて消費税込み778円はたいへんお値打ち。温めて出してくれたスコーンも美味しく、幸せに腹がふくれました。ごちそうさまでした。

サントリー美術館内 SHOP×CAFE www.suntory.co.jp/sma/shopxcafe/

NIESSING×名和晃平「 CELL / FORCE 」

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南青山の[NIESSING TOKYO(ニーシング東京)]にて、京都のSADWICHを拠点に活動する彫刻家の名和晃平氏とコラボレーションした展示会「 CELL / FORCE」が、今月22日から約1ヶ月間開催される。

前回は濱田英明氏による写真展「Family of NIESSING」、その前は「Graffiti' Rings by Hideyuki Nakayama for Niessing(グラフィティリング by 建築家・中山英之)」、今年で3回めの特別イベント(監修:岡田栄造氏/S&O DESIGN、本展企画も同氏)。特別なとき以外はジュエリーとは縁遠い男性や、見てみたいけど・・・と躊躇していた女性でも誰でも、イベント目当てで気軽に訪れることができる。

NIESSINGはドイツが誇る高品質のモダンジュエリーブランド。同社のジュエリーの展示台となる作品を名和氏がオリジナルで制作、同店にて期間限定で公開中。
フライヤーやショップの外に掲示されているバナーにも使われている、"手押し車"のような作品は店の奥に。
名和氏は今回、NIESSINGとのコラボレーションとして、リング「シフレ(Chiffre)」をベースとしたデザインを提供(金色のリングは「ラビリンス(Labyrinth)」というNIESSIGNの別の製品)
シフレはカラーバリエーションが3種類あるK18(18金)のリングの表面に、10個のドットを刻み込むことで、オリジナルの絵柄やメッセージを込めることができる。今回は本展のテーマである「CELL FORCE」の刻印が。"CELL"はこれまでの名和作品でも主題となっている"細胞"であり、クラフトマンシップに溢れたNIESSINGの指輪を身につけることで、その人の内なる力となる、細胞ひとつひとつから力が沸いてくる、そんなメッセージを込めている。
 
店内にはあと6つ、NIESSINGと名和氏がコラボしたショーケースがある。それにしても、名和作品を"下敷き"にするとは、高品質ジュエリーとはいえ、なんと贅沢なことだろうか。
シンボロン(Symbolon)」は純金と純プラチナという2種類の金属を1つのリングにしたもの。
「美術と技術の融合」を掲げたバウハウスのデザイン思想を受け継ぐNIESSING。実は、名和氏は今回のイベントをきっかけに初めてNIESSINGに接したそうだ。2年前のコラボ展を行なった建築家の中山英之氏も同様で、その際に「ザ・ニーシングリング」の製造方法とコンセプトに感銘を受けていたが、名和も同社の高いクオリティ、デザインに共感し、実現のはこびとなった。
ブレイデッドライン(Braided Line)
載せるジュエリーを予め決めたうえで、そのジュエリーひとつひとつにあうものを名和氏が考えて制作している。
ボゥネックレス(Bow Necklace)
「トピア(Topia)ペンダントトップ」

ジュエリーショップと聞くと、つい先入観から内面に壁をつくってしまうが、ジュエリーとはいえプロダクツ。人の手と想いがつくり出すもの。どうやってつくられているのかといった製造の背景をショップのスタッフが教えてくれるので、買う/買わないは(申し訳ないが)別として、同じようにふだんはあまり縁のない金属にも触れられて、とても勉強になる。
NIESSING×名和晃平「 CELL / FORCE 」は[ニーシング東京]にて11月23日まで開催。

ニーシング東京
http://niessing.jp/shop/n_tokyo.html




+飲食のメモ。
[ニーシング東京]の並びには、「COUTUME aoyama(クチューム青山)」、「GRANNY SMITH 青山店」もあるが、この日は骨董通りを下って「Clinton St. Baking Company」へ。外観が下の画のように白から赤に変わり、気付かずに通り過ぎてシマッタ。
平日のランチピークが終わった時間帯だったが、それでも2-3組が並んでいた。過去何度か入れないこともあり、相変わらずの人気。待つこと10分弱、2階席に通される。
ランチのセットメニューはなし、ドリンクも単品でのオーダー。こちらはパンケーキが有名だが、サンドイッチなど食事メニューも多数アリ(参考:同店Facebook)
「クリントンストリートソーセージサンドイッチ」(消費税別¥1,200)と、ショウガ根入りでスパイシーという、オサレなボトルの英国産「フェテマンズコーラ」(同¥700)をいただく。
第一印象は「足りないかも」だったが、スクランブルエッグがチーズ入りで、バッチリ夜まで腹もち。某ケンタのビスケット好きなら、このバターミルクビスケットも気に入るはず(たぶん)
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

Clinton St. Baking Company
http://clintonstreetbaking.co.jp/

MARUNI×ALESSI「LIVING HOUSE」+作原文子ディレクション〈mountain morning〉

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東日本橋にあるマルニ木工のショールーム[マルニ東京]にて、MARUNI×ALESSI「LIVING HOUSE」が23日から来月3日まで開催される。

ショールーム空間の入口の左右に本物の土が盛られ、植物まで植えられていて、(初日夜のレセプションではコーヒーの香りまでして)サプライズ的な会場構成を担当するのは、スタイリストの作原文子氏。同社の家具、イタリアのハウスウェアブランドであるALESSI(アレッシィ)の製品、さらに作原氏のスタイリングによって、生活者とともに日々呼吸をし、成長を続ける暮らしの空間「LIVING HOUSE(生きている家)」を提案。

今回の「LIVING HOUSE」と会期を同じくして、作原氏が主宰するプロジェクト〈mountain morning〉とのコラボ企画も開催されている。
作原氏はこれまでに20人の写真家と共に"山の朝"をテーマにポストカードを制作、氏のスタイリングによるインスタレーションで、同PJの世界観を具現化するイベントを過去にも開催(恵比寿の[PACIFIC FURNITURE SERVEICE]、[DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY]における特別展「”mountain morning” INSTALLATION by FUMIKO SAKUHARA」)。今年12月12日からは、[代官山 T-SITEガーデンギャラリー]にて、同会場では約2年ぶりとなる大型展「White mountain morning」を開催予定。今回の[マルニ東京]での空間展示は、その予告となるプレゼンテーション。
昨年の今頃は「MARUNI COLLECTION × minä perhonen」と題して、深澤直人氏が2008年にデザインした「HIROSHIMA」の座面に、minä perhonen のファブリック"dop"を張ったモデルを発表。今秋の新作は、米国オレゴン州ポートランドを本拠地とするファブリックメーカー、ペンドルトン(PENDLETON)のテキスタイルを「HIROSHIMA」のアームチェアの座面に張った「マウンテンモーニングエディション」。全14種類、限定100脚のエクスクルシーヴモデルを手掛けたのが、作原氏が主宰する〈mountain morning〉である。

LIVING HOUSE」の会期中、この「マウンテンモーニングエディション」の先行予約を店頭にて受付中。
なお、前述・12月の代官山での大型展「White mountain morning」において、[マルニ東京]はサテライト会場となり、同エディションを限定販売する。
作原氏によるスタイリング。マルニの木工家具、ペンドルトンのテキスタイル、さらに米国ガレージプロダクトメーカー製「ALUMINIUM WORK TABLE」との取り合わせがとても新鮮。
今年の新作を含むアレッシィのハウスウェアの数々。ミケーレ・デ・ルッキの〈Pulcina〉、フィリップ・スタルクが25年前にデザインしたレモン絞り〈Juicy Salif(ジューシー・サリフ)〉の実物(画面の右端)を初めてみた。
イタリアのハウスウェアブランドであるアレッシィと、広島の木工家具メーカーであるマルニ木工は、奇しくも同じ1920年代の創業。
上の画、左隅の丸テーブルの上に積まれた書籍の上、深澤氏が昨年、アレッシィのためにデザインした、ステンレス製ケトル&ティーポット〈CHA〉。
大人と子ども、それぞれに使いやすい高さで、L字にセットされたテーブル。そのまわりにはさりげなく、ジャスパー・モリソンのチェア、SANAAがデザインした"ラビット"のミニも。
あれに見えるは、先週末に見学した「フランク・ゲーリー展」のミュージアムショップで売っていた、ゲーリーのケトルではないか(商品名〈PITO〉、アレッシィにて取り扱い)
投げ込まれた感のある黒ずんだ硬球が棚のなかに収まっていたり、細部にわたって超リアルだけれども、どこかほんの僅か現実離れしているというか、超越したところが感じられる作原氏のスタイリング。それを何文字で言い表せと仮に云われても出来ない。眺めていて「かっこいいなぁ」「いいなぁ」という子どもみたいな感想しか口をついて出てこないのだが、目と心の保養となる時間を味わえた。
MARUNI×ALESSI「LIVING HOUSE」は東日本橋3丁目の[マルニ東京]にて、11月3日まで。特別展の会期中は無休、営業は10-18時。会期中はワークショップも開催される(定員制・要申込、有料)




+飲食のメモ。
LIVING HOUSE」の会期中に限り、1階にマルニ木工とアレッシィによるポップアップカフェがオープン。ショールームという先入観がある空間に一歩、足を踏み入れたとき、珈琲豆の香りがするのはとても新鮮。それだけで空間の雰囲気がいつもとまるで違った。
スペシャルブレンドなど、協力は三軒茶屋に直営のカフェも開いている「OBSCURA COFFEE ROASTERS(オブスキュラ コーヒー ロースターズ)」。レセプション開催時も丁寧に1杯ずつ煎れてくれました。
ケータリングもおしゃれで美味しゅうございました。出張専門「山角や」さんのオーダーメードおむすび、ほか(註.22日夜に開催されたプレスビュー&レセプション出席者のための特別メニューです)。アルコールに合うようにと、わさび菜おむすび+パルメザンチーズ添えという組み合わせは初めて。ごちそうさまでした。



+過去の飲食履歴@東日本橋界隈。
・「bakuro COMMON(バクロコモン)」の馬喰バーガーランチ
・「フクモリ 馬喰町店」のロールケーキセット
・BOOK CAFE「イズマイ」のパイセット

ご参考マデ。

内田 繁「装飾の今日」@ギャラリー ル・ベイン

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西麻布のGALLERY le bain(ギャラリー ル・ベイン)で20日から開催されている企画展、内田 繁「装飾の今日」へ。23日の夜に開催されたレセプションは大盛況。
事務所の内田デザイン研究所の現所員および元所員、関係者らに囲まれ、にこやかに挨拶される内田繁氏。右と左の両隣は、本展に内田氏と共同製作した作品を出展したおふたり。テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏と、ガラス工芸作家の林久美子氏。

内田氏の発言を以下に要約する。
「近代モダニズムの時代に、我々は失ったものがいくつかある。なかでも、巨匠と呼ばれるミースやグロピウスらによって、装飾を罪悪とみなして否定するかのような考え方が流布されたが、そうではないのだということを、『装飾の今日』と名付けた今回の展覧会で示したい。来場者には“人間のための装飾”とは何かをぜひとも考えてほしい」。
新作の大テーブル「LAND TABLE "AOMORI"」。床につくる影まで綺麗なこのテーブルとセットでデザインされたスツールに腰掛け、終始笑顔で来場者に応対する内田氏。

元になっているのは、内田氏が1978年にデザインし、西麻布にあった飲食店「プロント」で使われていた、イタリア半島のかたちをデフォルメしたカウンター(下の画)
さらに大元は、小笠原諸島の父島の等高線を切り取り、それを積層したスリットを利用した照明器具「ISLAND」。デザインは1975年。
今回の新作3作品もかなり苦労してラインをとり、かたちを決めていったそうなので、40年前ともなれば、相当の困難を伴ったと推察される(上の画像2点共に提供:内田デザイン研究所)

「評判が良かったので、今回は青森県のテーブルと、もう2種類を新たにつくった(註.うち2点は売約済み)。依頼があればなんでも作ります」と自ら営業する内田デザイン研究所所長に、満場の聴衆は思わず大笑い。
「LAND TABLE "AOMORI"」のサイズは実際の1/62500の縮尺。テーブル本体は合板にウレタン塗装。見た目の美しさ、運搬、製造などさまざまな要因により、地図上の境界線で2分割されたデザインに。2枚あわせて約100kgという天板を、19本のステンレスパイプの脚が支える。
赤いテーブル:内田 繁「Land table "Aizuwakamatsu Inawashiro Koriyama"」(実際のおよそ1/43400)
緑のテーブル:内田 繁「Land table "Shonan Keihin"」( 実際のおよそ1/43400)

壁に掛かっている作品は、本展のために鈴木マサル氏が自身のブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」のテキスタイルからトリミングした「テキスタイルパネル」。上の画は1枚にみえるが、実は20枚のパネルを構成したもの。計38点ある鈴木作品を含めて、「できるだけ多くの人に買える機会を」との内田氏の願いから、出展作品は会期中に限り展覧会特別価格で販売(非売品、売約済みを除く)
鈴木氏といえば、この会場で今年5月に開催された「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」での、傘を吹き抜け大空間に配した美しいインスタレーションが記憶に新しい(会場構成:設計事務所ima)。内田氏とは、2012年に浅草に開業した《ザ・ゲートホテル雷門 by HULIC》の客室空間に彩りを添えるテキスタイルパネルを共同で製作している。本展会場内に展示されている鏡の作品も、同ホテルのエレベーターホール前などで目にするもの。
定期的に展覧会も開催している「棚」の作品、桑沢デザイン研究所での作品展「茶の湯の風景」でもみられたような、和の空間にしつらえるモダンな作品も展示。

こちらは1998年に開業した《門司港ホテル》のために内田氏がデザインした「オクトパスランプ」をもとに、ガラス作家の林久美子氏が装飾を施したもの。原型である白色の「オクトパス」も会場の隅に置かれており、装飾の有無でガラリと雰囲気が変わるというデザインの魅力を比較、堪能できる。
下の作品は2007年のミラノサローネに出展した「Tree Glass」。
内田 繁「装飾の今日」は西麻布のギャラリー ル・ベインにて、11月1日まで開催。月曜休廊、開廊は11-19時(最終日は17時まで)、入場無料。

ギャラリー ル・ベイン
www.le-bain.com/gallery/lebain/




+飲食のメモ。
ロティサリーチキン専門店[ALZE(アルゼ)]へ。

スパイシーな鶏一羽丸焼き(と書くとワイルドを通り超して残酷なようだが)をテイクアウトしようと目論んだのだが、タイミング悪く、これから焼くので1時間かかるという。米飯の上に載せて食べる(キチンオーバーライス)分ならばある、というので、数種類のソースからヨーグルトソースをオーダー、店内のカウンター席でいただく(単品で消費税込み¥972ナリ)

空腹満たされました。ごちそうさまでした。

ロティサリーチキン専門店[ALZE]
www.alze1978.com/

「AnyTokyo 2015」@増上寺

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今年で開催3回めとなるデザインイベント「AnyTokyo(エニートーキョー)」。会場は昨年と同じ、芝公園4丁目の増上寺光摂殿。

テーマは「DIVERSITY & BEAUTY」=美しき多様性。
光摂殿内の展示会場に流されている空間音楽(制作:Kan Sano氏)を含め、出展作家は16組。

なお、今年は階段を上がったところに屋外展示もあるのでお見逃しなきよう。
エマニュエル・ムホーemmanuelle moureaux architecture + design「1坪の100色(100 colors in 3.3m2  註.m2=平米を表す単位記号
増上寺には内外から、とりわけ外国からの観光客が多数訪れる。大殿や宝物殿(画面の奥)を参拝した後に「あれは何だ?」とやって来て、そのまま撮影会に。
「100 colors」と銘打った作品は、2013年9月の西新宿、渋谷ヒカリエでの展示、昨年の「新宿クリエイターズ・フェスタ」、「TOKYO DESIGNERS WEEK」での《MINO》と見てきて、毎回その美しさ、美しさの根本である繊細なカッティングに驚嘆するが、今回のが最も"極細"な仕事ではなかろうか。
吊り下げられているのは5mm幅でカットされた100色の紙、その数3万本。ムホー事務所のスタッフがカッターを握りしめての手作業というから敬服する。
畳の目の違いで市松にみえる、2畳の白畳の上に寝転んで見上げた画。よいしょと背を起こすと、色の束の中に顔が埋ずまる高さになるように色紙が配置されている。
ライトアップされる日没後は、昼間とはまた違った雰囲気に。無風と風にそよいだ時とでまた佇まいが違う。
光摂殿の軸線上に据えただけでなく、境内のそのほか堂宇、東京タワー、まわりにみえる建物や緑との調和を考えて、作品を置く位置を決めたとのこと。
会期中、晴天が続きますように。

改めて今年のテーマをリリースより引用:「本展では、日常生活への独自の着眼点で実用的かつ審美的に実現したプロダクトや、新技術を活用し様々な試行から生まれたマテリアル、有機的に身体感覚に訴える新たな機構、往年の名作を現代の目線で新たに表現した独創的なプロジェクトなど、ジャンルを問わずに一堂に展示。」

注目はフリッツ・ハンセンの「7 COOL ARCHITECTES」。アルネ・ヤコブセンの名作椅子〈セブンチェア(Series 7)〉を、世界各地に拠点を置いて活動する建築家7組が再解釈、再構築した作品を披露。
今年夏から秋にかけて、ロンドンを皮切りに、コペンハーゲンなど欧州各都市で展覧会が開催され、今回の「AnyTokyo」は巡回展、そして日本初披露となる。
7作品を横に配列した展示ブースは12mmの角材による巧みな木組みで、総本数は約400。天井から吊らずに自立している(デザイン:篠崎弘之建築設計事務所, インスタレーションコーディネーション:MIRU DESIGN, 協力:並木木材株式会社。本展に先立つ春、篠崎氏はミラノ・サローネにおいて、同じ12mmの角材3,000本を使って事務所の作品展「Home in House」を開催しており(制作協力は本展とは別の工務店)、評判となったその展示をみて、今回の巡回展の会場構成をという白羽の矢がたったようだ。

7組それぞれに異なるコンセプトで再構築された〈セブンチェア〉はもちろん、7作品がどのように据え置かれているかも大きな見どころ(事務所表記の後の国名は、事務所の活動拠点を示す)
左奥:スノヘッタSnöhetta / オスロ,ニューヨーク)
右手前:五十嵐淳五十嵐淳建築設計事務所 / 札幌,佐呂間町)
ネリ&フーNeri&Hu Design and Research Office / 上海,ロンドン)の作品は2脚で1組、脚は6本。2人同時に座らないと機能を果たさないと思われる。2つの座の間の丸卓には、コンセプト模型がチョコンと載っている(ミラノでの篠崎事務所個展「Home in HOuse」でも見られた構成)
ザハ・ハディドZaha Hadid Architects,ロンドン)の〈セブンチェア〉は2本のスチール棒がぐるーりと回っての3点直立。
左:カルロス・オットCalros Otto Architects in Association with Carlos Ponce Leon Architects / ウルグアイ モンテビデオ)
中央:ジャン・ヌーベルAteliers Jean Nouvel / パリ)
右: ビッグBIG : Bjarke Ingels Group / コペンハーゲン,ニューヨーク)

各作品のコンセプトは、フリッツ・ハンセン特設ページに掲載されている。〈セブンチェア〉がどのように製造されているのか、同社がYoutubeに公開しているメイキングムービーを見たうえで読むと理解が深まる。
「Fritz Hansen - Making of Series 7」(再生時間:5分34秒,BGM付き)

〈Series 7(セブンチェア)〉が1955年に世に送り出されてから60年。いわゆる版権は既に切れ、巷にはジェネリックと呼ばれる家具が出回っているが、9枚の積層合板による立体成型は、フリッツ・ハンセン社の高い技術力、クラフトマンシップ、伝統に支えられてきたもので、正規の製品は格が違うのだと解る。

今回の「7 COOL ARCHITECTES」では、ヤコブセンがデザインした〈セブンチェア〉の原型を崩さないこと、という命題があった。脚をとり外したり、2つ並べたり、積層に特化したり、7組の建築家の解釈はそれぞれ。
7作品のうち最も重い、約25kgもある〈セブンチェア〉。このほかの作品は木組みの上に据えられているが、BIGの作品は床に直置き。
12mmのホワイトアッシュの角材同士の接続は、木工の切り欠きによるもの。補強に鉄ネジは1本も使われておらず、アッシュより硬いビーチ材の直径4mmの木ダボがうたれている。さらには400本の角材全て面取りされており、これが展示用の構造物ではなく、家具または建具のような洗練された雰囲気を纏わせている。
ジャン・ヌーベルの〈セブンチェア〉6本の脚を支える6本の角材。予め寸法は調べてあったが、現物のサイズにあわせて、角材の位置をややずらしたり、長さを削ったりと、設営しながらの微調整を行なっている。
約10kgのザハの〈セブンチェア〉も、ご覧の通り、断面を切り欠いた角材3本の上に見事に直立している(展示上の安全対策として小さな平ゴムが挟まっているが、無くとも自立する)
スノヘッタの〈セブンチェア〉が置かれた格子状の台は、重量でややしなっている。木材特有のしなやかさ、その魅力に改めて気付く。

7作品のうち、このスノヘッタの作品だけ、メイキングムービーが期間限定で公開中。
期間限定動画「Fritz Hansen 7 Cool Architects Snöhetta」(再生時間:2分46秒,英語音声)

一見して「石?」にも見えた五十嵐氏の〈セブンチェア〉は、廃木材の欠片を樹脂で固めたもの。イメージビジュアルのポイントカラーはピンクだったが、展示作品はオレンジと黒が強い。「廃材がもっていた色が異なるので、いわば偶然に左右されて、製造の都度で色が異なり、個性となって表面にあらわれる」と五十嵐氏。震災後に問題化した瓦礫の処理や、木造住宅を心の拠り所としながら住み継がれずに廃屋化、やむなく竣工から短期間であっても取り壊される、そんな日本の悩ましい現状と、世界を舞台にロングセラーを誇る大量生産の既製品との比較も、今回のコンセプトには込められている。
廃材をイメージしたステージは、4本の脚がピタリと収まる1つのパターンを30段積み上げたもの。「構造家を入れずにこのブースを組んだのは凄いし、自分たちで現場で調整もできるというのも良い。僕も好みの展示です」と、前日の内覧会と初日に来場していた五十嵐氏の談。
なお、五十嵐作品だけでなく、7作品の特徴は展示の仕方にも反映されており、前述のBIGのブースでは、上層ほど横のラインの感覚が狭まっている"積層"に。
会場で篠崎事務所の担当増田裕樹氏に図面をみせてもらったが、角材400本全て図面化されていたのには驚愕。1から400までナンバリングされ、施工は図面をみながら。部分によってはどれか1-2本でも欠いてしまうと、微妙なバランスが崩れてしまうそうだ。面取りの効果も大きいが、この美しさは漂う緊張感ゆえのもの。

昨年の「AnyTokyo 2014」で腕時計を展示していた、TAKT PROJECTは、今年6月の「Interior Lifestyle Tokyo」TALENT部門に出展していた、水を吸い上げるプラスチックによるインテリアのニューバージョンを披露。鉄、藍染め、紅花、栗、桜の葉、山ぶどうなど自然素材でテーブル天板を染色。

ヴィジュアルデザインスタジオWOWのプロダクトプロジェクト:BLUEVOX!のブース。1作目のバッグ「A SQUARE」に続き、組み立て式チェアと、三河地方で代々、仏壇を手掛けてきた漆の塗り師と、WOWが培ってきた最先端技術が融合した器「SHIZUKU」を披露。極めて薄い呑み口は、木地木工によるものではなく、シリコンの型に塗った漆を引きはがし、別途製作した下の高台と一体化させている。
WOW inc.アップロード動画「SHIZUKU by BLUEVOX!」(再生時間:1分30秒,BGM付き)

オリンパスはネット限定で販売中の「DIY CAMERA KIT」の実物を展示。ダウンロードした展開図の型紙でダンボールを加工、組み立て、好きに色を塗り、自分のスマートフォンに装着して使用する。スマホ撮影に慣れ、カメラを構えたことがない子どもたちには新鮮らしい。さらに「DIY CAMERA KIT for OLYMPUS AIR」は、スズキユウリ氏の作品「Otto」の機能を加えることで、シャッター(とは今は云わないらしいが)を自在にセットできる。


メイ・エンゲルギールSTUDIO MAE ENGELGEERのテキスタイルコレクション「MODE furniture fabric」は今春のミラノサローネで発表された新作。

脇田玲(慶応義塾大学教授 脇田玲研究室「Scalar Field of Shoes」は靴底の裏にかかる圧力を自然な造形美として可視化。会場前に展示されているトヨタIT開発センターのドライビングインターフェイス「FINA」でもコラボ中。

ソニーグループによる「wena project」は、腕時計のステンレススチール製のバンド部分に、おサイフケータイ機能、スマホと連動したさまざまな機能を内臓させる。試しに嵌めてみたら、機能が詰め込まれている分だけズッシリと重い。自然に身に着けられるウエアラブルシリーズの第一弾商品として、クラウドファンディングの支援も取り付け、発売が既に決まっている。

一昨年、昨年と「AnyTokyo」に3年連続の出展。今年はオリジナルの照明器具を発表。
h220430は 都内に開業予定の産婦人科からのオーダーにこたえて板坂 諭氏がデザインしたもので、卵子と精子が結びついた瞬間、微弱な電気信号が発せられる→光る受精卵をイメージしたもの。作品名はズバリ、「THE BIRTH」。
展示の10W白熱球は42個だが、フラードームのように拡張可能。会場では展示用に明滅を繰り返すプログラムが作動中。光が消えたときの内部が下の画。
電球の面に周りの電球が映り込んでいる画などはまさにタマゴ(出展者を前にして「うわ、気持ち悪いですねー」などと口に出してしまったが、「卵っぽいでしょ」とニッコリ笑顔で返される。これもデザインのひとつであろう)

上記以外の出展者(敬称略):菅澤大、森田裕之、大城健作、MINOTAUR、nbt.STUDIO。
「AnyTokyo 2015」会期は11月3日まで。光摂殿内の会場は11-20時オープン。入場無料。

「AnyTokyo 2015」
http://anytokyo.com/2015/




+飲食のメモ。
昨年は地下鉄芝公園駅を使ったので、その途中にある高級ブーランジェリー「Le Pain Quotidien 芝公園店(ル・パン・コティディアン)」にて豪遊。今年はJR浜松町、地下鉄大門駅と会場の間にあるカフェ「久緒羅珈琲(クオラコーヒー)」で休憩。

店内の掲示に小さく、"PCを使用しての長時間のご利用はご遠慮いただきたく"というお願い文があり、こじんまりと静かに過ごす時間とともにコーヒーを味わいましょう。

本日のショートケーキ(たしか¥450)+カフェオレ(¥480)の画(ケーキとセットで30円引きに)オレもラテもブレンドのホットもアイスも480円均一という珍しい価格設定。オレは大きいカップになみなみ。平日はうどんのランチメニューあり。ケーキはケースに各種あり。

美味しゅうございました。ごちそうさまでした。


久緒羅珈琲 facebook
https://www.facebook.com/kuoracoffee

「フランク・ゲーリー / Frank Gehry パリ -フォンダシオン ルイ・ヴィトン 建築展」@エスパス LV東京

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表参道にあるエスパス ルイ・ヴィトン東京にて、来年1月31日まで「フランク・ゲーリー / Frank Gehry パリ - フォンダシオン ルイ・ヴィトン建築展」が開催されている。
21_21DESIGN SIGHTで開催中の「フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」は、ゲーリーの多彩な"アイデア"をテーマにしているが、エスパスLVでの展示は、昨年10月にオープンした文化・芸術複合施設《フォンダシオン ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton / 以下: FLV)》に特化している。

21_21会場の冒頭にもみられた《FLV》の模型とほぼ同じものが、店内1階でも展示中。
会場は7階。エレベーターを降りたところから展示がスタート。
モニター(上の画、奥)では、今年1月に《FLV》の音楽ホール「オーディトリアム」で開催されたスイス国際音楽アカデミー学院と小沢征爾氏とのコンサート、同氏へのインタビュー、オケとのリハーサルの様子を短いダイジェスト映像でループ上映(これは嬉しいサプライズ♪)。チラリだが上質なる音楽は場内にも流れてくる。
《FLV》はパリ西部のブローニュの森の中に、ルイ・ヴィトン財団のために建てられた(上の画は会場配布物)。下の画・パリ市のマップno.1、画面左端にマーキングされている所。
凱旋門、シャンゼリゼ、エッフェル塔など、パリを代表する建築・ランドスケープアイコンとも近い立地。
夜間はまた違った美しさに包まれるであろう会場。
本展は2014年10月に執り行われた《FLB》落成式の際にパリで開催され、FLVのプログラム「Beyond-the-wall "壁を超えて"」の一環としての巡回。
展示構成は、歴史、プログラム、設計、氷山、ガラスの帆といった章立てに。
"外皮"がない状態のスタディ模型。見かけに惑わされずに内部空間の配置=複数の容積ブロックを掴みやすい。屋上に複数設けたテラスからは、エッフェル塔などパリ市の建築アイコンを眺められるように設計されている。
21_21 DESIGN SIGHTの「F.ゲーリー展」を観た後なので、ゲーリーは先ず内部空間ありき、という前提で、これら《FLV》の模型を眺めることができたのは幸いであった。
「私はパリのために、フランスの深遠な文化的使命を象徴するような、壮大な『船』を設計する夢を抱いています。」ーーフランク・ゲーリー
ガラス張りで日中は光に包まれる《エスパス ルイ・ヴィトン東京》の会場にあわせて、パリ《FLV》での初回の展示、これまでの巡回展の構成から展示を一新したとのこと。
展覧会デザイン:フランク・ゲーリー、ゲーリーパートナーズ、ほか6氏。会場構成:ローランス・フォンテーヌ(場内表記のクレジットより)
場内掲出のテキストに拠れば、"これら建築模型の一群は、フランク・ゲーリーお気に入りのシンボルである魚たちの群れを想起させ"、"まるで液状空間をこれらの作品が浮遊しているかのように見え"るとのこと。確かに。
場内のモニターでは、ゲーリー事務所での模型製作風景の映像も流れている。
21_21会場には見られない展示物も。氷山(アイスバーグ)と呼ばれる《FLV》の外側にみられる白い塊を構成する建材ーー19,000枚もの白い特殊な強化コンクリート製パネル(FLV公式サイト〜建造物ページの表記では「繊維入りホワイトセメント」)「ダクタル(Ductal)」も。
ガラスの"帆"は12枚、ベールを成す曲線ガラスは約3,600枚、総面積は13,500平米。
なお、FLV公式サイトでは、建物が組み上げられ、"帆"が張られる様子も含めて建設過程を約1分半の早回しでみせる「Timelapse」をはじめ、動画が多数公開されている。
場内テキストいわく、「パリのための壮大な船」とは言い得て妙。
このまま真っすぐパリに飛び、ブローニュの森に鎮座する《Fondation Louis Vuitton》をこの目で見たくなる展覧会である。

そして期待通り、夜間の会場も美しかった。
世界限定50個の本展特別販売品「ハンドメイドのガラスケース入り、ゲーリーのサイン入りドローイング」も夜間のほうが綺麗(サインはこの裏面に入ってます)

「パリ - フォンダシオン ルイ・ヴィトン建築展」は来年1月31日まで、開廊は12-20時(12月31日は18時閉場、元旦休み)、入場無料。

エスパス ルイ・ヴィトン東京
www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/




+飲食のメモ。
11月1日までの期間限定営業で、トマト・野菜ジュースでお馴染みのカゴメが、使う野菜と果物の鮮度にこだわった"低音あらごし製法"によるミックスジュースのポップアップ・ストア[GREENS]を先月から表参道沿いにオープンしている。過日に利用。

9月に同名商品1種が一部地域で先行販売、11月中旬から同名商品も発売されるので、そのプレ企画と思われる(同社9月15日発表ニュースリリース。会計を済ませて待つヒマな間、「数種類あるうちから何故これを?」など簡単なアンケートにも応える
今の季節には日本人に馴染みの薄いハロウィン、カボチャの限定メニューもあり。基本メニューは赤、緑、黄、紫色のミックスジュース。そのうち、ふだん馴染みのない「ビート」とにんじん、いちご、ぶどう、りんご、レモンのミックスをオーダー(消費税込¥480ナリ)。ぶつぶつとした食感があり、なんだろかと訊いたらば、ぶどうの皮。「野菜を齧ったような新感覚」とはウマいコピーかも。

カラダに良さそうなものを摂取しました。
ごちそうさまでした。

CAGOME GREENS
www.kagome.co.jp/greens/

KINNASAND×長坂常 特別インスタレーション「ZOOM」

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南青山にあるクヴァドラ(Kvadrat)のショールームを会場に、同社が取り扱うテキスタイルブランド「キナサン(KINNASAND)」の新作コレクションの披露を兼ねたインスタレーション「Kinnasand New Collection『ZOOM』& Special Installation by Jo Nagasaka」が開催されている。会場デザインは建築家の長坂 常氏スキーマ建築計画代表)
「キナサン(KINNASAND)」は今から200年以上前にスウェーデン南部の町「KINNA」で創業したテキスタイルブランド。上質な素材と高い技術力によるたカーテンやラグなどを製造、2012年にデンマークのテキスタイルメーカーであるKvadrat社の傘下に。

日本初進出となる、クヴァドラ ショールームが南青山3丁目にオープンしたのは昨年の10月8日、このほど1周年を迎えたばかり。
青山を中心に秋のデザインイベントが多数開催される10月の下旬、ショールームという限られたスペースを会場に、キナサンのクリエイティブディレクターであるイサ・グリンク(Isa Glink)氏による新作「ZOOM(ズーム)」のコレクションを素材とした空間展示を、というのが長坂氏(下の画、メディアの撮影に応じている人物)に課せられた主題。ふだんはいわゆる"B to B"の予約制のショールームで、このような展示を行なうのは今回が初の試み。
上の画・右端に写っているのが、カーテンとラグの新作となる「ZOOM」のコレクションのひとつ。本展はアジアでの初披露でもある。触ってみると、生地はとても柔らく、持ち上げても重さをまるで感じない。この"ふわっふわ"な生地を、長坂氏は会場フロアの上に立ち(建ち)上がらせた。
展示で用いたのはニュートラルな白い生地。光と立体感が綺麗に表現されるものを選んだ。この生地に透明なアクリル製の光ファイバーを菱形に交差させて、"カゴ"のような円筒状の立体に。向こう側の景色や外光、来場者の姿が透けて見える。店内の人工灯に照らされる夜間は、また違った雰囲気になるとのこと。
「柔らかいレースのような今回の素材は、僕のこれまでのテリトリーの外にあるものです。住宅や店舗を設計する場面、カーテンなどはクライアントが選ぶものであり、僕らからは提案することはありませんし」。今回のコラボレーションは、長坂氏にとっても新鮮な体験となったようだ。
「布を使っての展示というと、通常は吊るす、あるいは平置きという二択しかない。それではつまらないし、きわめて柔らかい素材であればこそ、床の上で建たせてみたいと思った」(長坂氏談)
上の写真でも判るように、光ファイバーが外側に拡張しようとする力でもって、微妙なバランスで自立している。裁縫作業は当初、業者に依頼しようと考えていたが、あまりに繊細な生地ということもあって難しく、人海戦術による手縫いで仕上げた。一度ではうまく立ち(建ち)上がらず、気が遠くなるような作業の連続だったという。
「建築の場合、ある程度まで進むと自分の手を離れ、施工会社なり第三者に委ねるタイミングがくる。でも今回のように、文字通り自分たちの手でやれてしまうと、締切のギリギリまでとことん粘ることができる。それは良くもあり、悪くもあるのですが」と長坂氏。「絵を描くのと一緒かな」とは、東京藝大出身者らしい例えだ。
長坂氏といえば、先々週の末から清澄白河で始まった「Vitra x Blue Bottle Coffee」の会場構成も担当。発端となっている、今春のミラノサローネでのVitra社の展示会場をクヴァドラ社の関係者が見ていたことも、今回のコラボレーションのきっかけに。

「建築家とのコラボレーションが多いクヴァドラですが、傘下のキナサンも含めて、日本ではまだまだ知られていない、これから育っていくブランドです。長坂さんのこれまでの作品に対しても、どこか未完成な余白的要素を感じさせる、良い意味で曖昧な、そこに大きな魅力を感じていました。長坂さんとなら、"push the boundary"="限界を押し拡げていく"という、クヴァドラのブランド・アイデンティティも共有できると思いました。今回の作品も、まさしく立ち上がったばかりで、長坂さんもこれで完成だとは思っていないはず。次なる発展を予感させるインスタレーションとなりました」 (kvadrat Japan カントリーディレクター談)
「Kinnasand New Collection『ZOOM』& Special Installation by Jo Nagasaka」は11月3日まで。通常は予約制のショールームだが、イベント期間中に限り、誰でも自由に入店できる。

クヴァドラ ショールーム Tokyo
http://kvadrat.jp/about/showrooms/46/Tokyo




+飲食のメモ。
店舗前の坂道を渋谷方面に向かえば、隈研吾氏が手掛けた《サニーヒルズ》はすぐ。長坂氏が手掛けた《ブルーボトルコーヒー青山》も歩いて10分ほどの距離にある。だが今回は新規開拓、店から3分ほどの裏道にある[グラマシーコーヒー]で休憩。向かい合わせの2人席が3つというこじんまりしたカフェ。

246(青山通り)からのアクセスは、カレーパンの[天馬 青山店]の角から入る。なお、facebookによれば、年中無休ではなく、月に何度か日曜が休みになるようだ。
ホットラテSと、目に入った瞬間、「でかっ」と思ったチョコレートマフィンをいただく(合計消費税込み¥720ナリ)。どちらも好みの濃厚で、美味しゅうございます。マフィンはチョコレートがざっくざく、やはりかなりのボリューム(食べきれずに包んで貰って半分お持ち帰り+バナナマフィン¥280もテイクアウト→翌日も美味しゅうございました)
ごちそうさまでした。

Gramercy Coffee(グラマシーコーヒー)facebook
https://www.facebook.com/gramercycoffeebar

中村竜治「"買える設計図" roof 」@代官山T-SITE :ddd

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[代官山T-SITE]の蔦屋書店館内を使っての展示販売イベント「代官山 デザイン デパートメント(:DDD」が24日から開催中。今年の出展者は13組。いずれも代官山界隈の出身だったり活動拠点がある、当地にゆかりのある13組。うち、中目黒に建築設計事務所を構える中村竜治氏が新作「roof」を披露、2号館1階建築デザインフロアで11月3日まで展示、販売される。

roof」とは、蔦屋書店で建築コンシェルジュを務める坂山毅彦氏の「建築をより身近にしたい」という想いから、今回の<DDD>のために、中村氏と共に開発し、製作された「買える設計図(あるいは、買って持ち帰ることができる建築)」である。
roof」のサイズはA4,A5,A6の3タイプ、価格は500円(+消費税)から。透明ケースに貼られた商品シールでは「文房具」という分類に(笑)。 本体は建築模型をつくる時に使われるような、強度のある真っ白い紙。予め入っている切り込みを指で90度に折り曲げて、写真のように立てて(建てて)据え置く。

会期中の26日には、「建築を身近にする」と題して、中村氏、坂上氏、そしてウェブサイト「KENCHIKU MIYAGE WORLD」の開設・運営者の一人である建築史家の倉方俊介氏(大阪市立大学准教授)が登壇してのトークショーも開催された。
「平たい紙なんだけれども、手と指で折り曲げた瞬間に、柱ができて、天窓が開いて、屋根ができて、建築的要素が同時にたちあがる。これは紙の建築ならでは。限りなく抽象的な図面として、穴をあけずともそのまま図面としても飾ってもらえる」(中村竜治氏談)
「建築は絶対的に敷地に縛られるが、これは買った人がどこに置いてもいい。"置く"という方向性が生まれることで、それまで何でもなかった部屋の一角なり空間を見直すきっかけになるかも。買い手がクリエイティブに参加もできる作品」(三者の対談より)
展示では、900×900mmの特別仕様も(非売品)。壁紙のようなとても大きなものから、買う人がその場で好きな形や大きさにカットし買うことができたら、という「roof」のコンセプトを示している。
低いアングルから"rood"の下を覗き込むと、天窓から"木漏れ日"が落ちて、そこに建築的空間が拡がる。
今回は業者が切り込みを入れたものが販売されたが、当初のアイデアとして、購入者がカッターの刃を入れて、穴をあけてもらうことも考えたそうだ。
本展では、紙による作品「くま」と「ブーケ(トロフィー)」の展示に、同作品の平面図も添えられている。
中村事務所としては、図面の出展は珍しいとのこと。
そういえば、今までこの角度から眺めたことはない「くまkuma」の頭上アングルは、上面図では1本の線によるハニカムに。

「ブーケbouquet」は「VOUGUE Women of the Year 2010」のためにデザインされたトロフィー。「受賞者が8人いるということで、同じものだけれども、持ったときの持ち方によって、各人が違うものを持っているかのよう」になる。紙の厚さ、t=0.5mm、部品図の縮尺は8/1。
DDD>会期は11月3日まで。代官山 蔦屋書店1階の開店時間は7-26時。
なお、書店につき館内には撮影禁止マークがある。本展に限り、撮影およびネット掲出許可をいただいた。

なお、同フロアでは建築家の槇文彦氏も《ヒルサイドテラス》の図面と模型を出展中。隣接する当館ギャラリーほかでは「Fumihiko Maki,Maki and Associates 2015 : 時・姿・空間ー場所の構築を目指して」も11月29まで開催中、こちらも入場無料(11-19時/最終日は17時まで。月曜休館、23日は開場)。




+飲食のメモ。
[代官山T-SITE]内にある[IVY PLACE(アイビープレイス)]で平日にランチをいただく。

平日ランチは11時から16時ラストオーダーと長いのがありがたい。スープ、ライス(この日はカレーとナン)、サンドイッチ、パスタ、スペシャルの5種類の週代わりメニューがあり(各1,100〜1,800)、2人以上でシェアしたくなる。

ランチにはサラダ、美味しいオリーブオイル付きのパン、食後にコーヒーまたはエスプレッソが付く。アイスティーはタダでございます。
本日のサンドイッチ「タイ風フライドキチンとトムヤムマヨネーズのポテトバンズサンド」、写ってないが、トマトも挟まってます(苦手なパクチーは抜きでオーダーしてます)。けっこうな大きさ、これで1,500円という、コスパの高さ。
下の画は食後のエスプレッソ。キュッと苦いのでシメ。
開店から数年が経つが、平日の昼時でも行列ができる。その理由を納得した。料理はおいしく、人気だというテラス席でなくとも店内の雰囲気は良いし、なにより給仕スタッフのホスピタリティが良い。お世辞でなく。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

IVY PLACE
www.tysons.jp/ivyplace/

『安東陽子|テキスタイル・空間・建築』刊行記念展@富ヶ谷 nani

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テキスタイルデザイナー・コーディネーターの安東陽子さんの作品展「『安東陽子|テキスタイル・空間・建築』刊行記念展 The Textiles of Yoko Ando: Weaving Spaces and Structures」が、富ヶ谷にオープンしたギャラリースペース[nani]にて、31日まで開催されている。開廊は13-18時。

[nani]は、閑静な住宅街の一軒家の1階部分をリノベーションしたもの。2階には、須山悠里氏のデザイン事務所 suyama design が入っている。

ギャラリーのこけらおとしでもある本展は、安東さんとしては初めての作品集『安東陽子|テキスタイル・空間・建築(LIXIL出版/下の画のスツールの上の書籍。会場でも特別販売中)の刊行記念展でもある。
同書に収録されている、安東さん(上の画、端に写ってマス)がこれまで手掛けてきたテキスタイル作品が、12.5角の小さなパネルにおさまっての展示。
頭ではテキスタイルだとわかっているものの、安東さんを前にして「これって生地ですか?」とベタな質問をしてしまうほど、その色と素材のバリエーションたるや実に多彩。
左端:伊東豊雄建築設計事務所の最新作《みんなの森 ぎふメディアコスモス》に納品されたテキスタイル。
右端:2011年に西麻布のギャラリーMITATEで開催された展覧会「安東陽子 /大谷敬司  布から生まれて・・・」で披露された「Sticky Fabric」(参考:会場MITATE発信リリース.pdf。その左は《かまいしこども園》のもの。
どこで使用されたテキスタイルかは、扉式のパネルを開けると、安東さんのイラスト付きでわかるようになっている。前述書籍とも連動し、掲載ページがその下に。
安東さんのテキスタイルは、建築というジャンルでは、青木淳、伊東豊雄、隈研吾、小嶋一浩、中村拓志、山本理顕といった各氏が設計した作品のなかでみることができる(例えば《青森県立美術館》カフェのカーテンなど)
会場の一角ではスライド上映も(撮影:片村文人)
道に面した窓に掛けられているカーテンは、2013年のミラノサローネに出展した(株)カネカのブースで使用された素材(同社リリース2013.3.28発信.pdf。その際は真っ暗な空間だったが、本展では自然光の下に。
織の細かい、とても軽いテキスタイル。安全ピン10個で留められていた。素材はポリエステルで、表面のグラデーションは昇華転写というプリントによるもの。裏側は金属が蒸着(スパッタリング)されている。
金属側、路上からギャラリー空間を眺めても、中の様子は見通せない。
風になびき、光によって色が変化する安東さんのカーテン。見飽きない。布とひとことでいっても、いろいろな種類と用途、作り手が全国にいることを本展で知る。
さて、こちらの[nani]は元は一軒家。3枚の可動式パネルにより、展示内容に応じて空間の仕切りを変えられるようになっている。
手で動かせるように、壁はフラッシュパネル。60mm角の木材を芯に、両側から5.5mmのパネルを張った。小口部分だけは意匠として積層したようにみせている。玄関から搬入できるサイズで持ち込み、内部で組み立てて施工したとのこと(萬代基介氏談)
「『安東陽子|テキスタイル・空間・建築』刊行記念展 The Textiles of Yoko Ando: Weaving Spaces and Structures」会期は10月31日が最終日。13-18時開廊、入場無料。

nani
www.suyama-d.com/nani/




+飲食のメモ。
会場のギャラリー[nani]は、富ヶ谷に本店を構える[THEOBRAMA(テオブロマ)]の近く(さらにその東側には「FUGLEN」もあり)
テオブロマといえばチョコレートが有名だが、6種類ある生キャラメル「キャラメルアソート」が個人的にはおススメ。贈答用(&自分へのご褒美)に丸缶でも売っているが、1つ97円でバラ売りもしている。夏を過ぎて持ち歩けるベストシーズン到来。トロピック、ソルト、ピスタチオ、フランボワーズ、そしてショコラ(はっ、アーモンドを買い忘れた)、どれもとっても美味しゅうございます。

THEOBRオMA(テオブロマ)
www.theobroma.co.jp/

arflex × ミロコマチコ「たいようのねっこ」展

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恵比寿にある[アレフレックス ショップ東京]にて、arflex × ミロコマチコ「たいようのねっこ」展が10月22日から始まり、11月3日まで開催されている。
昨年は国テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏を迎えての「MARENCO×鈴木マサル」、今年は絵本作家のミロコマチコ氏とのコラボレーションイベント。

ミロコマチコ氏は1981年大阪生まれの画家。絵本作家としてのデビュー作『オオカミがとぶひ(イーストプレス,2012)で第18回日本絵本賞大賞を受賞。2年に一度開催される国際児童書コンクール「ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ(BIB:Biennial of Illustrations Bratislava)」では、『オレときいろ』(WAVE出版,2014)が、準グランプリにあたる金のりんご賞を受賞したと今年9月に発表されたばかり。また、2013年にはTBS「情熱大陸」にも登場している(ミロコマチコ 公式サイト www.mirocomachiko.com/

今回のコラボイベントでは、アルフレックスの家具と、家具が置かれた店内をキャンバスに見立て、ミロコマチコ・ワールドが立体的・空間的に展開されている。
最新パーソナルソファにミロコマチコ氏がアクリル絵の具で仕上げたオンリーワン仕様。
上の画、左:革張り〈MONICA(モニカ)〉、右:生地張り〈GIULIO(ジュリオ)。〈MONICA〉の販売価格は60万円+消費税。
「革や布が襞(ひだ)になっていたり、縫い目があったり、絵の具がのりにくかったり。そんなところが、思い通りに描けなくて面白い。そしてソファの裏側は馬の背中、というふうに絵を反対側から見たように描けるのも魅力的でした。」(イベント「たいようのねっこ」にむけて、ミロコマチコ氏へのインタビューより)
店内に入ってすぐ目の前には、生地のキャンバスいっぱいに画かれたしろくまの作品。フィンランドを旅した際に現地で着想を得て、現地に滞在して制作された。
昨夏に《横須賀美術館》で開催されたグループ企画展「こどもと美術を楽しみたい! キラキラ、ざわざわ、ハラハラ展」において、公開制作された作品「ヘラジカの森」は、縦2.7m×横12.6mもの大作。北欧の森をイメージして、天井からもミロコ作品「とぶもり」があわせて吊り下げられている。
奥の作品:ミロコマチコ「ホロホロチョウのよる」
この"でっかいくじら"こと「ナガスクジラ」はワークショップの時など屋外でも展示され、雨風を浴びて「たくましくなった」とのこと。
暮らしの中にアートがあると、華と潤いがあって素敵だなあと素直に思える今回の空間展示。非売品を除き、会期中は店内のミロコマチコ作品を購入できる。
今年9月に発売されたばかりの絵本『つちたち(学研教育出版)の原画も特別展示されている。
今回のコラボイベント「たいようのねっこ」では、作品が店内に飾られた初日で会場がFIXするのではなく、会期中にも作家が店内の仮設アトリエで作品を書き続け、徐々に増えていく。22日の晩の夕方の時点では、アトリエの壁には未だ真っ白な状態のキャンバスが幾つも掛けられていたが、30日の晩にはミロコ作品で埋め尽くされていた。
上の画・中央:会期中2回のライブペイント・セッションのうち、オープニングを飾る22日の夜18時から約1時間で描き上げられた「おはよう、たいよう」。このほか、プレイベントとして、作家と子どもたちとのワークショップが開催された。アルフレックスで小さな子どもたちを対象としたイベントが開催されたのは今回が初。
会期初日の22日には、今回のコラボイベントに企画協力した noie cc by newtonの代表者の作品解説付きプレスツアーも開催された。ノイエが経営する額縁・額装店newtonが、顧客として通っていたアルフレックス代表取締役社長 保科 卓氏と、作家として額縁をオーダーしていたミロコマチコ氏との出逢いの場となり、今回のコラボレーションが実現した。

arflex × ミロコマチコ「たいようのねっこ」展は10月22日から11月3日まで(定休日:10月28日)。営業時間は11-19時。入場無料、事前予約も不要。

アルフレックス ジャパン
www.arflex.co.jp/




+飲食のメモ。
2回めのライブペイント&セッションで「おやすみ、たいよう」(左の画、画面奥の作品)が描き上げられた3日後の30日の晩、会場の完成を祝うパーティ「ねっこたちの夜」が開催された。

ミロコマチコ作品に囲まれながら、いただいた料理とドリンクが、その美味しさもさることながら、「こんなの見たことない」というくらいにビジュアルも素晴らしくて感動した。

作家の世界観を見事に表現したメニューの数々は、山フーズの小桧山聡子氏と作家が共に考えて用意したもの。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
パーティでは会期中に開催されたライブペイントで作家とセッションしたミュージシャンも再び登場。ミロコマチコ氏も自ら楽器を手にし、子どもたちの「アンコール!」に何度も応えていた。

こうして「ねっこたちの夜」は、楽しく賑やかに、いつまでも続いていったのでした。おしまい。

良品計画が提案する「MUJI HUT」コンセプトモデル 屋外展示

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東京ミッドタウンで開催中の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」もいよいよ会期終盤。
東京ミッドタウン・ガーデンに、無印良品ブランドでお馴染みの(株)良品計画が新たに提案するプロジェクト「MUJI HUT」のお披露目として、深澤直人、ジャスパー・モリソン、コンスタンチン・グルチッチのデザイナー3氏によるそれぞれのコンセプトモデルが姿をみせた。10月30日から11月3日までの5日間、屋外展示される(詳細:2015年7月9日発表 同社ニュースリリース

会場で主催者から聞いた内容をまとめると、この「MUJI HUT」は一連の「無印良品の家」とはコンセプトを異にするもので、"B to B"の需要に応じて開発された短期滞在型株式会社MUJI HOUSEは本展の設計・建設協力会社としてクレジットされている)
"ミニマムでありながら豊かな時間を過ごすための小屋"(前述・同社リリースより)。発売開始は来年度中が目標とのこと。
以下は「MUJI HUT」特設サイト記載のテキストより。

一人でこもる。読書を楽しむ。妄想にふける。雨音を聞く。
美味しい空気を吸う。家族と友人とこもる。
暖炉を囲む。自然を楽しむ。普段できない会話を楽しむ。


都会の喧騒から抜け出し、居心地の良い空間を体感してください。

ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)による「コルクの小屋」
炭化コルクが下見張りされた外装。海外ではコルクは断熱材として一般的に使われているとのこと。
「コルクの小屋」は外周をぐるりと濡れ縁がまわり、掃き出し窓から出入りする。
琉球畳が敷かれていない一角には小さな薪ストーブ。空間のイメージとして、ジャスパー・モリソンがデザインしたイージーチェア(NIKARI製)や照明器具(FLOS製)も配置されている。
コンセプトモデル3タイプのうち、このJ.モリソンの「コルクの家」が最も平米数があるため、価格も比例する見込み。
モデルにおける工法は「無印良品の家」と同じSE構法(構造設計・躯体提供・施工協力:株式会社エヌ・シー・エヌ
水まわり、トイレとシャワールームは一体空間。
収納キャビネットの把手もコルク。

深澤直人「木の小屋」
黒い外装は焼き杉、切妻屋根はガルバリウム鋼板葺き。
深澤氏が所有する別荘の雰囲気にどことなく似ているらしい(関係者談)

小屋と聞くと魅力がある。別荘ほどでもない。キャンプほど単純でもない。

小さな小屋があればいつでも自然の中に潜り込める感じがする。
最小限のもので小さく暮らす。MUJIらしい暮らし方の提案です。

バスルームにアルネ・ヤコブセンがデザインした水栓金具が使われているところに深澤氏のこだわりを感じる。黒いシェードは無印良品の既製品。
仮に住まう小屋というコンセプトのもと、今のところはバスルームでのかけ湯は想定していない。
水まわり空間を出て、ガスレンジ付きステンレスキッチンの手前から、反対側の切妻(出入口側)の眺め。

コンスタンチン・グルチッチ(Konstantin Grcic)「アルミの小屋」

製造・設計協力者としてクレジットされているのは、アルミバンと呼ばれる特装車やコンテナなどを専門でつくっている(株)北村製作所。同社の全面協力を得て製造され、手動で上下に開閉させる扉も含め、主要な部品と構造を"小屋"に転用。

左右の壁にみられるのは、実際に荷台のボックスの中で積み荷が動かないように使われているというストッパー。
従来は横に長い荷台を、縦方向に長くした小屋。上層はロフトになっている。
下は障子、上は網戸仕様となっているが、冷凍車両の製造技術をもってすれば気密性は抜群。
前述のメーカーは通信やエネルギー分野における局舎やシェルターなども手掛けており、人が使う空間づくりに対してまったくゼロからのスタートではなかった。但し、ハコとしては極めて軽量につくられているため、本展では約1tの基礎をうって"重し"としている。
今回展示されている3タイプはあくまで「MUJI HUT」のコンセプトを提示、空間イメージを伝えるためのもので、来年以降に実際に発売される商品の細かな意匠、日本の気候や風習にあわせた仕様、そして法規のクリアなどの細かな面は今後の検討事項とのこと。

「MUJI HUT(ムジ ハット)」特設サイト
www.muji.com/jp/mujihut/




+飲食のメモ。
近くに[Cafe & Meal MUJI]があれば焼きプリンを求めて直行するところだが、今回はガレリアB1Fに入っている[DEAN & DELUCA]のカフェにて休憩。
「パンプキンメープルケーキ」(¥350+消費税)とブレンド(Sサイズ¥300+消費税)をいただく。

甘さひかえめ。おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

DEAN & DELUCA(ディーン アンド デルーカ)
www.deandeluca.co.jp/

yamagiwa tokyo - 1st. anniversary「driade×yamagiwa」

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yamagiwa(ヤマギワ)のショールーム[yamagiwa tokyo]が昨年の10月10日に南青山にグランドオープンしてからおよそ1年、アニバーサリー企画として「driade×yamagiwa」が24日から始まっている。
左の写真:yamagiwa提供

1960年代後半の合理主義デザインに対する反動の時代に生まれ、ポストモダンの台頭へ至る過激なデザイン論争の時代に成長したdriade(ドリアデ)。常に冷静に「モダン」の意味を問い続け、現在も、イタリアの知的アバンギャルドとして世界で高い評価を得ています。このdriadeの名作・新作とYAMAGIWAの新作照明をインテリアスタイリスト 中林友紀氏によるスタイリングでご紹介いたします。(yamagiwa ニュースリリースより転載)

前述の通り、会場はyamagiwaの新作と、drirade の名作および新作で構成されている。
伊東豊雄氏がデザインしたペンダント照明「MAYUHANA」の新色「MAYUHANA MA BLACK」もお目見え(yamagiwa.近日発売予定)。パッサージュの床につけられたドットが延長して大中小の「MAYUHANA MA BLACK」が空中に浮かんでいるかのよう。
サイズは直径390、430、500mmの3種類。上の写真では青みがかっているが、従来の「MAYUHANA BLACK」の墨色よりもさらに黒くなった。"MA"とは"真"、"本当の黒"の意。
6月に開催された展示会「LE KLINT の革新2015」とはまた雰囲気が異なる会場。今回のテーマは「際(きわ)」。寒色と暖色、異なる素材同士ーー例えば、同じdriadeの製品でもデザイナーも発表年も異なる、上の画手前の毛織敷物:「SHERAZADE」(Laudani & Romanelli,2007))、ベロアの椅子「S.MARCO(Matteo Thun & Antonio,2006)、画面奥:「NEOZ」シリーズのソファ(Philippe Starck,1996)真っ白いリネンなどーーをインテリアスタイリストの中林友紀氏がコーディネート。
誕生して間もない新作と、名作と呼ばれるものたちとが違和感なく、同じ空間の中で響き合う。
手前:yamagiwaから近日発売予定の「CREA SERIES」から、金属にウォルナット仕上げまたは黒檀色仕上げの木をあわせたペンダント。本体色にあわせてコードは茶系。黒檀色仕上げはスタンドもあり。
左隅に配されているのは、フランク・ロイド・ライトがデザインした「タリアセン(フランク・ロイド・ライト財団の承認を受け、yamagiwaが20年以上も復刻版を製造・販売)。従来のウォルナットとチェリー仕様に、このほど木黒漆仕上げ「Black Edition」が加わった。
コンスタンチン・グルチッチ(Konstantin Grcic)が1996年にデザインしたdrieadeの「Zigzag」。ジグザグ構造はそのままに、棚板にウォルナットやオーク材、ブロンズのパーテーションや、蛍光オレンジのブックエンドが新たに加わった。
同シェルフは高さ2010mmのものと低い880mmの2タイプ。
上の画・棚の上および下の画・テーブル上:driadeが今春発表した花器「ROOT」(Giorgio Bonaguro,2015)
driade「GAZELLE(Park Associati,2012)のまわりには、「MOLLINA」(Park Associati,2012)。「LAGO'(Philippe Starck,2004)など。今年発表された「SOF SOF(Ebzo Mari,1972)の復刻版も。
中林氏がスタイリングしたテーブル上に吊り下げられているペンダントは、ドイツの照明メーカーであるNyta(ニュイタ)の「Tilt(ティルト)」。手で動かして灯具の向きを変えることができる。yamagiwaから近日発売予定。
yamagiwa tokyo - 1st. anniversary企画「driade×yamagiwa」は11月7日まで(期間中休館日10月28日、11月4日)、オープンは11-18時。

yamagiwa
www.yamagiwa.co.jp/




+飲食のメモ。
南青山三丁目交差点からキラー通りを北上、神宮前三丁目交差点を超え、イタリアンの名店[ラ・パタータ]も超えた先に、こだわりのクレープ屋[PÄRLA(パーラ)](下の画、左)、数軒先に並んでラテ屋[talk and come again(トクガワエン)](下の画、右)がある(共に外観は黒くて似ているが、2店の店主は別々)
こちらの[PÄRLA]も昨年10月のオープン。今年9月の新宿高島屋催事「美味コレクション」に出店していたのを見かけて以来、気になっていた店。イベント出店時はキラー通り沿いの店舗はクローズに(11/4-13は名古屋高島屋の催事会場に"移店")
クレープと一緒にコーヒーも買えるのだが、「お隣のほうが美味しいですよ」という店主の薦めにより、クラシッククレープ「キャラメルナッツ」(¥1,000)をつくってもらう間にそちらにオーダーに向かい、ハンドドリップの「トクガワエンラテ」(¥430)もオーダー。
なお、[talk and come again]には小さな店内の壁にそって立ち飲みカウンターがあるが、クレープの[PÄRLA]はテイクアウトのみ。お行儀としてはよろしくないが、おいしいものを食したい、素材にこだわった最高級クレープを味わいたいという欲望が勝る。メニューはほかにもいろいろあり、抗し難い。

どちらもたいへん美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

PÄRLA(パーラ)
http://par.la/
https://www.facebook.com/parla.crepe/

talk and come again(トクガワエン)facebook
https://www.facebook.com/talkandcomeagain/

「愛のコンティニュアスデザイン」展@ アクシスギャラリー

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六本木のアクシスギャラリーにて、先月30日から「愛のコンティニュアスデザイン」展が開催されている。会期は11月8日まで。

主催:アクシスギャラリー、S&O DESIGN
プロダクトデザイン:清水久和
企画:岡田栄造(S&O DESIGN)、谷口真佐子(AXIS)
会場デザイン:山口誠(山口誠デザイン
グラフィックデザイン:井上公一(Oryel
写真:宮原夢画(Muga Miyahara photografia
映像編集:畔柳尭史(ポーラーデザイン)

コンティニュアスデザイン(CONTINUOUS DESIGN)とは、S&O DESIGN(株)の代表を務め、プロダクトデザイナーである清水久和氏が提唱・実践するデザイン手法。頭の中に浮かんだかたちのアイデアを、3Dソフトの独自に設定したエイリアス機能つかって具現化し、原型からフィニッシュまで途切れずに完結させる。いわゆる2D上の図面も、モックアップも要らない。ソフトは単なるデータ入力に陥らずに純粋にデザインの道具として使う。
企業の製造ラインでは、デザイナーと完成形との間に第三者が複数介在し、その担当者が異動することもしばしば。清水氏いわく「弱々しいデザイン」になりがちのところ、コンティニュアスデザインならば「フレッシュなデザイン」に。

清水氏と、氏の呼びかけに賛同したメーカー7社(後述)によるコンティニュアスデザインへの取り組みは、雑誌『AXIS』の2014年12月号から連載され、本展はそのコンセプトモデルが一堂に介して発表される。
これにより、従来のような二次元を基軸とするデザイン手法からは生まれえなかった、かつ製造も難しかったものを造り出すことが可能に。例えば、上の画に写っている清水氏の最新作(通称「マゲ貯金箱」)、そして2013年の瀬戸内芸術祭で発表された「オリーブのリーゼント」は共に同じプロセスで制作されたもの。展示台上のモニターでは、清水氏がこれまで手掛けたプロダクトをスライドショーで紹介している。

なお、本稿のテキストは、清水氏と岡田栄造氏によるギャラリーツアーの解説、オープニングレセプションでの関係者のコメントを元に、会場で販売中の作品集『愛のコンティニュアスデザイン』(株式会社アクシス,2015)収録テキストも参照しながら構成している。

清水久和×ノリタケカンパニーリミテド
ノリタケの森《ノリタケミュージアム》を清水氏が見学した際に知ったという〈トーストたて〉に着想を得た、果物を載せるコンポートとカップ&ソーサー。器を使わずにコンビニ弁当で食事を済ますような、忙しない現代が失った、丁寧な暮らしを蘇らせるプロダクトを提案したいという清水氏想いから誕生した。
コンポートの高台から縁(ふち)にかけての曲面形状は、従来のデザインでは数値として図面化するのが困難であった。
コンセプトは"200年後のノリタケ"。これらの作品は、"発掘された陶磁器の破片"からもインスピレーションを受けており、表面の絵柄は古来から伝わる陶磁器の修復技術をイメージ。ノリタケの白い陶器を一枚、清水氏が実際に割ってみた形状を再構築している。

清水久和×コクヨ
(ブレード)と把手が一体化したハサミ。茎から花へと連続するような"開花"をイメージしたもの。既にプロダクトとしてはほぼ完成しているハサミだが、大人が使う上質感、高級感を付加した。

場内の壁を飾る大判写真は、宮原夢画撮影のもの。S&O DESIGN がデザイン画とコンセプトを伝え、後はモデルの設定から全て自由に撮ってもらったとのこと。

清水久和×コトブキ
公園向け遊具などを開発している部門とのコラボレーション。
寸法にとらわれない、3Dならではの造形。飴細工をひねり、ねじったような流線型の"水飲み場"。水の流れもスパイラルになる。子どもたちが集まって、向かい合った3人が同時に利用すると楽しい。
展示台のモニターでは、芝生の上に仮置きされた"水飲み場"の使用イメージの映像も(撮影協力:オランダ大使館)

清水久和×富士フィルム
本展のポスターやDMなどに作品の一部拡大の画が使われているのがこちら。

スマートフォンの浸透により、今日では撮影機器というよりもメッセージ性をもったファッションアイテムとして人気があるという"チェキ"こと「インスタックス」に、定番のファッションアイコンであるスタッズ(鋲)を纏わせた「スタッズチェキ」。"ちょっとワルそうな"チェキである。
パッケージと専用フィルムは、出来上がった作品にあわせて富士フィルムのデザインチームが用意した(参考商品につき、発売は未定)
清水氏いわく、「もともとスタッズとは、インダストリアルの分野から生まれた形状であり、それが後にファッションにも取り入れられた。今回のプロジェクトで再びスタッズを工業側に引き戻し、デザインアイコンであると同時に機能も持たせた」。スタッズのひとつはシャッターになっている。

上と下の画、奥に写っているのは、象印マホービンの出展作品のイメージポスター。
清水久和×象印マホービン
高品質・高性能を誇り、特に中東での人気が高いという、社名にも冠されているマホービン(魔法瓶)。卓上に垂直に立てるのではなく、斜めに据え置く。把手が無いのは「モノと一体感のあるハンドリングを試したかった」と清水氏談。中身が満タンで重くとも、少しだけ傾ければ、楽に使うことができる。3つの展示モデルのうちひとつは内部の構造がわかるように特別なガラス仕様。

清水久和×資生堂
1954年に発売された香水「ホワイトローズナチュラル」のためにデザインされたボトル。清水氏にとって、薔薇(バラ)=花びらとは結びつかず、幼少期の記憶もあって「棘(とげ)」というイメージが強かった(驚くべきことに、清水氏は資料も何も参照せずにこの棘を具現化したとのこと:ツアー時の談)。この斬新なボトルに創作意欲を触発された、資生堂の香料開発グループチープパヒューマーが新たに香料をブレンド、モデルと並んでお試しサンプルの綿が用意されている。

清水久和×天童木工
天童木工が開発し、かつてはテニスラケットの製造にも使われていたコマ入れ成形の技術を活かした「ラケットチェア」。4カ所にコマ入れ成形が使われている。角(端部)がないため、人がぶつかっても痛くないし、和室にも置いても畳が傷まない。本体スギあるいはホワイトビーチでの商品化が決まっている(天童木工東京ショールームにて注文予約受付中、商品の到着は来年春以降の予定)

以上7社の作品および清水氏の新作が並ぶ会場のデザインは、建築家の山口誠氏山口誠デザインが担当。主催者であるS&O DESIGN のデザインディレクターを務める岡田栄造氏から伝えられた会場イメージは「高級時計やジュエリーが陳列されているような雰囲気」。
「来場者で埋まってしまうとわかりにくいのですが、ポイントは足下です」と山口誠氏。
展示台の側面にアクリルミラーを張り、表面は真っ黒く塗装。膝のあたりで約5cm幅のグラデーションがかけられ、徐々に黒がぼやけて、床に近い部分では完全に鏡に戻る。この鏡の部分にフローリングの床が映り込み、まるで展示台が作品ごと宙に浮いているかのように見える。グラデーション加工は手作業によるもの。
今回そしてこれまでの拙稿も、備忘録に添えてきた撮影画像は全て、清水氏がデザインしたキヤノン「IXY Digital」である。このような"邂逅"を果たすとは、全く思いもよらなかった。

「愛のコンティニュアスデザイン(LOVABLE CONTINUOUS DESIGN)」展は11月8日まで。開廊は11-19時(最終日は17時まで)。入場無料。ギャラリーツアーが開催される場合、AXIS Gallery facebookにて告知あり。

アクシスギャラリー「愛のコンティニュアスデザイン」
www.axisinc.co.jp/media/exhibitiondetail/





+飲食のメモ。
AXISビル3階[IMA CONCEPT STORE] の奥にあるカフェ[IMA cafe] にて休憩。平日の開店は12時と上階のアクシスギャラリーより1時間遅れるが、22時まで営業しているのがありがたい(土日祝の営業は11-20時)。30日のオープニングレセプションの後も平日L.Oの21時半ギリでなんとか利用できた。アリガトウございます。
コーヒーやラテがおいしいので、アクシスギャラリー見学時に何度か利用しているのだが前回の画、2-3種用意されているマフィンが[RFECTOIRE(レフェクトワール)]のものだったと初めて気付く。うかつ。
先にオーダーした「カモミールジンジャー」(¥500)とはちょっと合わないかもナーと思いつつ、追加購入せずにはおれぬ「抹茶・ココナッツ・黒糖クランブルマフィン」(レシートをもらい忘れる。ちなみに本店での販売価格はだいたい¥250+税)
どちらも美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

IMA CONCEPT STORE
http://imaconceptstore.jp/

第1回SACLAB 建築デザイン展「360°住宅解剖展」@三協アルミ首都圏ショールーム

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西新宿にある三協アルミ首都圏ショールームにて、『第1回SACLAB 建築デザイン展「360°住宅解剖展」』が開催されている。出展は建築家の納谷新(なや あらた)氏。
同展タイトルに冠されている"SACLAB"とは、Sankyo Alumi Creative Laboratoryの略で、通称サクラボ。三協アルミが「建築家と共に新しい住空間を考えるプロジェクトとして2013年春にスタートとしている。本展では、クリエイターの一人である納谷氏が設計し、神奈川県内に昨年竣工した自邸《360°》の模型や関連資料を展示し、これからの郊外住宅のありかたについて考察する(企画:株式会社TRUNK

納谷新氏は兄の学氏と共に1993年に納谷建築設計事務所を設立、兄弟で所長、副所長を務める。納谷新氏ひとりでの個展は今回が初めて。
あいさつ文と共に添えられているのが、土地も何も決まっていないうちに納谷氏が描いたという最初のスケッチ。素描からもわかるように、この時点で「建てるなら傾斜地がいいと思っていた」と納谷氏。
自邸《360°》の模型。敷地は山の中腹。南に面した庭より先は、模型でも再現されている通りの高さがある擁壁。陽当たりは抜群。1階の屋根の上は芝を張り、デッキ空間も部屋の延長としてとらえている。
上の画・模型の左隅、芝生の庭の隅に"植えられて"いるのも新氏の作品で、会場内に実物も展示されている樹木型フェンス「momi(モミ)」。これは"新たな敷地境界"をコンセプトに開発されたもので、前述SACLABの商品化第一弾。「S.ボーダー」シリーズとして昨年6月より三協アルミから発売中(2014年5月30日発信 同社リリース。納谷氏は自邸では洗濯物干し場として使っている。
1階はグランドラインから900mm掘り下げている。リビングのソファに座ると、半地下に篭るようになり、立ち上がると視界が開け、庭むこうの見渡しが素晴らしいとのこと。プライバシーも適度に守られる。
会場では、自邸の中二階も再現されている。天井高1.35mの畳敷きの小空間で洗濯物を畳んだり、客間となることも。
《360°》の設計には、寺田尚樹、藤森泰司、岡安 泉、安東陽子の各氏も参画、作品を提供している。1/1体験型展示の空間では、納谷氏も出席して収録された座談会の映像も流れる。
寺田尚樹氏インターオフィスデザイン本部取締役本部長)は表札をデザイン。
藤森泰司氏藤森泰司アトリエは階段を。
岡安 泉氏岡安泉照明設計事務所は照明の一部をオリジナルで製作。
安東陽子氏(安東陽子デザイン)はリビングのカーテンを。

場内には敷地を探している頃から竣工、現在に到る足掛け5年の年表も掲示されているので、工事全体の流れと、各氏が関与した時期もわかるようになっている。「自邸ということもあって、時間がかかり過ぎました。事務所で受ける仕事はこんな悠長なことをしていられません。もっと迅速です(笑)」と納谷新氏。
会場内には、SACLABの一環として、安東氏と三協アルミが共同開発し、前述「S.ボーダー」シリーズとして今年8月に発表した樹脂製室内引き戸パネルAMiSから、雨のしずくをイメージした「しずく」と、川のせせらぎをイメージした「ながれ」の実物展示も(同社ニュースリリース
その前に展示されているのが、前述の樹木型フェンス「momi(モミ)」。なお、異なる形状の「kaede(カエデ)」もあり。
自邸の洗濯物干場を"再現"。掛けられているトートバッグとTシャツは本展のために用意したもの。Tシャツには《360°》の平面図がプリントされている。

第1回SACLAB 建築デザイン展「360°住宅解剖展」』は三協アルミ首都圏ショールームにて12月1日まで開催(水曜休館)。開館は10時から17時。入場無料。
なお、11月20日の夜には「360°みんなで語り、つくる家(仮)」と題して納谷新氏が登壇する「トークイベント」も開催される(無料、要予約)

SACLAB 公式サイト
www.saclab.jp/




+飲食のメモ。
三協立山(株)および三協アルミ社の本社があるのは富山県。富山といえば、鱒寿司。駅弁の定番、絶品です。
会期初日の夜、納谷新氏をはじめとする関係者を招いてのオープニングパーティに供され、大人気。
快く撮らせてくださった社員の方々の笑顔から、富山への大いなる愛を感じました。
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

「アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY」@OZONE

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北欧モダンを代表するフィンランドのインテリアブランド、アルテックが今年10月15日で"80歳"を迎えた。80周年を記念する巡回展「アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY - 80年のキセキとこれから -」が、西新宿のリビングデザインセンターOZONEで5日から始まった。会期は11月24日まで。
エレベータを3階まで上がった目の前に、アルテックを代表するアイコンといえるチェア、照明の数々が並ぶ。

左から、アルヴァ・アアルトが1936年にデザインした〈901ティートローリー〉、〈41アームチェアパイミオ〉、〈401アームチェア〉、スタッキングされた〈スツール60〉、〈チェア66〉。一連の黒い椅子はイリタリ・タピオヴァーラ(1914-1999)がデザインした〈ドムスチェア〉のシリーズほか。
"手榴弾"の呼び名をもつペンダント〈A110〉、"蜂の巣"〈A331〉、"ゴールデンベル"〈A330S〉、"カブ"〈A333〉など。
冬が厳しく長いフィンランドでは、家の中でいかに快適に過ごすかが重要に。機能的であることはもちろん、見た目の美しさ、長時間照らされても心理的に負担とならない光であることが求められた。
照明に限らず製品全ての共通するデザイン理念は、アルヴァ・アアルト(1898-1976)ら4人による創業宣言「マニフェストManifest」に基づく。
そもそも社名のアルテックとは、「アート(芸術)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わせた造語。この2つの領域を融合させ、単なるものづくりに留まらず、デザインを広義に啓蒙する役割を果たそうとした。かつて運営していたギャラリーでは、ミロやピカソといったアーティストの展覧会も開催されている。
アルテックのネットワークを俯瞰できる「アルテック コスモス」と並んで掲示された、このマニフェストは実に明快。3つの枝ーー左から、Modern art、Industry and Interior design、Propaganda に分かれ、相関の関係にもある。国際的に発展してからの後付けではなく、創業時から掲げていたというのが凄い(1935年はバウハウスのデッサウ校が閉校した3年後、ドイツがポーランドに侵攻する4年前。日本の年号では昭和10年である)
会場に展示されているアルテックのチェアやソファには座ることもできる(以前、OZONEにあった[chaircafe]を想い起こさせる嬉しい企画)。上の画は、アアルトが1933年に発表した〈401アームチェア〉に腰掛けての、"1つ歳上"の〈41アームチェアパイミオ〉、そのほかの眺め。
この〈パイミオ〉は、アアルトが建築設計コンペを経て手掛けることになった《パイミオ サナトリウム》のために開発、デザインされたものとして知られる。
曲げ木の技術はその後のアルテックの歴史をもそのままかたちづくっていく。「L-レッグ」(下の画、左上)は〈スツール60〉の脚であり、1946年にはL脚3本を90度で接合した「Y-レッグ」が(その右隣)、さらに扇状に展開させた「X-レッグ」が開発される。
特許を取得しているアルテックの曲げ木は、木目を縦横互い違いに積層しないで同じ木目で揃え、強さのなかに柔軟性をもたせている。肝となる「ラメラ」も展示で確認できる。

アルテックの加工技術については同社の製品を取り扱っているSEMPLEのWEBカタログのテキストが詳しい。さらに本展会場の配布物も、アルテック80年の軌跡を網羅していてわかりやすく、勉強になる。
今春のサローネでも展示された新作。ブルレック兄弟(ロナン/1971,エルワン/1976-)がデザインした〈カアリ〉のシリーズのテーブルに、コンスタンチン・グルチッチ(1965-)の〈ライバルチェア〉という組み合わせ(上の画、左側)。〈ライバルチェア〉の座面は回転式で、アルテックとしては初となる。
手前のオットマン付きの黒いチェアは、ウルヨ・クッカプロ(1933-)がデザインした〈カルセリ ラウンジチェア〉。

特別展示はほかのフロアにもあり。下の画は4階のコンランショップ内にて(撮影・掲載許可済み)
〈チェア66〉の向かいの壁、〈カアリ テーブル〉の上に掲げられているのは、アルテック80周年記念レリーフ。シリアルナンバー入りで世界80個限定販売、日本では5点のみ(見学時で2点が予約済み)
上の画・奥に写っているのは〈カアリ シェルフ〉と〈カアリ デスク付きシェルフ〉。

館内ではこのほかにも「Artek 80 ART & TECHNOLOGY」連動企画を開催中。
7階にあるCLUBOZONE スクエア ライブラリーでは、12月26日までのイベント「本から見る日本×北欧 建築デザイン・インテリア」を開催。アルテックの〈66チェア ゼブラ〉ほか北欧のチェアやテーブルを配置、年表資料などの掲示もある。
通常はCLUBOZONE会員しか利用できないライブラリーだが、上記イベント期間中に限り一般にも特別開放される。図書館には置いていない専門雑誌バックナンバーなど、貴重な資料が閲覧できるのはありがたい。

アルテック創業80周年 特別巡回展 Artek 80 ART & TECHNOLOGY」は、リビングデザインセンターOZONEにて11月24日まで開催(水曜休館)。開館は10:30-19:00。入場無料。11月7日と21日の13時と15時には約30分のガイドツアーも催行される(無料、予約も不要)

同展は今後日本国内を巡回予定。詳細はArtek Japan Facebookにて発表される。

Artek Japan Facebook
https://ja-jp.facebook.com/ArtekJapan/





+飲食のメモ。
3階展示の向かいにある[ザ・コンランショップ カフェ]では、本展のコラボイベントが10月29日から先行して開催中。「KAHVILA ARTEK 80@ザ・コンランショップ カフェ 新宿」と題して、店内の椅子や照明がアルテックのものに(フィンランド語でコーヒーは"KAHVI"と記し、KAHVILAはカフェの意)

本展にあわせた限定メニューのひとつ、イッタラの器でいただく「カルダモンのスパイスケーキ ヨーグルトソースとミックスベリー添え」。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

このほか、オープンサンドとスープの食事メニューもありArtek Japan FBに画アリ)。ドリンクメニューには北欧のコーヒーチェーンRobert’s Coffee(ロバーツコーヒー)も。ストライプの菓子もフィンランドのマリアンネ ミントキャンディー。水が入ったガラスのタンブラーは、アルテック創業者のひとりアイノ・アアルト(1894-1949)のデザイン。テーブルの上には北欧関連書が並び、北欧づくしの秋を満喫できる。

ザ・コンランショップ
www.ozone.co.jp/showroom_shop/conranshop/

「KARIMOKU NEW STANDARD Exhibition 2015 Tokyo」@代官山

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[代官山T-SITE]内で開催中の「:DDD(代官山 デザイン デパートメント)」とスタートをあわせて、同施設内ガーデンギャラリーにて、カリモクニュースタンダードKARIMOKU NEW STANDARDの展示会が10月28日まで開催された。
カリモクニュースタンダードは、江戸時代から続く木材屋の流れをくみ、会社組織としては1947年創業のカリモク家具株式会社が、柳原照弘氏ら国内外で活躍する複数のデザイナーともに2009年に立ち上げたブランド。当初から参画しているBIG-GAME(ビッグ・ゲーム)によるシリーズの新作と、ドイツ出身で現在はポルトガルのポルトに拠点をおくChirintian Haas氏(クリスチャン・ハース)を新たなデザイナーに迎え、この2組の新作を中心とした展示となっている。

BIG-GAMEはスイスに拠点をおくデザイン事務所。
これまでの「CASTOR(キャストール)」シリーズに、新たに二人掛けのソファ、オットマン、ローテーブルが加わった。色違いとして、ソファ生地とフレームはネイビーブルーとグレーもあり。
  白とグリーンのキッズチェアは、シルヴァン・ウィレンツSylvain Willentzがデザインした「HOMERUN(ホームラン)」シリーズより。
CASTORシリーズ、「キャストールテーブル」と「キャストールチェア」、同シリーズの「カラープラッター」の組み合わせ。
こちらがクリスチャン・ハースとカリモクが共同開発した新シリーズ「SCOUT(スカウト)」、ピンクを含む4種類のカラーバリエーションがある「スカウトチェア」と、チェアと同様に国産ナラ材を使った「スカウトテーブル」。 テーブルの上に載っているのは、美しさにこだわった、脚と天板の接合部分のサンプル。

会場構成を担当したのは株式会社TANK。リリースに拠ると、TANKとして2007年に活動を開始、店舗・オフィス・住宅の設計・施工、内装、家具デザイン・制作を行なっている。これまで施工を担当した作品に、スキーマ建築計画が設計した《ブルーボトルコーヒー 清澄白河 ロースタリー&カフェ》、同じく《papabubble 東京大丸店》などがある。
多目的に使えるように設計された、会場。天井の高いボックス空間は自由に使えるという一方で、家具が置かれる日常生活とは対局にある"がらんどう"。ここに壁をたて、"仮の住まい"をつくり込むという演出では、ブランドとしてのメッセージが伝わらないとTANKとカリモクは考えた。そこで、いっそのこと家具を一種の"模型"としてとらえ、来場者によって異なる生活シーンを自由に発想してもらおうと、展示空間そのものを1/1スケールの模型空間に見立てた。
構成の基本となっているのが100mm角のグリッド。サイズ感を付加するため、家具を据えた合板のステージには、方眼紙のような縦横のラインが入っている。あえて"手書き感"や"手の跡"が出るように、グラウンドをならす"トンボ"を横長にしたような道具をオリジナルで製作し、26本のペンを100mmピッチで差し込み、それを一人が手で押して、一気に線を画いている。
アルファベッドのAの形をしたパーテーションも100mm角のグリッドを踏襲。コンクリート打設で使われる鉄筋に、カリモクニュースタンダードの基本カラーを塗装した。
合板のステージがフロアから少し浮いているように見える。下に10mmのスペーサーを入れたことによる視覚効果。

場内解説板の表面仕上げは、ショルテン&バーイングスScholten & Baijingsがデザインした「COLOR WOOD」シリーズにも用いられている塗装技術を転用したもの。5枚上の写真に遠景が写っているが、パネルの上と下にうっすらとグラーデーションがついた意匠。

「KARIMOKU NEW STANDARD Exhibition 2015 Tokyo」は10月28日が最終日、17時閉場。代官山T-SITEガーデンギャラリーにて、入場無料。

KARIMOKU NEW STANDARD
www.karimoku-newstandard.jp/



+飲食のメモ。
渋谷から代官山までJRの線路沿いを歩いて向かう途中にある[ピザ スライスPIZZA SLICE]にて、某日ランチの画。

"100%本物のニューヨークスタイルのピザを提供"するとうたうこちらの店、"PIZZA"というよりはスナック感覚。ビールに合いそうな濃いぃトッピングで、薄い生地はカリっとしている。ランチタイムは数種類から選べるドリンクと、クラムチャウダーなどのスープがセットで付く。
あくまでイメージだが、A.ハサウェイ演じる映画の主人公が、NYの街を大股で闊歩している口元と片手に、縦に折り曲げたこのピザがありそうな。
昼も夜も基本スタイルはカジュアル。カウンターで注文と会計を済ませ、自分で席まで運び、食べ終わったら紙皿などはゴミ箱へ。


夜メニューにある、ピザ生地を丸めてなかにパルメザンとパセリとガーリックバターで味付けした「ガーリックノッツ」はむっちり生地。かなりの大蒜臭を帯びるが、おいしゅうございました。ごちそうさまでした。
ピザもノッツもソフトドリンクよりはビールに合うと思われ。

「鹿児島睦の図案展2015」@北青山 doinel

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北青山3丁目にあるセレクトショプ、doinel(ドワネル)で「鹿児島睦の図案展 2015」が先月末から今月17日まで開催されている。

主催・企画: doinel/biotope
コラボレーター(敬称略) :
アートディレクター:前田 景
インテリアデザイナー
設計事務所ima / 小林 恭+小林マナ
てぬぐい専門店「かまわぬ


鹿児島 睦(かごしま まこと)氏は福岡にアトリエを構え、陶器やファブリック、版画などを中心に制作活動を行なっている鹿児島 睦 公式サイト。ここドワネルを会場に、鹿児島氏の図案に着目した企画展は3年連続の開催。
29日のプレスビューと、30、31日には、作家が会場の一部を描いて仕上げ、その様子も公開された。上の写真は29日の夕方、会期Before / After↓。
店内、壁に取り付けられたウッドパネルのBefore↓。
展覧会スタート時には下の画の通り、本展の主なモチーフである植物が描き込まれた。
本展では注染(ちゅうせん)によるてぬぐいも発表、4柄すべて販売。右端、ヘビの絵柄とは珍しい(巳年生まれの人に贈りたくなる)
昨年同様、鹿児島さんハンドメイドの陶器に描かれた植物をモチーフをもとに、活版印刷のポスターとポストカード、モビールへと再構築されている(アートディレクター:前田 景氏)。本展のために製作したウッドパネルとミラーパネルにも、鹿児島氏が線を描き入れている。
鹿児島睦の図案展 2015」は北青山のdoinel(ドワネル)にて11月17日まで(水曜定休)。開店は12-20時。


「鹿児島睦の図案展 2015」
http://zuan-zokei.com/zuan-exhibition2015




+飲食のメモ。
会場から外苑西通り(キラー通り)に出て、千駄ヶ谷の方へあがっていくと、左手に入る小径の手前に、奥に"おむすびや"があると示す小さな看板が出ている(数年前までたしかクッキーを売る店だったところ)
こちらの「おむすび まるさんかく」の公式サイトによれば、無農薬、減農薬、有機野菜にこだわった食材でつくった総菜やおにぎりを提供。おむすびとこだわりドリンクがテイクアウトできる。カウンター席もあり。

竹の箱に入った「本日のお弁当」(税込み¥880)。店頭でみた時は「足りないかも」と危惧したが、どっこい、噛めば噛むほど口の中で味がひろがる「玄米の塩むすび」と「梅干しとひじき」。おかずも食感、味ともに幅があり、30分くらいかけて楽しめる。
もうひとつ感心したのが、弁当は持ち帰った自宅で夕飯にしたのだが、移動の間、おかずから水っ気がいっさい染み出ておらず、箱の中で動いて片寄ったり崩れてもいなかった。
実にお見事なおむすび弁当さん、とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

「おむすび まるさんかく」
http://omusubi-garden.com/omusubi-garden/marusankaku_top.html

中川政七商店 創業三百周年記念事業を発表

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奈良に本社をおく株式会社中川政七商店が、来年で創業三百周年を迎えるにあたり、11日に都内で記者会見をひらき、複数展開する記念事業や今後のビジョンを発表した(同社公式サイト内でも同日にリリースを配信)
三百周年記念オブジェ「新旧の鹿」に挟まれ、フォトセッションに応じる中川政七商店代表取締役 第十三代 中川淳氏

質疑応答を含めて約1時間におよんだ記者会見の席上、中川社長は日本の工芸の危機的状況を淡々と訴えた。「日本の工芸を元気にする!」というスローガンのもと、職人たちの経済的自立、彼らの家族も含めてものづくりへの誇りを取り戻すこと、このふたつを主な目標に、同社の取り組みと現状報告、今後強化していく業界特化型の経営コンサル業についても説明、メディア各社からの質問にも自ら応じた。

同社を牽引する中川淳氏は1974年生まれ、京都大学法学部卒。2008年に第十三代社長に就任後、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)事業を推し進める。現在は6ブランド、3業態、全国に43店舗を展開(詳細:同社サイト会社概要沿革。今年2月の売上高は42億8千万円を計上している。
建築関連としては、奈良市東九条町に2010年に竣工した《中川政七商店新社屋》は吉村靖孝建築設計事務所の設計、2年後に同事務所の設計で《同 旧社屋増築棟》を拡充したのも記憶に新しい。
中川政七商店の創業は1716年(享保元年)、徳川吉宗が江戸幕府第八代将軍の座に就いた年である。初代中屋喜兵衛が、当時の武士が着用した裃として使われていた麻の奈良晒(ならざらし)の商いを始めたことに端を発する(詳細:同社サイト〜歴史/上の展示は製造卸業に転換した明治以降の同社の様子を伝える写真)
三周年記念制作物および進行中のプロジェクトは以下の通り。
1.水野学氏(good design campany)がデザインした三百周年記念ロゴ(記者会見バックパネルでも使用)
2.同記念オブジェ「新旧の鹿」披露(後述)
3.同記念イベント「第日本市博覧会」を来年1月13日から東京でスタート、岩手、長崎、新潟、奈良に巡回。展示企画の一例:松岡正剛 編集工学研究所所長監修による「工芸クロニクル屏風」
4.同第一回東京博覧会にて、西畠清順氏と立ち上げる植物ブランド「花園樹斎」を披露、限定ショップ出店
5.スキーマ建築計画/長坂常氏設計による《中川政七商店 表参道店》が来年1月13日にオープン
6.「日本工芸板モノポリー」や「新郷土玩具」などの三百周年記念商品を販売予定
西畠清順氏は今夏、銀座で開催された「ウルトラ植物博覧会」が話題を集めたプラントハンター。"お持ち帰り"したくなるような極上の植物との一期一会を創出するとのこと。

中川社長の会見に先立って流れたムービーで、制作過程の一部がラッシュで映し出された、三百周年記念オブジェ「新旧の鹿」。モデルは京都《細見美術館》所蔵の「金銅春日神鹿御正体」。中川政七商店が掲げる「日本文化の"温故知新"の精神」をもって、数々の「新旧の対比」をテーマに制作された。
鉄骨とミクストメディアを素材に用いた「新」の鹿。
彫刻家の名和晃平氏がディレクターを務める「SANDWITCH(サンドイッチ)」による制作。「旧」の鹿をスキャンしたデータをもとに造形している。
一刀彫による「旧」の鹿。
そのほか象牙べっ甲細工、漆芸鞍螺など、奈良の伝統工芸の技が結集。手績み手織り麻はもちろん中川政七商店のもの。
三百周年記念オブジェ「新旧の鹿」は、前述「大日本市博覧会」の5会場でも展示される。

中川政七商店
http://www.yu-nakagawa.co.jp/





+飲食のメモ。
会見後の懇談会で供された軽食とドリンクをおいしくいただいたが、今回は中川政七商店に関係する飲食情報を付加したい。昨年2月に「しあわせ廻廊 なら瑠璃絵」を観に行った際、[遊 中川本店]に立ち寄り、併設の[中川政七茶房]での飲食記録をアーカイブとして(2014年3月末より茶房は一時休業中 / 同社リリース
[遊 中川本店]の営業時間は10時から18時半(奈良の店じまいは早い)
店舗設計:宮澤一彦(宮澤一彦建築設計事務所
アートディレクター:水野学(good design campany
VMD(Visual Merchandising):山田遊(Method
リニューアルオープン:2013年4月
物販販売店舗の奥で営業していた[中川政七茶房]は、平日火曜の昼でもランチ時は順番待ちに(それゆえか、地元奈良でさえ、中川政七商店よりも[遊 中川]という名の方が知られているとのこと:会見時の中川社長談)
さらに奥にある座敷席の人気が高く、土間空間の席であれば待ち時間がなかったため、暫しの間、貸し切り気分。
麻のお手拭きを使っていると、座敷からの庭の眺めが素敵らしいらしく、感嘆の声が何度か洩れ聞こえた。
超・濃厚「栗のお汁粉」とお茶のセット(消費税込¥800+¥450)。身体もあったまって、とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
この1ヶ月半後に一時休業になっていたとは知らなんだ。営業再開を願うばかりなり。

[遊 中川 本店]
www.yu-nakagawa.co.jp/p/honten

「プラド美術館展 スペイン宮廷 美への情熱」@三菱一号館美術館

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丸の内2丁目の《三菱一号館美術館》で先月から始まっている「プラド美術館展 スペイン宮廷 美への情熱」特別内覧会に参加(注.11月11日内覧会参加者のみ、場内撮影およびネット掲出が特別に許可された。通常は記念撮影スポットを除き不可)
本展は三菱一号館美術館開館5周年記念展であると同時に、スペイン国立プラド美術館で2013年に開催され、翌年にバルセロナに巡回した、プラド美術館所蔵品による展覧会「La belleza encerrada(Captive Beauty)」を再構成したもの。内覧会に出席した同館の担当学芸員は「小さな作品を観賞する空間として、本国の2館よりもむしろ適しているのでは」と胸を張る。

本展の見どころは、スペイン三大画家といわれるエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤの作品が見られるほか、これまで真筆が20点しか確認されていないヒエロニムス・ボス(1450年頃-1516年)の絵画の国内初展示も話題。102作品中、輸送が難しい板絵が35点、銅板15点を含んでいるのも異例とのこと。そして"キャブネット・ペインティング"(後述)と呼ばれるサイズの小さな作品が多いのが特徴だ。
上の画・右側:ルイス・デ・モラーレス《聖母子》、その奥にエル・グレコ《受胎告知》の展示。
本展では、102の作品ごとに添えられたキャプションの情報が厚いのも"見どころ"のひとつ。絵の来歴や、前述の通り何の素材に描かれているか、作家の生年・没年などが記されている。同等の情報量の展示リストを会場入口でゲットしてから観るべし。
例えば、上の画・左から、ドメニコ/ティントレット《胸をはだける婦人》、グイド・レーニ《花をもつ若い女》、ディエゴ・ベラスケス《フランシスコ・バチェーコ》の3点はいずれも王室コレクションからプラドの所蔵になった。
うち、ベラスケス以外の2点は、前述"キャビネット・ペインティング"に分類される絵画である。所有者が私的にコレクションし、自邸の1室のような小規模な空間に、時にはその手にとって、筆のタッチや質感などをきわめて近い距離から観賞していたと思われる。
上の画・左:マドリード不詳の画家による作品《スペイン王妃、マリアナ・デ・アウストリア》(油彩、銅板)。この小型肖像画は 7.28×5.32cm というサイズ。

最も広い中盤の展示室には大きな作品も数点あり。下の画は、フランドル出身の画家コルネリス・デ・フォスによる《アポロンと大蛇ピュトン》(油彩,カンヴァス 188×265cm)
解説によれば、トーレ・デ・ラ・パラーダ(Torre de la Parada : 狩猟休憩塔)の一室を飾っていたもので、どんな絵を飾るかなど全体の監修を任されていたのがペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640年)。会場には装飾用下絵(ボツェット)も展示されており、いわばbefore/afterを比較できる。なお、同塔のための装飾用下絵は上の画のほか2点展示中、それぞれの来歴は異なる。この種の下絵は貴族階級が私蔵する場合が多いとのこと。
キャビネット・ペインティングの主題は、静物画やいわゆる"風俗画"と呼ばれるものが多い。左から銅板、カンヴァス、板に描かれた油彩。何に描いたかによって発色や筆のタッチの味わいが微妙に異なる。これが、デジタル処理あるいは紙面で再現されると、のっぺりと均等化してしまう(図録は部分拡大が見られるという楽しみもあるが)。関係者いわく、美は絵の大小で決まるものではない。本展を機に美とは何かを考えてみてほしいとのこと。
<IV 17世紀の主題:現実と生活の詩情>の展示室、マントルピースの上の作品が、本展図録の表紙に使われている、現存するベラスケス作品では珍しいという風景画《ローマ、ヴィラ・メディチの庭園》。
ピーテル・ブリューゲル(2世)(1564-1637/38年)《バベルの塔の建設》。父親が描いた同名作品(ウィーン美術史美術館蔵)の同題異作。
3階から2階に降り、二重のガラス戸の向こうに、フランシスコ・バイェウ・イ・スビアス《オリュンポス、巨人族の戦い》が見えた時は気分が高揚した。マドリード王宮 王太子夫妻の間の前室における天井フラスコ画のための下絵=ボツェットというサイズながら。
中央:アントン・ラファエル・メングス《マリア・ルイサ・デ・パルマ》は、大型肖像画のための習作と思われる作品。本展フライヤーに使われている絵画でもあり、成る程、綺麗な女性だなで観賞を終えるところ、左下にゴヤが描いた"問題作"《カルロス4世の家族》が添えられていたので、後の王妃と同一人物と判る。
額縁だけ見てもいろいろと面白い。2点ともビセンテ・ロペス・ポルターニャ画のボツェットで、某伯爵未亡人からプラドに寄贈されたもの。
期待した"おどろおどろ系"はなかったが、ゴヤ(本名はフランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスと長い)の6作品のために1室があてられている。
主な出展作品の主題あるいは隠しテーマになっている、欧州キリスト教観については、展示の途中に用意されているタッチパネル式資料が助けになってくれる。

三菱一号館美術館 開館5周年記念「プラド美術館展 スペイン宮廷 美への情熱」は来年1月31日まで。開館は10-18時(金曜、会期最終週平日は20時まで)。12月31日と1月1日、毎週月曜休館(但し12月28日、1月25日は開館)。詳細は公式サイトで確認を。

三菱一号館美術館
http://mimt.jp/




+飲食のメモ。
丸の内仲通りに店を構える[パリアッチョ]はKIWAグループが経営するトラットリアで、青山の[トラットリア・フィレンツェ・サンタマリア]同様にリーズナブル。
休日でも¥1,000代のランチが8種類ほどから選べる。下の画は過日土曜日のオーダー。
野菜スープとパンと「いろいろ部位の肉と秋キャベツのビアンコラグーパスタ」。食後のドリンクは付けず、これで消費税込み¥1,000なり。
いろいろ部位にはトリッパも入ってコスパ高し。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

[パリアッチョ 丸の内仲通り店]
http://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/100/


なお、三菱一号館ミュージアムカフェ「Café 1894」、および敷地内に隣接する[MIKUNI MARUNOUCHI ]では、プラド美術館展会期中のタイアップまたはコラボメニューを用意している。王様的お値段を覚悟すべし。

「nendo 3/3 モノ モノ スキマ」@ EYE OF GYRE

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「モノとその周辺との関係性」から生まれたデザインをテーマに、3つの展示を3週間に分けてみせるnendoの企画もいよいよ最終の3/3を迎えた。
第1回「1/3 ヘヤ モノ スキマ」、第2回「2/3 ヘヤ モノ スキマ」、そして今回の「nendo 3/3 モノ モノ スキマ」はモノとモノの関係性に着目してデザインされた12作品を展示。各回で展示作品も会場構成も異なる。会場は同じく [ EYE OF GYRE ]にて。

以下、作品内容を補足するテキストは、会場で流れているムービーと、nendo 公式サイトの「サクヒン」ページを参考とした。
異なる材質の模様を木材の表面(背と座の裏も同様)に印刷した「Print Chair」2014

棚板が横にスライドして増殖いくような「Nest Shelf」2015

2009年に発表した「Phantom-Waves」の2015年バージョン。

なお、各作品に付随したモノクロムービーで、作品名と制作年の表示に続き、どのような発想から生まれたかが端的に表現されている。解説音声はなし、アイデアが「!」とひらめいた瞬間の音のみ。計12の「!」音が、場内に重なりあう。
上:農業用ネットを熱成形したシェード「farming-net lamp」2012
左:空中に描かれたスケッチのような「thin black lines」2010

手前:特殊な素材から生まれた"布目"「Alcantara Wood」2015
天板は木材ではなく、(アルカンターラ社が製造・販売する、商標登録されたカバリングの)素材を重ねて丸太のように加工し、布の"木目"が出るようにカットしたもの。これも会場のムービーのおかげでわかりやすい。

左手前:前出の家具「think black line」の流れをくむ「thin black table」2011
右奥:ハサミのように雑誌を挟むマガジンラック「scissors」2012

Glas Itariaで発表された作品のひとつ「Soft」2015
「Soft」のデザインコンセプトを説明するムービー。

ガラス瓶の中に20種類の"雨"を閉じ込めた「Rain Bottle」2014
「Rain Bottle」は降りぐあいや季節に応じて、微雨(びう)、時雨(しぐれ)、霎(こさめ)など呼び名やあて時がさまざまにある日本の雨を表現したもの。
上の画・左端:、右端:瓶の底から緑の草が生えてきたような内包された「Rain Bottle」の名は"五月雨(さみだれ)"。下の画・右から4番め、底がオレンジ色の瓶は"夕立"。
流し込んだガラスが枠からはみ出たかたちがそのまま天板になったようなテーブル「Overflow collection」2012

手前:ガラスを押し潰したような箇所で光源を支えている「press lamp」2012

「nendo 3/3 モノ モノ スキマ」会期は11月22まで、開廊時間は11-20時、入場無料。GYRE 3F [EYE OF GYRE]にて。

GYRE
http://gyre-omotesando.com/




+飲食のメモ。
GYREが建っている表参道を歩いていたら、最近オープンして話題の[DOMINIQUE ANSEL BAKERY](今月の『商店建築』11月号CAFE特集にも掲載あり)の看板が目に入り、つられて曲がった道の途中に、今年7月にオープンしたアントルメグラッセ・生グラス専門店 [GLACIEL(グラッシェル)]を発見。路地裏の一軒家のような佇まいが気になり、予定変更、こちらで食す。

北海道 LeTAOの姉妹店らしい。店名は造語。アントルメグラッセ(entremets glacer)とはアイスクリームのデコレーションケーキ、生グラスとはつくりたてのアイスクリームの意。

店内のショーケースには、"てんとう虫"やら"ハリネズミ"やら、パーティの場で盛り上がること間違いなしなビジュアルのケーキが並んでいた。2階がカフェで、同店facebookによれば、アントルメグラッセのほか、11-15時にランチメニューも提供カフェのL.Oは18時,但し11月24日から12月1日までは17時L.O)
コンフィチュールや焼き菓子も売っている1階と、外のテラスに小さな席があり、18時過ぎでも利用できる。上の画は秋限定のラム酒のきいた愛媛特産和栗とかぼちゃの生グラスをワッフルコーンで。合わせて¥756ナリ。
栗・濃・厚。最近のアイスクリームは進化したなぁとつくづく思う。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

GLACIEL(グラッシェル)
www.glaciel.jp/
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