Quantcast
Channel: a + e(建築と食べ物)
Viewing all 125 articles
Browse latest View live

「WARO KISHI 岸 和郎:京都に還る_home away from home」@ TOTOギャラリー・間

$
0
0
乃木坂のTOTOギャラリー・間で28日から「WARO KISHI 岸 和郎:京都に還る_home away from home」が開催される。前日の内覧会を見学。
展覧会タイトルの"home away from home"とは、遠く離れた第二の故郷、心のふるさとという意。東京と並んで岸和郎+ケイ・アソシエイツの本社をおき、長らく活動の基盤としてきた京都での仕事をメインに、建築家であり、35年にわたって教育者の顔ももつ、岸氏のこれまでの仕事と現在進行形のプロジェクトを紹介。ギャラ間での個展は2000年開催の「PROJECTed Realities」以来。

3階展示のタイトルは「大学での仕事」。岸氏は1981年から3つの大学(うち1つの当時の名称は短期大学)で教鞭を執った。
手前の台:1982年竣工《京都芸術短期大学 高原校舎》の展示。
当時の図面はドラフターによる手書きで、図面は青焼きでコピーされた。
現在は名称が変わり、京都造形芸術大学映画学科が入っている。上の画・奥の展示は映像がモチーフにいる。
1993年度 第五回日本建築家協会学会新人賞を受賞した《日本橋の家》の図面も鉛筆書き。受付側の壁から時計まわりに《下鴨の家》、《堺の家》、《和歌山の家》の展示が続く。
3Fフロア中央の台:《KIT HOUSE》の模型。切妻屋根とキャンティレバーを支える構造が一体となっている(構造設計:安井建築設計事務所、参考:同社作品アーカイブ。京都工業繊維大学の学生ホールであり、氏が在籍した最終年3月の竣工。
内覧会のプレスツアーの際、岸氏が「キャンパス内の敷地にも関わらず景観条例の規定を受けてとても大変だった」と振り返った、2014年《京都大学北部グラウンド運動部部室棟》。 同大学は岸氏の母校。2010年から教壇に立ち、今年3月に退官する。29日に都内で開催される本展関連講演会が教師・岸和郎の"最終講義"となる。
このほか3Fの展示では、3大学の現在の様子を伝えるムービー作品も上映中 (制作:市川靖史 / 註.目黒区美術館《村野藤吾の建築 模型が語る豊穣な世界》のフライヤーの写真撮影者)。


「この展覧会は私自身の展覧会であると同時に、私に関わった人達の協働の成果でもある」(岸氏寄稿の序文より)
京都工繊大の同僚で、現在は京都造形大教授の建築家の城戸崎和佐氏がデザインしたベンチ(城戸崎研は前述・高原校舎の展示でも、大阪工業大学朽木研と共に協力している)に腰掛けて眺めることを勧められた中庭の展示は、岸氏の「京都周辺の作品」を一望できる。縦横に線が入った白い基盤は京の都を表しており、一帯の21作品がマッピングされている。ベンチが京都駅、向かって右奥の石のオブジェが比叡山という見立て。
グリッドの赤い線は地下鉄、中央の緑は京都御所を表す。上の画・手前のミニチュア模型は大徳寺門前に建つ《紫野紫野和久傳》。本展の序文で岸氏が「京都に還ろう、と決めた」最後の決心がついた作品であると位置づけている作品(その背景は後述)
中庭の展示のキューブはガラスとアクリル、またはアルミニウムの模型。「京都など有名な観光地のお土産っぽくした」とのこと。上の画・手前の作品名は《AUTO LAB》。
滋賀県の展示3作品のひとつ、2003年の《東大津の家》
プレカンの席上、岸氏は本展のタイトルに込められた想いを次のように語った。
「京都という街は、大学や事務所を出るとすぐ目の前に国宝や重要文化財の寺社が立ち並び、自分の建築はなんてちっぽけなんだと思ってしまう。ゆえにいかに"京都"に縛られずに自分の作品をつくっていくかを考え、できる限り京都から距離をおこうとした。だがそんなある日、欧州の建築家たちから《日本橋の家》を『日本的だ』と評価され、愕然とした。いったいどこが日本的なのかと悩み、七転八倒していた90年代の半ば、大徳寺真珠庵から《紫野和久傳》のオファーを受ける。施工は中村外二工務店(註.京都を代表する数寄屋建築で有名、後に《京都迎賓館》も担当)。このときの仕事を経て、ようやく"京都に還ろう"という決心がついた」
4Fは「最近の仕事」と題した展示。ガラス扉と壁に、京都と東京の街並をモノクロで出力した透光シートがボーダー状に貼られている。
岸和郎+ケイ・アソシエイツは現在、東京三田と京都に本社をおく。
4Fはピンクのカーテンで緩やかに仕切られ、向かって左の壁に岸氏がイタリア、フランス、アジア各国を旅した先々で撮影の35mmのポジ。右は模型とドローイングなど。奥では立礼式の茶会が行なわれている最中(註.内覧会時に特別に開催されたもの)
薄紅色のカーテンには正方形の角孔が開いてレイヤー状になっており、風に揺れた具合や見る角度によって、向こう側の景色が微妙に変化する。
「テキスタイルウォール」の制作を依頼したのは、工繊大の教え子にあたる森山 茜氏。
上の画・展示台の模型、手前右側から時計まわりに、2009《Tearoom project in the center of Tokyo》、2010《福山田島プロジェクト》、2014《House near Yoyogi Park》。
プロポーザルに提出した「京都市美術館新館計画案」の模型。
中庭・ガラス壁側の展示台の平面図の上で端末を動かすと、任意に切りとられた断面がモニターに表示される(仮想立体モデル再現ソフトDESKRAMA制作および展示協力:竹中工務店)
訴求ポイントだった地下空間をよく見て欲しいという展示。
壁面の展示・右から、2001年《六甲山の家》、2003年《K邸別邸》、フライヤーの表紙になっている2002年竣工《Hu-tong House》のドローイングが続く。模型は上海の最新PJ「Warehouse renovation at Minsheng-road」を含む。
4F展示の最深部に設けられた立礼の席。卓と椅子は(実は茶道は習ったことがないと吐露した)岸氏がデザインしたもので、壁面のグラフィックとあわせて、某所にある空間を再現している。茶釜などの道具類は、本展にあわせて亭主芳心会主宰 木村宗慎氏)が用意した。
京都をテーマに、会期中に開催されるギャラリートークの講師陣が、茶道の木村氏、中村外ニ工務店の中村代表など実に多彩(申し込み多数につき全5回全て受付終了)

TOTOギャラリー・間「WARO KISHI 岸 和郎:京都に還る_home away from home」は3月20日まで。休館は月曜・祝日(2月11日のみ)。開廊は11-18時、入場無料。

TOTOギャラリー・間
www.toto.co.jp/gallerma/




+飲食のメモ。
内覧会では特別に、木村氏の手前で茶がふるまわれた。美しい一連の所作に魅入る。

客によって水色、白、ピンクなどの色とかたちも違った和菓子はリキュール入り。

美味しく頂戴しました。ごちそうさまでした。


資生堂パーラー ウインドー×中村竜治

$
0
0
東京銀座資生堂ビル》1Fの「資生堂パーラー 銀座本店」のウインドー・ディスプレイを中村竜治建築設計事務所がデザイン、先月からお目見えしている。

通りに面したガラス面には、先月28日まで地階のギャラリーで開催されていることを示すグラフィックが貼られ、中村作品がその陰になっていたのだが、お役御免となった1月29日にサインが撤去され、外からでも全景が見られるようになっている(本稿の内観写真は1月21日撮影のもの、外観の2枚は中村竜治建築設計事務所提供)

ディスプレイを目当てに行った場合、中央通りと銀座花椿通りに面したガラス面に、銀座7丁目の《資生堂銀座ビル》も含めて開催中のイベント「BEAUTRY CROSSING GINZA 銀座+ラ・モード+資生堂」のサインが表示されているため、外からの眺めでは中村作品は残念ながらサインの陰に。

注記.店頭にて店内からの撮影およびSNS掲出可否確認、了承を得ています

《東京銀座資生堂ビル》新春ディスプレイ2016作品「風景」
主催・ディレクション:株式会社 資生堂
設計:中村竜治建築設計事務所
施工:現代工房
照明計画:MGS照明設計事務所
テーマは、旅。「連なる道、山、波、雲などがイメージされる風景のような形を考えた」(中村事務所発信のリリースより、以下の引用も同様)。中央通り側の作品は、厚さ9mm、計13枚の合板がジグザクに組まれている。
材は針葉樹合板。幅約2mのウインドーの幅より若干長いサイズで、ジグザグに組んでいくことで三角形の隙間が生まれるのだが、上からの荷重によって、それぞれの合板のたわみが変化し、そのままのかたちとなってあらわれる。固定金具やピアノ線の類いは見当たらず、この状態で安定させているのが凄い。
奥行き0.9mmの側面の縦方向に、細い凸起物が走っており、合板の端に加工された僅かな溝の凹部分と合わさっている。これは横揺れへの備えとのこと。
どの接点も壁から僅かながら意図的に離され、隙間が確認できる。
それにしても、こんなレールが元からあったかしらと、店頭で資生堂のスタッフに確認したところ、今回の展示のために、また既存の壁を傷つけないようにあつらえたものだという。
左の画は、年末年始のウィンドー・ディスプレイ(リニューアルした「花椿マーク」のオブジェ、中村竜治事務所のデザインではナイ)。スポット照明のダクトレールがあったのだとわかる。さらに1年前、中村竜治氏によるウインドー展示「首飾りnecklaces」ではスポットをあてていたが、今回の展示ではこのレールの部分を塞いでいる。既存の壁と同じ色で塗装して、パッと見にはわからない、元よりこういう状態だったかのような見事な仕上がり(廉価な構造用合板などと思うなかれ)
銀座屈指の老舗の店内、高い精度と安全性が求められた。中村事務所に確認したところ、事前に実物大のモックアップを組んで、合板のたわみの具合からサイズと枚数を決めたとのこと。
銀座花椿通り側の「風景」は7枚の合板で構成。
両側にスポットがないので、日没後はいったいどういう見え方になるのか、気になる。

ウインドーでの展示は3月15日まで。



+1の飲食メモは、前掲・中村竜治建築設計事務所が会場構成を手掛け、先月28日に会期が展示終了している資生堂ギャラリー見学備忘録にて。

「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」@六本木ヒルズ

$
0
0
元旦から六本木ヒルズ52Fスカイギャラリーで開催している「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」を観に行く。会期は2月14日まで。

会場は《森タワービル》52階、通常は「東京シティビュー」という展望エリアで、外周部分の約3/4を占める(森アーツセンターを内包する)。以前こちらで「ドール・カルチャー展」を開催した際は、外の景色がいささか展示及び世界観の構築の邪魔となるためか、壁を立て込んで内と外を極力"隔離"していたが、本展では逆に、昼と夜の"東京シティビュー"が相乗効果をもたらしている。
会場に入ってすぐの展示:「バックミンスター・フラーが考案したダイマキシオン・エア・オーシャン平均気温の世界地図にフォスター+パートナーズが完成させたプロジェクトをマッピングした図」によれば、圧倒的に生まれ育った英国での仕事が多く、日本に竣工した作品は数件ほど。
見られたリチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)へのリスペクトはさらに続く。場内の解説によれば、ノーマン・フォスター(1935-)は、1971年から83年にかけてフラーと協働しており、フォスターの自邸(オートマス・ハウス)の設計計画もあった。
再現されたダイマキシオン・カーとフライズアイ・ドームの前で、フラーと同じポーズをとっている写真からは、フラーの遺志を受け継ぐ者は我であるという強い自負が感じ取れる。
ダイマキシオン・カーが添えられた《オートノマス・ハウス》S=1:30模型
並んで置かれた《ウィリス・フェーバー・デュマス本社》(英国、1971-75)のS=1:30模型は夜間は内部の照明がカラフルに点灯(模型制作:千葉工業大学今村研究室)以降、日中と日没後の写真が混在する。
《セインズベリー視覚芸術センター》(英国、1974-78)
上の画は夜間の撮影。
《ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク》は、第二次大戦中に連合国側の攻撃によって破壊されたドーム及び建物の復興計画(1992-99)。コンペによって選出された英国人のフォスターが、ガラスでドームを再生、東西ベルリン統一の象徴に。
《同、ライヒスターク》コンペ提出案断面模型 S=1:200
手前:《カレ・ダール》
手前:《ベルリン自由大学》模型(1997-2005、S=1:100)
奥の高層ビル模型:左から《ミレニアムタワー》、東京に現存する《センチュリータワー》、《コメルツ銀行本社ビル》、《スイス・リ本社》、《ハースト・ビル》、《香港上海銀行・香港本店ビル》ほか。
《425パーク・アベニュー》などこれらの高層ビルの模型展示は、日中は外のTOKYOビューとマッチして良いが、照明が点灯する夜間も雰囲気が出て美しい。
《スイス・リ本社》の別称"ガーキン"とは、ピクルスなどで使われる小さめのキュウリのこと。
《チュサ・フトゥーラ》スタディ模型 S=1:100(スイス、2000-2004)は、会期中に特別上映された2010年公開の映画「フォスター卿の建築術」の冒頭にも登場(参考:1分45秒の予告編/youtube)
日本では数える程度のフォスター作品のひとつ、《鎌倉の住宅》(1997-2004)と《川奈の住宅》(1987-1992)。前者は所有者が変わり、2017年に「鎌倉歴史文化交流センター(仮称)」として再オープンする予定(鎌倉市2014年3月発行のリリース
その国の顔となる国際空港(手前:中国《北京首都国際空港》、奥:ヨルダン《クィーン・アリア国際空港》、壁:《メキシコシティ空港》のプレゼンテーション模型)や橋など、公共の巨大建築構造物も手がけるフォスター+パートナーズ。
手前:《ミヨー橋》(1993-2004)は、2.46km離れた2つの高原をつなぐ。フォスターは自国でも1996-2000年にかけて吊り橋《ミレニアム・ブリッジ》を手がけ、テムズ川に新たな名所を出現させた。
《ドレスデン中央駅》でフォスター+パートナーズが手掛けた部分の模型。
香港、中国《西九龍文化地区》コンペ提案模型(2009)
こちらの模型も夜間の方が華やかで、いかにもホンコン。
フォスターのイマジネーションの翼は地球外へ。
NASAが募集した火星住居建築コンペに提出された、4人用住居の模型(2015)。現地で採取した砂を、半自動制御のロボットが操作する3Dプリンターを用い、資材をできるだけ持ち込まずに基地を建てる。
フォスターは建築のほか、インダストリアルや家具なども幅広く手がけている。モールトン社の自転車は、卿自身の愛用品とのこと(場内の品は個人蔵による特別展示)
「デザインは人々の欲求から生まれる。ーー精神的そして物理的に。
空港のスケールからドアハンドルまで、これが常に指針である。ーーノーマン:フォスター
モルテーニ社から販売されているコーヒーテーブル《TESO》。
ウォルター・ノル社の《FOSTER 502》などのシリーズ、ヴィトラ社から出ているシステムファニチャー《AIRLINE》などが液晶スクリーンを向いて置かれたラウンジは、来場者の休憩コーナー兼最後の展示室(制作協力:インターオフィス|同社ニュースリリース。会期中の金曜夜には前述の映画「フォスター卿の建築術」(78分)が上映された。

「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」
www.mori.art.museum/contents/foster_partners/




19時からの映画を観て、改めて模型を見るなどしていると、あっという間に閉場する21時近くに。週末に会場内ラウンジにオープンするカフェは21時までだったので、やむなく外へ出て新規開拓。ノースタワーB1Fの「sakura食堂」で遅い夕食。
店内の利用者の99%が女性。盛りもなんとなく女性的。「ポークジンジャー りんごと玉ねぎのソース」は¥1,080+消費税。向かいに座る連れがオーダーした「煮汁たっぷりとろとろ肉と根菜の黒酢バルサミコソース」も同じ値段。ゴハンは白米か玄米が選べる。
ごちそうさまでした。

sakura食堂
www.roppongihills.com/shops_restaurants/restaurants/japanese/201110004.html

内田繁作品展@ル・ベイン

$
0
0
昨年12月に開催された企画展皆川明+安藤雅信展「森のさえずり」+「百草展」の最終日をもって閉場したギャラリー ル・ベイン。名実ともに最終となる、内田繁氏内田デザイン研究所代表)の作品展が開催された。

内田氏がデザインした椅子などの家具15点が、香港に2019年に開館予定の近代美術館《M+(エムプラス)》にコレクションされることが決まっており、それらが海を渡る前に、収蔵予定以外の作品も含めてのイレギュラーな展示となった。 
昨夏に桑沢デザインで開催された、内田繁デザイン展2015「茶の湯の風景」に出展されていた作品などもあり。 

上の画に写っている作品は桑沢での展覧会にはなかった(内田氏の私蔵品で、今回特別に出展されたもの)。左:アルド・ロッシによる《門司港ホテル》のドローイング、 右:矢萩春恵氏の書による掛け軸。
発表当時のものだったり、職人の廃業によってメーカーがやむなく製造を中止していたりと、貴重なものばかり。海を渡れば、もう国内では見られなくなる作品も。
展示は2月5日(金)17時で終了。

「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」後期展示始まる

$
0
0
千代田区立日比谷図書文化館にて開催中の特別展「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」を見学。膨大な出展数のため、会期途中で展示替えがあり、前期「cozf編」の展示が14日で終わり、今日から3月23日までの会期で後期展示「ish編」が始まった。
場内および館内廊下での作品展示も撮影禁止。

展覧会タイトルの「ブックデザイ」は「ン」が抜けているので思わず「ん?」となるが、それも祖父江氏ならではの"仕掛け"。
この、イッタイナンダロウ? と思わせるイカみたいなのは「サンハンちゃん」という。人間と外部世界をつなぐ三半規管からのネーミング。

場内には誰しも一度は目にしたこと、買ったことがある書籍、雑誌、コミックが並ぶ(前後期合わせて2,000点!)。すべて祖父江氏がブックデザインを手がけたもの。フォントの展示では、前期の「うさこず」フォントに替わり、会場の一角に設けられたブースの内側を埋め尽くすかなバンクシリーズの「ツルコズ」フォントの構成は圧巻。その解説文によれば祖父江氏は「カタカナ ノ ジタイ」に「マダ マダ モノタリナサ ヲ カンジテ イルンデス」とのこと。
展示は膨大、解説は緻密。1冊、1ページ、1行のために、印刷会社などとも一体となってこれほどの労力が費やされているのかと、制作の裏側まで惜しげもなく披露された展示に感動する。
最後の展示では、『』に続いて進行中の夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』復刻版(岩波書店)のデザイン草案ーー登場人物ごとに台詞の書体を変えるなど様々な試みが確認できす。どんなかたちで復刻されるのか、楽しみ。
会場配布物もアツイ。何度も読み返せる展示解説書(左)と、凸版文久体のパンフレット(フォントの共同監修と冊子のアートディレクション:祖父江慎)

日比谷図書館文化館特別展「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」会期:2016年1月23日〜3月23日(展示替えあり)、観覧有料。前期終盤の土日は混雑のため入場制限あり。




飲食のメモ。
会場から日比谷公園を斜めに抜け、乾久美子建築設計事務所の《日比谷花壇 日比谷公園店》を見下ろすように建つ、村野藤吾設計《日本生命日比谷ビル》まで歩く。現・日生ビル1F [ CAFE A LA TIENNE ] にてランチ。
ティエンヌ風カレー:温野菜添え、ミニサラダとドリンクがセットで¥900ナリ。

ごちそうさまでした。おいしゅうございました。


難を言えば、分煙で、喫煙は店の入り口側、禁煙コーナーが店の奥、ビルのエントランスのロビーとパーテーションで仕切られた隅っこに配されており、ストーブ+ブランケットがあってもう冬場はちと寒い。

CAFE A LA TIENNE(カフェ・ア・ラ・ティエンヌ)
http://shunju.com/tienne

映画「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」

$
0
0
恵比寿ガーデンプレイスの映画館 YEBISU GARDEN CINEMAにて上映中の「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」を鑑賞(左の画は限定メニューのNYマフィン)
"リノベーション"という語句が予告編の段階からフライヤーにも使われるようになったのか = 一般名詞化したのかと、感慨深い。

映画と原作とではラストが異なるが、これを東京に置き換えた作品も観てみたい気がする。

「OUT BOX ENKI BILAL」@南新宿NEWoMan

$
0
0
南新宿にオープンした複合型商業施設《NEWoMan(ニュウマン)》5Fに、イベントホール「LUMINE 0(ルミネ ゼロ)」がオープン。その"こけら落とし"として「OUTBOX エンキ ビラル展」が4月6日まで開催される。
オープン2日目の土曜、フランスから来日中のバンド・デシネ界の巨匠・エンキ ビラル氏が登壇、逐次通訳でのトークイベントが開催された。満員御礼、立ち見も出る。

日本科学未来館 3D作品「9次元からきた男」本日公開

$
0
0
お台場・日本科学未来館の開館と同時に、当日発行の整理券を求めてお父さんお母さんが5Fまで続く長いエスカレーターを猛然とダッシュするドームシアターガイア。新作映像コンテンツ「9次元からきた男」が本日より公開に。監督は「呪怨」の清水崇氏。
公開に先立ち、特別試写会が3月26日に開催された。登壇した監修者の大栗博司博士によれば、シロウトはそんなところまで気づかないだろうというレベルにも手を抜かずにこだわり抜いた、最新の解釈に基づく映像で、未知なる宇宙の姿を可視化しているとのこと。

AHEAD「3D間取りの教科書展」@世田谷美術館区民ギャラリー

$
0
0
一般社団法人建築家住宅の会(AHEAD/彦根明理事長)による「3D間取りの教科書展」が、世田谷美術館区民ギャラリーA展示室で4月27日から5日間の会期で開催されている。

同展は、AHEADが編集協力し、17組18名の建築家が設計した住宅66作品を、3Dイラスト(パース)で紹介したムック本『3D間取りの教科書』が間もなく刊行されることに連動したもの(5月4日にエクスナレッジから発売されるのに先立ち、会場で先行販売中)。今回の出展は、同書に作品が掲載されている、同会所属の建築家9組(以下の列記敬称略)

伊原孝則(FEDL
今城敏明+由紀子(imajo design
岸本和彦(acaa
田島則行(テレデザイン
中村和基+出原賢一(LEVEL Architects
二宮 博(ステューディオ2アーキテクツ
長谷部 勉(H.A.S.Market
彦根 明(彦根建築設計事務所
村山隆司(村山隆司アトリエ

奥:岸本和彦acaa《Nesting in the Sky》の模型と写真ほか。 ほかの8組の建築家の作品についても、ほぼ同じ展示フォーマットで紹介。
田島則行テレデザイン
中村和基+出原賢一LEVEL Architects
LEVEL Architects《大船の住宅》模型
長谷部 勉H.A.S.Market
会場には出展中の建築家が数名常駐しているので、模型とパネルを前に作品について詳しく教えてもらうこともできる(この日は村山氏、田島氏、中村氏が在廊)
会期は明日5月1日(日)15時まで(会期最終日のみ閉館3時間前に閉場)。入場無料。

一般社団法人建築家住宅の会
http://kenchikuka-jutaku.org/

建築家住宅の会facebook
https://ja-jp.facebook.com/kenchikukajutaku




飲食のメモ。
同館にて開催中の有料の企画展「竹中工務店 400年の夢」を見学する前に、B1Fにある[セタビカフェ]で糖分補給。
メモ:1年前の訪問時にいただいた「ガレットランチ」は、週末の金土日の昼どき限定に。
数種類あるケーキとドリンクがついたセット¥600ナリ。ごちそう様でした。

SETABI-Cafe(セタビカフェ)
www.setabi-cafe.jp/

「竹中工務店400年の夢」@世田谷美術館

$
0
0
世田谷美術館で開催中の「竹中工務店400年の夢-時をきざむ建築の文化史」を見学。場内は一部を除き撮影不可。
エントランスロビーには長さ6mのイエローシダーが鎮座。樹齢400年、寺社仏閣用材として、2012年にカナダで伐採されたもの。元の幹の最大径は1m10cmもある。

上の画、左手が従来の企画展会場へのアプローチだが、本展は動線が逆で、右手に進んでミュージアムショップを超えた先に入口がある。
レストラン「ル・ジャルダン」に続く回廊が、本展のアプローチに。向かって右の壁沿いに、竹中工務店の代表作の写真パネルが並ぶ。
レストランの手前、従来は搬入口として使割れている扉が開かれ、「竹中工務店400年の夢」が始まる。

竹中大工道具館所蔵のモックアップや映像資料など、「はじまりのかたち」と題したのっけの第1室から見応えじゅうぶん。企業の名を冠した展覧会はえてしてひたすら物量に訴え、"お腹いっぱい"に陥るケースが多いが(例えば、昨春開催の「東宝ゴジラ展」など)、出会い、はたらく、夢を追う、暮らし、感性を育む、時を紡ぐ、それぞれのかたちとして見せ方を分けた会場構成がうまく機能しているのではないか。 場内の解説によれば、竹中工務店の祖は尾張織田家に仕えた宮大工で、大隈流棟梁を名乗った。大工の世界では、式尺、算合、手仕事、彫物、衣装の五つ:五意達者を旨とした。その心意気と伝統が今日まで受け継がれているらしい。
模型や写真、青焼き図面などで紹介されている建物のほとんどは、国内各都市のランドマークとなっている。《東京タワー》、《札幌ドーム》、《金沢21世紀美術館》の施工がそれ。日本の近代化を象徴する煉瓦造りの倉庫、洋館なども。京都の東福寺方丈が、明治期にの竹中造営による作とは知らなかった。建築は設計者に光が当てられるが、改めて「つくっている人」について意識させられる展覧会である。
最後の展示は撮影可。同社が研究開発する「レスポンス刺激®」を体感する展示。
スクリーンの前で腕などを動かすと、映像が反応するインタラクティブ作品。高齢者施設、病院、オフィス空間での実用を想定したものらしい。
最後の最後の展示。従来の館内動線ではこの廊下がアプローチ。
大工棟梁に手による木製の架橋「未来へと続く時間 木の橋を渡って」、会場を後にする。
竹中工務店400年の夢-時をきざむ建築の文化史」は6月19日(日)まで。会期中は講演会も多数開催される。

世田谷美術館
www.setagayaartmuseum.or.jp/




飲食のメモ。
館内レストラン「ル・ジャルダン」では、同展と連動した特別メニューを限定20食で提供しているらしいが、この日の夕食は用賀駅前にて。駅ビルに[名代とんかつ 新宿すずや]の用賀店が入っている。前から一度は食べてみたかった「とんかつ茶漬け」にチャレンジ。
小ぶりのとんかつ2枚に、醤油ベースで調味されたキャベツが盛られ、南部鉄板の上でジュウジュウと音をたてながら配膳されてきて、テンション上がります。
ご飯と味噌汁が付いて¥1,380ナリ。セットの浅漬けがひじょうに美味しく、ただでさえ白米消費が進むので、初心者には調整がムツカシイ。
お店推奨のスタンダードな食べ方は、カツを3切れほど残して、茶漬け用に吟味されたという緑茶をオーダー。キャベツとともに茶漬けで食して二度美味しいの画。
緑茶は急須でいただけるので、サッパリと梅干しでシメる。 ごちそうさまでした。おいしゅうございました。

名代とんかつ 新宿すずや
www.toncya-suzuya.co.jp

リビタ×納谷建築設計事務所 戸建てリノベーション オープンハウス

$
0
0
株式会社リビタがプロデュースする、中古戸建てのリノベーションによって竣工した住宅内覧会を見学。 設計は昨年の《井の頭の家》に続いて納谷建築設計事務所が担当。
立地は田園都市線青葉台から歩いて15分ほどの閑静な住宅地。木造瓦葺のこちらの住宅が建てられたのは1988年(昭和63年)。外観は純和風だが、室内の要所に安東陽子氏がデザインしたテキスタイルが配されるなど、仕様と雰囲気を一新している。

南に面した玄関先からの眺め。玄関の引き戸はそのまま再利用。
以前は鍵状に折れた先に二階への階段がある、狭くて暗い廊下だった。つきあたりにあったトイレ、浴室、洗面所を家の中心部(下の画、天井と接した部分に間接照明からの光が漏れているOSBパネルの壁の向こう)の箱型空間に集約し、家の外縁部に沿った室内に回廊を設けたのが大きな特徴。
集約され、白で統一された水まわり空間を先に紹介。北側外縁部の廊下に接した出入口付近からの眺め。
1階の南側の空間は、前述の廊下を挟んで右が和室、左がリビング・ダイニングの洋間に分かれていたが、リノベーションによって、小上がりからそのまま土間のような一室空間に。仕切りとして効いているのが、安東氏がデザインした大きなテキスタイル。
玄関側とダイニング側とで色のパターンを変えたテキスタイル。カーテンというよりも。室内空間にまとわせた衣服のよう。
太陽が正中する時間帯。冬の陽が差し込んだダイニング。庭に面して出窓があった部分を生かし、腰をおろせる居場所をつくっている。
安東氏による白い"カーテン"で直射光を遮ってみる。庭先から風が入ると、女性のスカートのように柔らかく膨らむ。 
壁の仕上げはOSBパネルに白塗装。
ダイニングとキッチンも一室空間に。延長したカウンターの長さは約6m。
水まわりの"箱"を挟んだ反対側。28年前にこの家を建てた住まい手は、踊りの師匠だったらしく、杉の板の間をしつらえていた。杉板の状態が良かったこともあり、剥がさずに再利用。奥にあった押入れはとり外し、構造柱を残して床を広げた。
土間の仕上げはUVコーティング。壁との立ち上がりには角度が付けられ、カーテンの色にわせた背もたれ付きクッションが3つ並んでいる。 
ウッドデッキをわたし、土間リビングからそのまま出られる外部テラス。玄関脇からも出入りできる。道路側に目隠しの壁をたて、手前にはベンチをしつらえた。晴天のこの日は見学者の間でも「いつまででも此処に座っていられる」と大人気。
和でも洋でもない、ニュートラルな雰囲気にあったリビングの奥から、土間リビングを挟んで、テラスの眺め。
ところどころにリノベ前の名残りが。柱の位置は既存ママだが、新しい材に差し替えている。
天井にシーリングライトは見当たらず、ダイニングテーブルの上に下げられたペンダントを除き、間接照明を造作して配した。
2階への階段は、水まわり空間の"箱"の中。
和室が2つと洋室が1室並んでいた2階。フロアの中央部分にあった押入れを取り払い、カウンターデスクを取り付けた。
屋根を支える梁はあらわしに。住友林業の焼印が見られた。
2階西側の寝室。反対側もほぼ同じ仕様。
納谷建築設計事務所ではこれまでにも数件、リノベーションを手がけているが、純和風の戸建て住宅は初めてとのこと。
事業主であるリビタが展開する HOWS Renovationサイトに《しらとり台の家》として掲載されているこちらの住まい、3月下旬に売約となっている。





飲食のメモ。
青葉台駅前の[PAUL 青葉台店]でランチ。
パンの食べ放題にドリンクが付くキッシュのセットで¥1,000は、都心のPOULに比べてリーズナボー。しかもカフェラテはハート描いてくれてクッキーも1枚付いてくる。 喜。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

POUL(ポール)
www.pasconet.co.jp/paul/

「Nightcap 2050 - 未来の街 - 光 - 人」

$
0
0
月島にあるTEMPORARY CONTEMPORARYにて、面出薫氏率いるライティングプランナーズアソシエイツLPA主催による展覧会「Nightcap 2050」が14日から始まる。
以下は会場の主な展示と、13日の夜に開催されたオープニングレセプションの様子。

同展は「2050年、私たちはどのような光に遭遇しているのでしょうか」をテーマに開催され、昨年8月のベルリン会場を皮切りに、シンガポール、香港を巡回。4都市目となる此処・東京でファイナルを迎える。
現在の私たちの周りにある光、さらにこれから進化していく光がにどのような事象をもたらすのかを探求し、さらには人々よ広く語り合うプラットホームを目指しており、入場は無料。週末の夜にはトークイベントや子供も参加できるガイドツアーも開催される(要申込)
会場は大きく5つの空間に分かれ、各地の巡回展レポート、本展のメインビジュアルにも使われている映像展示「Lighting Pavillion」(後述)、建築照明デザインのプロ集団であるLPAからの提案展示など7項目。
左のモニターから、伊東豊雄、インゴ・マウラー、猪子寿之、ウィリアム・リム、中村修二の各氏が語る、光との出会いと2050年の未来像。字幕表示あり。
4都市の子供たちと行なったワークショップでは、照明探偵団ジュニアたちが、光を"犯罪者"と"英雄"に分類してみせる。
照明やライティングといった知識を持たない7-15歳の目には、例えば夜の渋谷駅周辺において、一体どんな光が悪者扱いされ、どんな光がヒーローとしてカッコよく映るのか。
こちらの1室は、会期中の毎週土曜に開催されるワークショップで子供たちが作る「2050年の東京夜景」の模型が追加展示される予定。
LPA(株式会社ライティングプランナーツアソシエーツ)による展示。地下空間、コンビニエンスストア、隅田川、災害など5つのテーマのもと、東京の未来を光で提案する。
光と闇は対極にあるものだが、はたして未来は両者は美しく共存し、人間その他の生物にとって気持ちのいい空間となるのか否か。
未来の地下鉄は、自らの移動=摩擦エネルギーを光に変え、光体となって入線する。
可変式の屋根の下、昼と夜とで表情を変える未来のコンビニ。
そもそも長方形のハコではなく円形のコンビニが今の世にあっても楽しい。

リサーチに基づくこれらの提案の集大成とも言えるのが、3方の壁と床面をスクリーンとした「Lighting Pavillion」での映像展示。所要5-6分の3つのチャプターに分かれ、見ごたえがある。
ろうそくの光。
新緑のこもれび。
室内に差し込む光。
四季の光。
都市の光。

宇宙から見た光。

この日の晩は別会場・隣接するレストラン[月島スペインクラブ]にてオープニング・トークが開催された。LAPスタッフによるプレゼンの後、面出氏、五十嵐太郎氏、原研哉氏が鼎談。
原氏のコメント要約:「よく光害というが、汚い夜景というものはない。なぜなら夜景とは、そこに暮らす人々の営みが集積したものだから。闇を美しく創造できる国がかっこいい。ピアニッシモな光を表現できる未来が望ましい。2020年の東京五輪で実現できると良い」。

「Nightcap 2050 - 未来の街 - 光 - 人」は2016年5月14日から6月10日まで。平日13-21時、土日10-18時。入場無料。
会期中のイベント詳細は facebook にて発表。
https://www.facebook.com/lpa.exhibition



飲食のメモ。
前夜のレセプションは協賛・後援・協力の各社とプレス関係者が出席。[月島スペインクラブ]自慢の大皿パエリアや生ハム、ワインなどがふるまわれる。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

月島スペインクラブ
www.spainclub.jp/tsukishima/

「WITHOUT THOUGHT Vol.15 駅 STATION」@デザインハブ

$
0
0
東京ミッドタウン・タワー5Fにあるデザインハブにて、特別展「WITHOUT THOUGHT Vol.15 駅 STATION」を見る。
同展は深澤直人氏が長年、監修者を務めているDMNデザインワークショップ without thought(ウィズアウトソート)に参加する、各ジャンルの企業で働く第一線のデザイナーたちによる作品披露の場。毎回設定テーマがあり、15回目を数える今回は「駅 STATION」。

"without thought"とは"何気なく、思わず"の意。電車に乗る、降りる、移動する、到着を待つ、さらには駅舎の中の店で食べる・買うといったさまざまな行為の場となり、背景となる「駅 STATION」におけるデザインの可能性を提示する。
実際にありそうだが、ないらしい。床タイルが周辺案内図に。
手前:レールのかたちをした「羊羹」は(株)リコーに所属するデザイナーによるもの。奥の掛け軸は山手線を模した一筆書きの書。
子供用の靴。黄色いつま先の効果が最大限発揮されるのは、駅のホームで電車を待っている場面で。同展フライヤーの画がわかりやすい。
これ、いいなぁ「カップ駅そば」。NAOTO FUKASAWA DESIGN スタッフの案。
白い人型がスシ詰め状態の「ミントタブレット」。デザインは富士フィルム(株)のインハウスデザイナー。
さっきから食べ物ばっかり撮っているが、当ブログの趣旨というか本能のおもむくままに。「メトロドーナッツ」は(株)資生堂のデザイナー。
WITHOUT THOUGHTは2006年から何度か見ているが、デジタル系の作品も目立つのは世の流れだろう。「混雑が表示されるトイレのサイン」を提案した(株)ワイピーデザインは、第3回「東京メトロ銀座線駅デザインコンペ」で奨励賞を受賞している(同社リリースより)
アプリも多種多様。「電車でGO」がハンディサイズになったような「運転席からの景色が見えるアプリ」は富士フィルム(株)の作。深澤事務所のスタッフが提案した「次の駅で下車する予定の座っている乗客が分かるアプリ」なんてのも。
思わず、爆笑した「ゲロ袋」。
東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「WITHOUT THOUGHT Vol.15 駅 STATION」は5月15日まで。11-19時。入場無料。




+飲食のメモ。
エレベーターを3Fで降り、連絡口からガレリア3Fへ。サントリー美術館の[cafe]の企画展限定メニューを横目に、IDÉE SHOPの奥にあるIDÉE CAFÉ PARC東京ミッドタウン店へ。吹き抜け大空間のキャノピー・スクエアを見下ろすテラス席がゆったりと用意されている。喫煙可だが、気にならない。PARCとは公園の意。店内でオーダーして席に運ぶセルフ式。


おいしゅうございました。ごちそう様でした。

IDÉE CAFÉ PARC(イデーカフェ パルク)
http://www.idee.co.jp/shop/tmd/

手塚建築研究所《ふじようちえん スマイルエッグス》内覧会

$
0
0
立川市にある「ふじようちえん」に新たな園舎が誕生した。
立地は西武拝島線武蔵砂川駅南側のほぼ駅前。設計は、この《スマイルエッグス》から南に15分ほど歩いた場所にある、ドーナッツ型の平屋屋根を子供たちが駆け回ることができる園舎として有名な《ふじようちえん》と同じ、手塚貴晴氏と由比氏が代表を務める手塚建築研究所

手塚建築研究所としては、前述のドーナッツ型園舎、子供向け英語教室《Ring Around a Tree(ツリーハウス)》、2014年9月にオープンした《キッズテラス》以来、4棟目の教育施設。敷地面積1188.00平米、元は駐車場。
《スマイルエッグス》という建物の名称としては、0歳2か月から2歳児までの未就園児を預かるログハウスの保育施設が、フェンスを挟んだ北側に隣接しており、いずれはこちらの園庭と新施設は行き来ができるようになり、大根畑が作られる計画もあるそうだが、本格的な外構工事を前に、一足早く新園舎の内覧会が開催された。
西側の入口正面から、しゃがんで撮影した画。屋根は傘を傾けたように南東側が低くなっている。 下の2枚は南側からの眺め。

屋根の外周部は端が立ち上がっていて雨水を流す。仕上げはFRP防水。色は一回では決まらず、検討を重ねたとのこと。
建物東側には、園児なら出入りできる小さな引き戸が設けられている。
東側外観、逆光の画。最も低い軒下1メートル強の付近で屋根の雨水を集約、下の排水槽で受ける。
設計:手塚建築研究所
構造:オーノJAPAN
照明:ぼんぼり光環境計画
施工:内野建設
大人だとちょっと屈んでの出入り。なにやらガリバー国への入口のようだが、中に入ってみると、外観から受ける印象よりはるかに広いので驚いた。建築面積112.51平米、延床面積99.61平米。木造地上1階建て。
歪んだ楕円形の円周部に沿って、高さ10センチほどの"ベンチ"がぐるりとまわっている。
床は木のフローリング。0歳児は生後半年前後でハイハイを始めるので、ささくれない、手で触れた時にも柔らかく、心地の良い桐材が選ばれた。
内覧会時は角舘まさひで氏が代表を務めるぼんぼり光計画が配した電球が点灯していたが、手塚氏いわく、昼間は外光だけでじゅうぶんに明るいそうだ。日没と日の出の時間30分前に外周部の照明が点灯する。現状品では子供の網膜を痛める可能性があるとして、電球の光源はLEDではない。
生まれたばかりの赤ん坊は日がな一日眠って過ごす。大人から見れば何もしていないこの時間が、0歳児の成育にはとても大事で、ふじようちえん園長先生いわく「脳が育つ」時間だという。赤ん坊が毎日、目にする景色をどうつくったものかを考えていた手塚氏は、ある時、番傘を開いたような形状にしようと閃いた。空間内部の柱は、傘の柄にあたる1本だけである。
近づいてみると、大黒柱は集成材であることがわかる。柱と梁はベイマツの集成材。極めてタイトだったという工期とコスト、そして強度面をクリアする材として採用された。 
「ものすごく小さな部材がこれだけの大スパンの大屋根を支えている。締込みをせずに柱と梁を合わせていく構造計算、そして施工も大変で、これを見事に作り上げた日本の大工さんたちは本当に凄い」と手塚氏は関係者を絶賛。
会場に用意された製本図面をざっと捲ってみたところ、天井の屋根合板配置図や野垂木梁伏図などはまるで蜘蛛の巣のごときであった。
屋根は傘を傾けたように角度がついているため、部材の接続部の継手・仕口の形状には、ひとつとして同じものが無い。3次元で図面を起こし、プレカットまで自動でできる業者のノウハウと、工務店の施工技術などが結集して誕生した、ふじようちえんの新たな"タマゴ"。
上の画・柱の下の赤ちゃんは生後4か月。やがてハイハイができるようになり、赤いパンツをはいた子のようにあちこち全力で走り回る。未就学児童の託児施設のほとんどにおいて、0歳児はパーテーションか柵で囲われた一角に寝かされている。誤って他の子に踏まれないようにするためだ(園長先生の談)。その悪しき慣習が少なくとも此処では解消される。
"#保育園落ちたの私だ"問題に揺れるこの国。園長先生は「0歳児が一日中、安全に寝て過ごせる環境を、もっともっと作らないといけない」と、集まった見学者に訴えた。
手塚事務所に園長から設計の打診があったのは昨年9月。翌年春までに建てたい希望を叶えるため、この半年間頑張った事務所スタッフらがねぎらいとともに紹介される前を、幼児が楽しそうに走り回る。
円周部の10センチの段差は、この"短い足"の子供が腰掛けるにはちょうどいい高さ。小さな穴は、オンドル式床暖房の暖気の吹き出し口。
初夏を思わせる陽気のこの日は冷房がオンに。円周部南側に、泳浴槽やオムツ替え台のある小部屋、布団収納庫などに並んで空調機が収納されている(上の画)。上下2段の扉を開くと冷気は天井に向けて流れる仕組み。
幼児用トイレ。
大人用トイレとミニキッチン。
手塚氏の解説が始まる前、大人も子供もごろんごろん。

なお、今回の内覧会は、熊本地震支援のチャリティーを兼ねた。受付時の募金全額が寄付される(東日本震災発生直後にも、手塚建築研究所は住宅内覧会で同様のチャリティーを実施している)

ふじようちえん
http://fujikids.jp/

「空気をデザインする ーみんなの森 ぎふメディアコスモスー」展@LIXILギャラリー2

$
0
0
会期は今月24日(火)まで。伊東豊雄建築設計事務所の《みんなの森 ぎふメディアコスモス》担当スタッフによるギャラリートークも本日15時が最終回。
みんなの森 ぎふメディアコスモス》は、岐阜市の岐阜大学医学部等跡地に昨年7月にオープンした公共施設。図書館、市民活動交流センター、ギャラリー、ホールの配置がわかる縮尺1/100の模型、事業構想が動き出してから今日に至る流れ、周辺の様子などがわかるパネル、特徴的なシェル屋根の施工風景を撮影した動画資料が展示されている。
市の事業計画の推移は施設の公式サイト「開館までの歩み」が詳しい。公募型プロポーザルで設計者を選定したのが2011年2月。ファイナリストは槇文彦氏、藤本壮介氏、伊東豊雄氏を設計者とする3組だった。
2階の全フロアが図書館で、野球のグラウンドほどの広さがある。上の画・右下の円形テラスからは、織田信長の居城があった金華山を一望。施設の運営プログラムには2000年にオープンした《せんだいメディアテーク》で培われたノウハウが反映されており、家具やファブリックなどのインテリアは《多摩美術大学付属図書館》でも協働した 藤江和子氏と安東陽子氏、サイン計画は原研哉氏、照明計画は面出薫氏の各事務所が担当。
なかでも特徴的なのが、図書館の天井から吊り下げられた「グローブ」と呼ばれるオブジェと、その上のシェル屋根の構造および形状。伊東事務所はランドスケープの提案も設計条件の一つと読み取り、地元産のヒノキの集成材を3方向、21層、15層、9層と3段階に分けて積層して、最終の公開審査会でこのシェル屋根を提案した(構造設計はArup)。材の厚は2cm。会場にサンプルとして置かれた長さ120cm程度ではふつうにまっすぐな板(下の画の台の手前)だが、12mものの長さにもなると、しなって曲面が生まれる。
太陽光や豊富な地下水を巧みに利用した設備プランにより、「消費エネルギーを従来(:1997年京都議定書でうたわれた数値)1/2に削減する」という公約を遵守。グローブから取り込まれる外部の光をセンサーがキャッチして、照明の明るさを自動で変えることもできる。なお、本会場の照明は、館内の設定と同じ暖かみのある3,000ケルビンに設定されている。写真では黄色が強く出るのでわかりやすい。
ギャラリートークでは、この大小11あるグローブの掃除はどうやって行うのか、広いワンフロアの換気はどうなっているのかなどの質問が飛んだ。
「クリエイションの未来展」第7回 伊東豊雄展「空気をデザインする ーみんなの森 ぎふメディアコスモスー」は5月24日(火)まで。水曜休館(最終週の日曜・22日も休館なので注意)。開館は10時〜18時、入場無料。
次回は隈研吾氏監修の企画展。T_ADSの活動を紹介する「Advanced Design Studies, The University of Tokyo. 新しい建築教育の現場」が6月12日(日)より始まる。

LIXILギャラリー2
http://www1.lixil.co.jp/gallery/contemporary/




+飲食のメモ。
旧《数寄屋橋阪急》の跡地に3月31日にオープンした《東急プラザ銀座》のB2Fに、THE CITY BAKERYが入ったのは嬉しい限り。購入したパンを持ち込めるカフェも併設。東京メトロ銀座駅が目の前と、広尾店や品川店に比べて抜群にアクセスが良いのも有難い。

左の画はブラックペッパーが効いたチーズのホットサンドとクラムチャウダーのセット(税込¥972ナリ)
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

THE CITY BAKERY(ザ シティ ベーカリー)
http://www.thecitybakery.jp

「みんなの建築ミニチュア展」@オリエ アート・ギャラリー

$
0
0
北青山のオリエ アート・ギャラリーで「みんなの建築ミニチュア展」が本日より始まった。
会場に並ぶ452点の「建築ミニチュア」は、内外の有名観光地で売られている土産物の類いが殆ど。誰でも一度は目にしていたり、一般のご家庭にも1つくらいは棚の奥に秘蔵されているのではなかろうか(ちなみに我が家には、会場展示品と同じ「ストーンヘンジ」が、2週間の英国旅行の想い出としてある)

本展プロデュース:五十嵐太郎氏、ディレクション:遠藤秀平氏
出展協力:斎藤公男、橋爪紳也、磯達雄、菅野裕子、倉方俊輔、稲益祐太、小﨑晶子(以上、敬称略)

開催のきっかけは、昨秋に大阪で開催された「遠藤秀平 ワールド・ミニチュア・ワールド展」において、遠藤事務所が展示した27のコンセプトモデルに加え、遠藤氏が旅先で購入した「建築ミニチュア」を途中から並べたところ、思わぬ反響があり、建築を知らない来場者にもウケたらしい。その様子を見知っていた五十嵐氏とともに、集めていそうな周りの人間に声掛けし、みんなの建築ミニチュア展実行委員会が結成された。最近はネガティブなニュースばかりの建築の世界だけれども、実はもっと楽しくて面白いものもあるんだよと知ってもらおうと、展示の主役を交代しての"巡回"となった。

初日の晩には、遠藤、磯、斎藤、橋爪、五十嵐の各氏によるオープニングレクチャーが開催された。栄えある賞の受賞パーティを抜け出して途中から参加した橋爪氏は、遠藤氏によるディレクションで出展を"却下"された選外の数々を持参。聴衆の忍び笑いを誘う話術がまた秀逸。
今回の展示では3次元の建築構造物であることが主な条件だったため、ペーパークラフトやノベルティグッズの類は出ていない。またの機会で披露されることを望む。

どれほどのお値打ち品かは、一部に出展者=所有者の解説(橋爪氏の意訳では「自慢合戦」)が添えられた、会場配布物である12Pのタブロイドでも窺い知れる。土産物品以外にも、建物の竣工記念のノベルティなど、今では関係者でも持っていない貴重な逸品もあり。但しネットオークションでの落札品はひとつも無いとのこと。
途中からどんどん出展示数が増えていったため、テキストが添えられていないモノもあるが、通番と会場MAPを照合してどれが何で誰の所有かが判るようにもなっている。東北大学五十嵐研の学生たちによる労作である。
会場はAからTまで13の分類がなされているが、タブロイドと照合するうえでの便宜上といったところ。

建築オタクにおたくを掛け合わせたような「新横浜ありなinアキハバラ」は五十嵐氏の所有。「超レア」と橋爪氏が"自慢"した「梅田スカイピル」の花瓶や、磯氏が素材(石州瓦と同じ製法で出来)にも惚れ込んで買った「島根県芸術文化センター」のペーパーウェイトなど、入手の背景とモノへの偏愛がわかるとさらに楽しさ倍増。
出展者それぞれに"己に課したルール"があるようで、手を出す・出さないジャンルの有無、予算の上限、原則現地買い、同年代の現代建築ミニチュアには手を出さない云々の話で盛り上がった初日のトーク。斎藤氏は「他人にはよく『いくらで買ったのか』と訊かれるが、そこに辿り着くまでの費用込みで訊いてほしい」と訴え、場内の爆笑を誘う。最終日の夜は倉方氏ら5名の出展者によるクロージングレクチャーで締めくくられる。
なお、前述のタブロイド掲載は451点だが、遠藤氏が海洋堂製作によるガチャポンの「東京駅 丸の内駅舎」を急遽、持ち込んだため、現時点の総数は452点である。上の画の中央付近、「国会議事堂」と「東京都庁舎」の後ろに控えている。
俯瞰も圧巻だが、しゃがんで目線をグランドラインに近づけると、この会場ならではのスカイラインに。
遠藤秀平建築設計事務所のスタッフである村里愛美氏による、事務所の周辺を舞台に撮影したという写真作品が、通常はおカタいはずの建築を柔らかくフレンドリーなモノへとさらに変質させている。

「みんなの建築ミニチュア展」は北青山のオリエ アート・ギャラリーにて6月10日(金)まで。開廊は10:00〜18:30、日曜休み。入場無料。

「みんなの建築ミニチュア展」facebook
https://www.facebook.com/events/494648554058696/




+飲食のメモ。
オープニングトーク後のレセプションでいただいた美味しい柿の葉寿司とおいなりさんで別腹の虫が鳴き、甘いものを求めてキラー通りを北上。22時まで営業している[PÄRLA(パーラ)]で「ブルーチーズとイチジクのクレープ」をオーダー(¥1,200ナリ。手際よく焼き上げられのを待つ間、《東急プラザ銀座》に2号店が出たと店主から教わり、狂喜する)
左は千駄ヶ谷駅を目指してさらに北上途中の画。ピンボケとお行儀の悪さはご容赦を。
たいへん美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

PÄRLA(パーラ) 

http://par.la/
https://www.facebook.com/parla.crepe/

「鈴木マサルのテキスタイル OTTAIPNU 2016 COLLECTION」@代官山

$
0
0
「鈴木マサルのテキスタイル OTTAIPNU 2016 COLLECTION」が代官山の[T-SITE GARDEN GALLERY]で本日より始まった。

昨年の今頃、西麻布にあったギャラリー・ル ベインで開催された「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」は会期が10日以上あったが、今回は今日から29日(日)まで3日間のみ。

新作を含む雨傘、バッグやスカーフ、タオルなどがズラリ。大判の図柄をプリントしたテキスタイルと、会場を横断する傘のインスタレーションが目をひく。 
コマ送りのように天井から吊り下げられているのが、今年の新作の雨傘。
手前左:バッファロー柄の雨傘。
会場構成は今年も設計事務所imaのお二人が担当。

"ラスボス"ことシロクマほかタオル類各種。
今年は大判テキスタイルも販売。
OTTAIPNUとしては初めて、北欧フィンランドの工場でプリントされた新作テキスタイル。 大迫力。こちらも1リピート(W150×H180)から販売。
雨傘は長傘のほか折りたたみ傘もあり。上の画は新作のひとつ、バッファロー絵柄の雨傘を広げてみたところ。モノクロ仕様は鈴木作品では珍しい。
ジャガードの手提げ、キッチンクロスもモノトーン。OTTAIPNU としては初のジャガード商品とのこと。会場販売はないが、商品展開はクッションカバーもあり。
カラフルな布バッグ(上の画・奥)とストール。
通常はネット通販のみ、鈴木マサルさんがデザインした"紙芝居みたいな腕時計"「カエルノジカン」も対面販売(鈴木さんいわく「弱気な仕入れ」で、私の購入時点でラス1に)。 
お買い上げ品はこちらの特製ショッピングに入れてくれる。長傘用もあり。「歩く広告塔になってください」(鈴木マサルさんブログ「テキスタイル獣道」より)
3年前に代々木上原での展示販売会で、モンキー柄の雨傘を買ったが、雨の日にさすのが楽しくなるような傘である。 服や靴のようにその日の気分で、というのが夢。
なお、今年は日傘の新作発表はなし。蔦屋書店の店内では「鈴木マサルのテキスタイルフェア」を連動開催しているので、日傘やハンカチなどはこちらでの取り扱い(書店でのフェアは6月16日まで。ギャラリーでの展示販売会を逃した方はこちらでチャンスを掴みましょう)
ハンカチの原画が出ていて、思わずパチリ。
いつか鈴木さんの原画展も見たくなる、「鈴木マサルのテキスタイル OTTAIPNU 2016 COLLECTION」。会期は2016年5月27日(金)~29日(日) 10:00~21:00(最終日は20:00まで)。入場無料。




+飲食のメモは後ほど。

「インテリア ライフスタイル」@東京ビッグサイト

$
0
0
東京ビッグサイト西ホールで開催中の「インテリア ライフスタイル(Interior Lifestyle Tokyo)」を見学。衣・食・住のライフスタイルプロダクツが一堂に会する国際見本市。会期は2016年6月1日(水)から3日(金)までの3日間のみ。
毎回話題のアトリウム特別企画のディレクターをトラフ建築設計事務所が務め、フライヤーや場内グラフィックなどのアート・ディレクターを山野英之氏/TAKAIYAMA.inc.が担当している。

今年のテーマ「伝えたくなるデザイン」。アトリウム会場は撮影可、ハッシュタグ付きでSNS掲出推奨という、PRESS以外は撮影厳禁が常の商材展示会としては画期的な試み。
アトリウム会場は WOW! KAWAII! など感嘆符が付く5つのコンセプトワードに分類され、あちらこちらに置かれた"吹き出しカード"を使って撮影、SNSシェアを盛り上げるという仕掛け。
OTTAIPNUは代官山での新作発表会「鈴木マサルのテキスタイル OTTAIPNU 2016 COLLECTION」を終えたばかり。代官山と昨年に続いて会場構成は設計事務所imaのお二人が担当。

のれんやはんかち、いろんな布に貼れば独自のワールドが形成される、京東都のおもろい和片(わっぺん)
Timbreの新作「Ice Bell」は、ベルの形で氷が作れるシリコン製氷皿。同型のマドラーは場所をとらずスタイリッシュに卓上に立てることができる。 奥はやり始めると止められなくなる「Bird Call」。クリアとホワイトは共にアクリル成型!
more treesは昨秋の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2015」で発表した隈研吾氏デザインの「つみき」を出展。ブースの3方の壁に並べての会場構成も隈事務所が担当。
アトリウム場内は壁と床が明快に色でゾーンニングされ、USJか舞浜の某アミューズメントパークを周遊しているのと似た感覚を覚える。
各ゾーンの中心には、出展者がワークショップを行なえる円形テーブルが用意されている。

上の画の奥は、毎回楽しいので人が集まる福永紙工のブース。
かみの工作所「空気の器」の新作。もうそろそろネタぎ(略)でしょう、などと思うこちらが浅はかで、毎回おおお、こうきたかと唸る。トラフさんの”ラーメンどんぶり”こと「Noodle」、groovisionsによる「Mt.Fuji」はありそうでなかったデザイン。初参加の祖父江慎氏による「チャンサンクン」は衝撃のデザイン(CRAZYでした)
安積朋子氏デザインによる世界の名作椅子とジオラマのセット「ONE TO SIZTEEM」のシリーズ。ジャスパー・モリソンがデザインしたチェアも忠実に再現、紙製でもしっかと立つ。
10周年を迎えるブランドの集大成的な展示。今秋には六本木アクシスで特別展も予定。
昨秋の「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」ではセンプレのブースで紹介されていた水性塗料「mizu color」。1回、2回、3回塗りで色の違いがわかりやすい。
半纏や神社幕などをつくってきた京都の印染屋から、本日デビューのブランド「印染杉下」と、岡山の荷札会社さんの新ブランド「いわゐ」。荷札に120円切手を貼れば同封のパッケージを郵送できる。
設計事務所imaが昨年に続きブースをデザインした LAPUAN KANKURIT /ビオトープの展示説明をPRのD社Yさんから受けた後、WOW! ゾーンへ(今回のアトリウムはおそらく動線の利は重視していないようで、場内をくまなくじゅんぐりと巡らせるように壁をたてていると思われる)。
場内に什器を提供している石巻工房。宮城からお越しの工場長にご挨拶。
モビールのtempoは新作2点を発表。上の画はDRILL DESIGNがデザインした「place to be」。
カモメのように輪のウェイトを引っ張り下げると上の"かもめ"がびよんびよん動く楽しモビールはフランス人デザイナーの作品。
初日13:30、テラダモケイの代表寺田尚樹氏自らマイクを握って「1/100建築模型用添景セット ワークショップ」の参加者を募り、瞬く間に埋まったところでそのまま講師を務める。 
新作のNo.068「ひまわり」はピンセットでつまんで葉脈入りの葉を上を向かせるのがベスト。参加者が黙々と作業する中、寺田氏は井の頭動物園の象のはな子との想い出を挿入したり、見守るギャラリーをも飽きさせない。 
ブースではテラダデザインスタッフの熟練の技による添景がケースに収められてズラリ。このうちのひとつ、No.044「田植え」の稲苗40,000本をトラクターで植えていくという、日本人の心の原風景を淡々と描写した、今回もまたCRAZYなムービーも披露。
伝説の渋谷スクランブル交差点のムービーも上映youtubeでも公開中)
上階に出展中のタカタレムノスで取り扱っている「15.0%」のブースも「テラダモケイ」に隣接。お父さんお母さんお子さんのファミリー三人で、アイスクリームをこぼしても気にしない体で食べ進めるというスペシャルなTシャツを発表。
職人技のアルミ成型アイスクリームスプーンがジャストサイズで収納できるポケット付きモデル:寺田尚樹さん)。 
こんなところにもポケット。後ろ手で取り出すという(武士ですな)
初日15:30から開催されたWSでは、スプーンを握る人の体温が伝導して、スタッフが気合を入れてカチンコチンに冷やした高級アイスを溶かしながら...感動の実体験。
寺田さんの2ブースは「WOW!」というより「CRAZY!」です。
アトリウム以外は撮影禁止。西ホール3(株)マークスインターナショナルの企画展示は例外。
新作は芦沢啓治氏がデザインしたダブルハンガー(上の画、右奥)の披露のみ。すでにあるもの、販売もされているプロダクツに、新たな言葉の力を与えてみることで、新しい価値への気づきを促す。
インテリア ライフスタイル」は6月1日から3日まで。10:00-18:00(最終日は16:30まで)。招待客および事前登録者は無料、当日入場は¥2,000要。




+飲食のメモ。
歩き疲れたらアトリウムの一角にあるカフェで休憩。前回も出ていた「結わえる 寝かせ玄米おむすびのいろは」が今年も出店。

テーブル、ベンチ、照明は石巻工房の提供。
アイスコーヒー¥400、玄米ほうじ茶のボトル¥200。
寝かせ玄米おむすび弁当¥650なり。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

結わえる 寝かせ玄米おむすびのいろは
www.yuwaeru.co.jp/omusubi-iroha.html

「玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」@POLA MUSEUM ANNEX

$
0
0
銀座1丁目のPOLA MUSEUM ANNEXにて4日から始まる展覧会「玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」のオープニングレセプションへ。
新潟県・燕三条で、鎚起銅器の技を継承してきた玉川堂(ぎょくせんどう)の創業200周年を記念するもので、東京での展示に先立ち、地元の燕市産業史料館で開催した展覧会の巡回。4月に開催1816年に創業した初代玉川覚兵衛から数えて七代目の玉川基行氏に至る200年間の代表作26点が一堂に。

鎚起銅器(ついきどうき)とは、一枚の銅を金鎚(かなづち)で打ち起こしながら成型される。銅は叩くと強度が出る=硬くなるため、火炉に銅器を入れて柔らかくしながら、叩いて伸ばすのではなく「縮める」のだそうで、様々な工程を積み重ねて作られる。
200周年を記念して一新されたロゴは、同社を代表する技法「大鎚目」からインスパイアされたデザイン。職人が金鎚で銅器を「打つ」作業と、時を重ねるほど美しさを増す玉川堂の銅器の魅力を表現。
東京には2014年8月に、骨董通りに「玉川堂青山店」がオープンしている。 会場だけの特別限定販売もあり。
会場の一角には作業場も再現。職人による実演を連日開催。
座った時に手元に来る鉄の棒は「鳥口(とりぐち)」と呼ばれる、同社が開発したオリジナルの道具で、通常は背面に幾種類も掛けられている。作る器の形状によって交換して使い分ける。金槌も同様。
会場では作業風景を撮影したスペシャルムービーも上映。
上の画・左側手前の赤茶色の火鉢が「大鎚目」によるもの。五代目の作品。純銀や彫刻など、代によって得意とする技法があり、作風も異なる。基本的に"使われる器"であるため、代が遡るほど現存する品は少ないが、乾拭きによる風合いの変化を確認できる。
本展のために製作された最新作は、七代目基行氏と、本展の空間構成を担当したスペースコンポーザーの谷川じゅんじ氏JTQ Inc. CEO)による《MOON》。鏡面仕上げのステンレスと鎚起銅器を組み合わせたデザインで、花器、ワインクーラー、インテリアオブジェなど用途はさまざま。
MOON》は2013年に七代目と谷川氏により第1作(下の画、左側)がデビューしている。前回はステンレスを受ける曲面の器の表面が青かったが、今年の《MOON》には江戸時代から伝わる特殊な金属技法「木目金(もくめがね)」が使われている。
上の画・右は、人間国宝玉川宣夫による《木目金皿》。昭和50年代の製作。
水を打ったように静謐な黒い展示台。表面は流動パラフィンという液体(ベビーオイルに使われる油)。場内の埃などを適度に吸収し、沈ませるので、漆黒面が美しく保たれる。
玉川堂 200年展 〜打つ。時を打つ。」は6月19日まで。開廊は11-20時(入場は閉場30分前まで)、入場無料。無休の会期中、ギャラリートークや体験ワークショップなども開催される。

玉川堂
http://www.gyokusendo.com




飲食のメモ。
階下2階にある「HIGASHIYA GINZA」で催されたレセプションパーティにもおじゃまする。
和の惣菜はもちろん、冷煎茶と笹に巻かれたおにぎり、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

HIGASHIYA GINZA
www.higashiya.com/

納谷建築設計事務所《昭和女子大学附属 昭和こども園》を見学

$
0
0
納谷建築設計事務所が設計し、昨秋に竣工している《昭和女子大学附属 昭和こども園》を見学。通常は親御さんでも園が発行する身分証の提示が必要なセキュリティチェックがある施設につき、セミクローズの特別内覧会。
地下1階+地上3階建て、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造(構造設計:昭和女子大 森部康司研究室+yAt構造設計事務所)
上の画は、施設西門前、西側道路からの園舎外観。1、2、3階のセットバック形状が確認できる。旧園舎内の樹木で中が空洞になっていたものは伐採、上の画の木は世田谷区に保存樹林の届け出をして残した。

国道246沿いの大学正門から入って行くと、L字に右に折れて、大学1号館と80年館に挟まれた空間の先に園舎が見えてくる(下の画、赤く囲ったところ)。旧園舎では園舎は北側、南側に園庭が広がり、園児を迎える門にはアーチがかかっていた。
同大学環境デザイン学科と関わりのあった建築家複数を指名して、敷地外にも在った認定保育所(昭和ナースリーなど)と合併した園舎の建て替えを大学側が計画、実施設計者を決めるプロポーザルが実施されたのが3年ほど前。隣接する初等部(上の画・左側)と同じ4階建てという大学側の草案がプロポーザル時に提示されていたところ、納谷学氏、新氏のご兄弟はあえて3階建てで、園庭を地上から1階の屋根の上に持ち上げた園舎を提案。競合他社の逆をいき、プロポーザルを勝ち取った。
設計期間は約2年。認定こども園法を想定して、保育所と幼稚園を合わせたプランを考えていたが、施行のタイミングから結果的に厳しい保育園法に準じた。待機児童問題を抱える世田谷区からの要請もあり、当初の規模より拡大して認定こども園に。
大階段を上がった2、3階が4、5歳児の保育室。1階が0歳児から3歳児の保育室。
大階段に向かって右、旧園舎にあったアーチ門を彷彿とさせる遊具の配置。かつて園内にあって中が空洞化していたため伐採した老木も遊具のひとつに(下の画)
1階メインエントランスがあるコーナー(この角が北を指す)。園庭を支える屋根に傾斜が付いているのが判る。
メインエントランス前から、大階段側面の眺め。階段下は倉庫になっている。
下駄箱を含む什器、家具のデザインは藤森泰司アトリエが担当。
緩やかにカーブする天井の下、ホテルのロビーのような開放的な教員室。スタンド照明デザインなど照明計画は岡安泉照明設計事務所
やや南に寄せた位置、前述の大階段と軸線を同じくして中庭が設けられている。面積が大きくなった園舎の奥までいかに光を取り込むかが今回の課題でもあった。児童が走り回っても衝突しないよう、柱も極力少なくしている。
遊戯室の側から、ランチルームを挟んで、保育室の眺め。向かって左から3歳児、2、1、0歳児を預かる部屋。走り回れる空間から0歳児が寝て過ごす部屋を遠ざけている。
3歳児はひまわり組。黄色いミツバチもあわせて描かれている。
2歳児保育室。
ガラス戸を閉めると組を表すグラフィックが重なるデザイン。これらの館内サイン計画は寺田尚樹氏インターオフィス粟辻デザインによるもの。
0歳児の部屋はつくしんぼうのグラフィック。扉は閉めた時に指を誤って挟んでも安全なように、把手より下の小口がゴムになっている。きょうびの幼保施設では当然の仕様とのこと。
セキュリティの厳しいキャンパス内という立地で安全性がある程度確保できるという利から、園庭および館内はかなり開放的に設計することができたという。
部屋を仕切る扉は収納式に。家具で空間を仕切るという考え方。納谷事務所も一部の家具のデザインを手掛けている。
テーブルは既製品だが、椅子は藤森アトリエのオリジナル。スタッキングできる。
保育室側から、左手が中庭、ランチルームを挟んで遊戯室の眺め。下が収納スペースになっているベンチも角を排し、緩やかなカーブを描く。
 
窓ガラスや透明パーテーションには必ず、子供の目の高さに花柄の衝突防止マークが描かれている。
段差が園児には腰掛けや遊び場になる、ペレットストーブコーナー。
親御さんには卒業生も多いため、全てをまっさらにはせず、ところどころに旧園舎を思い出せるものを残している。
旧園舎にあったタイル画もそのひとつ。
ステンドグラスも壁ごと取り外して3階に移設(ゆえのこの壁厚)
子供用トイレ。大人用トイレは別にあるが、併用できるようにカーテンを設けた。
カーテンの布のデザインは安東陽子デザイン(この回の見学時は披露がなかったが、館内ロールスクリーンのデザインも手がけている)
3階大人+子供用トイレ。
3階フロアの1/3を占める遊戯室。
晴天時は南からの陽が差し込み、ガラス屋根の下で雨の日でも遊べるテラス。向かって右側は食堂。初等部の校舎を渡り廊下で繋がっている。こちらの幼稚園の運動会は初等部と合同で開催するなど、上の代との接点を設けている。
3階ウッドデッキのテラス。
3階テラスから園庭北側と中庭の見下ろし。
中庭と南側園庭。奥の"お山"の頂上は砂場である。
もちろん階段があるが、砂場には滑り台から直行できる。
階段途中からの園舎見下ろし
2階の外壁は焼き杉+塗装。色は旧園舎の屋根に合わせた。杉板は厚みや幅を変えた4種類で表情をつけている。
大階段との境付近から、緩やかな傾斜がついた北側「こどもの丘」の眺め。
「こどもの丘」から南側の眺め。
枯れ草のような色が混じった人工芝は、建築関係者が多い見学者の間で「こんなのあるんですね」と話題を集める。
階段との境に設けた可動式フェンスのストッパーの上にも人工芝を張っている。金属の突起部分を露出させないため。
「こどもの丘」で見学者と談笑する納谷学氏、園舎からの眺め。
竣工は昨秋、10月には幼稚園の運営を再開していたが。今年4月から幼保一体の「昭和こども園」としてスタートしている。

納谷建築設計事務所 www.naya1993.com/

昭和女子大学附属 昭和こども園 http://kodomo.swu.ac.jp/




+飲食のメモ。
昭和女子大から徒歩10分ほどの住宅街にあるカフェ[ NOZY COFFEE ]で水出しアイスコーヒーをいただいて休憩中、向かいにある高級ブーランジェリー[ Signifiant Signifie(シニフィアン・シニフィエ)]の上階の飲食店が、開店と同時にゾロゾロと大勢の人が扉の中に吸い込まれていく光景を目撃。道を挟んだ公園に開店待ちの行列ができていたらしい。
聞けば、和食屋で、かき氷が有名とのこと。ならば、今年初のかき氷は此処で食せんと、シニフィアンで「パン オ ヴァン」など購入して大枚をはたいた後、[ 和キッチン かんな ]の扉を開け、行列最後尾につく。 
[かんな]はいちごやらティラミスやら多種多彩なシロップと、日光の天然氷がウリらしい。今夏初のかき氷なので+250円を奮発して天然氷「紫いも牛乳」をオーダー。¥1,000ナリ。

アイスコーヒーもパンも氷も、とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
Viewing all 125 articles
Browse latest View live