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「Windsor Department Exhibition 04」@ギャラリー5610

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南青山にあるギャラリー5610にて「Windsor Department Exhibition 04」が10日から始まった。

出展者:藤森泰司(藤森泰司アトリエ)、INODA+SVEJE(Kyoko Inoda + Nils Sveje)、DRILL DESIGN(林 裕輔 + 安西葉子)

17世紀後半のイギリスのウィンザー地方の町家や農家で使われていた木製の椅子が源流とされるこの椅子に魅力を感じていた藤森氏と林氏が意気投合、ミラノを拠点とするINODA+SVEJEの二人を誘い、2011年に結成したデザイングループ「Windsor Department」による自主企画展。

デザイナーとしての直感とリサーチに基づき、「各自がウィンザーの好きなところを抜き出してつくった」現代のウィンザーチェアを定期的に発表。4回目となる本展では、01から03の回で発表された作品も並列され、三組三様のデザインの変遷を辿れる構成に。 また場内の1作品を除き、実際に座り心地を試してみることもできる。
藤森泰司作品の展示コーナー。端・奥の2点:座面の奥行が極端に短い古いウィンザーチェアとの出会いから、2010年にプロトタイプが誕生した《Ruca》。ブルーの座面のスチームフレームのチェア《Flipper》は、藤森氏が「外に連れ出そう」とデザインした2013年の作。前回発表した《Copper》は原点回帰のシンプルなかたち。最新作《Tremolo》については後述。
展示台および各作品解説書を掲示した合板の塗装は、今月初旬に東京ビッグサイトで開催された「インテリア ライフスタイル」のアトリウム会場に出展されていた、富士の天然水を原料とする塗料「mizu color」によるもの(ビッグサイト出展ブースのデザインをDRILL DESIGN が手がけている)
「好きなだけに逆に手を出せなかった」という林氏が、デザイナーとして第1作となる椅子の発表が、2011年12月に都内で開催された「Windsor Department Exhibition 01」であった。上の画・右端の作品がその《BEETLE(アーム付きのバージョン)。プロダクトとしては重いという指摘を受けて、後述する最新作《ARGYLE》に至るまで、一貫してウィンザーらしいシンプルさと軽量化の両立に取り組んできた。
11日の夕方には、ニルス・スバイエ氏を除く4名の出展者によるギャラリートークが開催された。厚い座面に脚とスピンドルを差し込んだだけに見えるウィンザーチェアだが、特に昔に作られたものなどは、近代以降の生産の場では必須となる三面図に書き起こすのが極めて難しいそうで、実測したり模型を作ったり、手を動かすことで学びとる要素が多いとのこと。
猪田恭子氏とデンマーク出身のニルス・スバイエ氏によるユニットINODA+SVEJEの変遷は、白いコーリアンの笠木、肘当て、座面に、木材のコントランスをつけた《SNOW FLAKES》がスタート地点(この1脚のみDon't Touch)。声掛けされるまでウィンザーにまるで興味がなく、シェーカーの方が好みと打ち明け、場内の笑いをとった猪田氏に対し、藤森氏らは、デンマークをはじめとする北欧諸国には古いものを現代の技術でリ・デザインしながら受け継ぐ文化があると述べ、INODA+SVEJEの二人に参画してもらった経緯に触れた。
コーリアンを用いたラウンジチェア《SNOW FLAKES》は重量が30kgもあり、海外から担いで搬入する労苦に懲りた猪田氏は、続く《Pillow-back Windsor》以降をノックダウン方式に改良。前回2014年の《Manta ray》では笠木のないバージョンへと収斂進化している。

会場内でのギャラリートークの後、それぞれ最新のウィンザーチェアを外に持ち出し、青空の下で作品解説が進む。プロ同士の作品講評のやりとりとなり、聞き応えがあった。
上の画・左端:後ろ脚とスポークが一体となり、花びらのような背もたれが特徴的なのがINODA+SVEJEの新作《Petalo》。前作で完結した感があり、またデザインから搬入までや半月強しかなかったため、使う材を極力減らし、構造的に新たな挑戦をしたコンセプトモデル。
藤森泰司氏はスチールパイプの脚とスポークに、クロムメッキと銅メッキをそれぞれ施した2タイプの《Tremolo》を出展。
座の上に補強が見られるが、市販流通品となるには当然ながら百貫クラスでの品証確認が要る。メーカーとの協働開発では難しいデザインに挑戦でき、クラシックなウィンザーチェアを通してプロである自身に様々なトレーニングを課す一連の活動に、各氏は得難い魅力を感じ、互いに刺激も受けているようだ。
DRILL DESIGN《ARGYLE》。3作品中、最も重量があるように見えるが、座の部分が布張りで、軽量化のコンセプトは不動。クロスバックの背は構造的にも強く、「空間的に人を支えようとする、モダンデザインの源流といえるのがウィンザーチェア」という各氏の定義づけを裏付ける作品に。

ギャラリー5610での「Windsor Department Exhibition 04」は6月18日(土)まで。開廊は11時~18時、会期中無休。入場無料。

Windsor Department 公式WEB
http://windsordepartment.com




+飲食メモのアーカイブ。
会場向かいのカフェ[crirrcross OMOTESANDO]
スパイラルならびのカフェ[ A.R.I(エー・アール・アイ)]

料亭に宿る日本の美意識を体験する@赤坂 菊乃井

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料亭に宿る日本の美意識を体験する 赤坂 菊乃井」に参加。店側の解説付きで日本料理のフルコースを堪能する。
パリのギメ東洋美術館で2013年に開催された『L'art de Rosanjin「魯山人の美」』の流れをくむ特別ワークショップ プログラムで、6月26日まで日本橋室町界隈で開催中の「魯山人の食卓〜La Table de Rosanjin〜」の番外編的なイベントでもある。

12年前に《赤坂 菊乃井》がオープンする前は駐車場だったという旗竿敷地。何十年も前からこの地にあったかのような夕方の佇まい。アプローチの敷石は、手前・道路側の方が大きく、かつまた奥の方が道幅が細くなっていると後で教わる。
打ち水が済んで適度に湿った石畳を踏み進み、遠近法の視覚的効果で演出されたアプローチの突き当たりを右折すると店舗が現れる。
建物、敷石、植栽の竹も、材は全て京都から運び入れたというから驚きだ。敷石は1978年に廃線になった京都市電の路面で使われていたもの(有名な石塀小路もそうらしい / 参照元:Kyoto Townmap、竹は藪に自生している土を1m掘った赤土ごと。関東ローム層の黒土では京都の竹は育たないのだとか。この日は庭まで拝見できなかったが、大工も庭師も京都から呼び寄せている。店としてはあくまで"ごく当たり前"の体なるも、感嘆するより他ないこだわりが、この後、随所で見られる。きっと見逃したことも数多い。
ついつい建築意匠に目が奪われるが、菊乃井を名店たらしめているのは、客のもてなし方だろう。なにしろ店舗の数メートル手前で入り口の戸が静かに開き、迎え入れられた。
三和土の通路を奥へ、仲居さんの案内で2階の座敷にあがる。
施工は京都の中村外二工務店。
小上がりの仕上げはクリの木を手斧(ちょうな)で削った名栗仕上げ。座敷へと続く廊下から畳敷きとなる。もちろん京畳、襖や障子の桟の太さに至るまで全て京都の規格。聚楽土の左官仕上げの実例を初めて目にする。
上の画の左側、通常は短い廊下を挟んで左が「行」、右が「草」とそれぞれ別々の座敷を、今回のイベントでは襖を取り払い、ぶち抜きで広々と使用。
「草」の座敷。床柱がない。
料理が出される前に、床の間飾りなどの解説を、菊乃井三代目店主村田吉弘氏から受ける。掛物は富岡鉄斎(1836-1924)、床の間の右側に下げられているのは訶梨勒(かりろく)
朝鮮半島から伝来したと思われる訶梨勒(かりろく)つながりで、花器は高麗渡来、花台は江戸期に「まな板」として使われていたと推定される。板の両面に刃跡があるため。
茶事でこれが用意されていた場合には「けっこうなカリロクを掛けていただいて」などと亭主に申し添えるのがマナーらしい。
反対側の「行」の座敷の床の間。把手付きの花器は江戸初期の古伊賀。軸は向かいあわせる形で同じ鉄斎の画。
村井氏の解説が"立て板に水"で、このあたりの意匠はメモを取りきれず。
磨きと絞りの中間くらいの丸太の床柱、障子の腰板の竹細工、明かり欄間、床框や襖の引手などに見られる「行」の意匠は、この後に見学できた「真」の座敷とは明らかに差異があった。
襖の上張りは白の和紙の上から露芝文様を白で箔押し。触れると表面に凹凸がある。引手の材は柿の木。
対して、廊下および「真」の座敷の把手は金物。
「真」の空間は、襖の上張りが露芝から押し桐へと格式が上がる。
床柱も面取りされた角柱に。床框も丸くない。軸は曾我蕭白の布袋図。
水鏡のごときテーブル。参加者に説明中の村井店主が写り込んでいる。
国宝の茶室《如庵》の写しでもある一室。炉を切ろうとした際の役所との折衝(現代の消防法との折り合い)エピソードが面白かった。
これらのしつらえは全て、店主である村田吉弘氏によるもの。献立、料理を盛る器も同様に、トータルで客に供される。




黒漆の脚付き膳は、100年前ほど前に作られた脚付き膳と、その下にあつらえた台を据え、低い椅子と合わせて使えるように高さを調整している。間の空間も実用的。
食前酒の盃は飲み干すまでは付せられない形状。絵柄は時節の蛇の目傘。
膳の表の絵柄は蒔絵の研ぎ出しで、手びねりの湯呑みの下に菊の文様が入っている。かつて加賀にあった料亭が、明治天皇行幸の際に新調したもので、市場に出た20脚を菊乃井が入手、座敷の最大席数に合わせた数にしようとプラス5脚の新調を試みたが、現代では費用と技の両面から同等の再現が難しく、やむなく断念したという。
本日の献立は初夏のメニュー。 以下、料理の画は抜粋にて略(世の食べログなどに出ている写真の方が数倍美味しそうに撮れているので)
猪口。ガラスの器はイタリア・ムラーノ製。グリーンのスプーンはスガハラガラスの特注品。
一皿目から素晴らしく美味しゅうございました。
八寸は蛍籠で蓋をしての配膳。「店の路地に生えとった草」でも、有る無しでは大違いのビジュアル。
菊乃井では「向付」を2回に分けて出し、白身と赤身はひとつ皿に盛らない。 鯛は今朝、明石の海で漁れたもの。やや肉厚の1切れだが、1口サイズとして適量と考える15gは、奇しくもゴディバのチョコと同じだという。
今まで食べてきたのと全く"別物"の「鱧」。包丁細工と切り子細工のコラボ。
京都本店の井戸から汲み上げる水を含めて、食材はほぼ全てが西の産。陸路と空路で運び込むため、空港でトラブルがあると入荷に影響が及ぶ。
煮物の椀は金属製に見えるが、持ってびっくり、木の器である。
菊乃井では既製の食器を使わず、全て三代目店主の村田氏が意匠を考えてのオーダーメード。前述の蛍籠のように繊細な形状もあるため、器の収納だけで3階の2室が埋まっている状態(京都の本店に至っては5室が収納庫に)。こだわりの器は年々増える一方。
口直しに出た小さな蓋つき碗の場合、先に入手した銀の茶托の底の形にあわせて器を焼いた。
食材ひとつひとつ、さらには魚のさばき方、懐石で使われる利休箸の成り立ち、それらを包括する日本文化にまで、村田氏のレクチャーは末広がりに。ちなみに菊乃井の先祖は、太閤秀吉没後に大阪城を出た北政所に随行して京都高台寺に移った茶坊主で、明治維新で徳川家の庇護がなくなり、吉弘氏の祖父が料亭を始めた。屋号の由来は代々、守ってきた高台寺領内の井戸が"菊の花のように湧き出た"ことから(「世が世なら私らは茶坊主ですわ、などと随所で笑わせる店主は、本日中に京都に戻る所用があるため、コース半ばで退室。渉外料理長の林氏にバトンタッチ)
「鮎は内臓を食べる川魚です。焼いている間に下に降りて沸騰した脂が詰まった頭、内臓と身、干物のようになった尻尾、この3か所を一口ずつ3口で丸ごと食べてください」(店主の談)
コースも中盤、3種類めの日本酒が冷酒で追加される(この日は白鶴酒造の後援あり)
冷し鉢:焼いた万願寺唐辛子の上に針柚子。
中猪口に添えられた青々としたモミジにはしっとりと露が。
強肴:この日、2回めの明石の鯛は打ち出しの一人用鍋で。
菊乃井の器は全て特注品と述べたが、3店舗で使うため、一度にまとまったロッドで発注される。現代において、それが日本のものづくりを支えている一面がある。料亭とは、あらゆる意味で、日本の文化を守っている最後の牙城といえる。
鯛のシメ方ひとつ、厨房では全て口伝で受け継がれるしきたり。日本の和食は2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたが、その実態は、後継者不足に喘ぐ"絶滅危惧種"。いかに伝統の技をマニュアル化し、伝承していくかが切実かつ早急の課題。村田氏を中心とするNPO日本料理アカデミーでの試みなど、前向きな施策案の数々を聞きながら、今日の献立もいよいよ留椀に。
直前にメニュー変更となった炊き込み御飯。合わせる汁物として、菊乃井では味噌汁ではなく旬の野菜のすり流しを出す。新玉ねぎのすり流しが絶品! 漬け物一切れまで全てが美味なり。
漬け物の絵皿も骨董であろう。いつ、どこで、誰が作り、誰が使っていたのか。
「料亭である前に飯屋である」という店主のポリシーのもと、最後のデザートも含めて盛りが多いのが菊乃井の特徴(京都の料亭各店には、魚のさばき方ひとつにしてもそれぞれのやり方があり、盛り付けも、見る人が見れば「どこそこの店」と判るそうな)
いつの間にここに置かれたのかサッパリ気づかなかったつまようじ。仲居さん、おそるべし。
さりげなくも絶妙のタイミングで、お茶も何度か換えていただきました。

「料亭に宿る日本の美意識を体験する」という今回のお題。日本の美は食膳の上のみならず、料亭という空間の随所に凝縮されている。
例えば、座敷を出て、小上がりの向こうにあるお手洗いを使おうとした場合。廊下から小上がりに降りれば、柔らかい畳から表面に凹凸がある名栗の板の間に移動したと、足の裏が感じ取る。さらに引き戸を開けると板の間の小部屋があり、その奥に男女の手洗い所があるのだが、木によって差がある熱伝導性も考慮して材を選んで変えている。ほろ酔いの客に対して、足の裏から空間認知を促すという実にさりげない仕掛け。
店主村田氏の言では、冬場の京都の寺が寒いのは、板の間が木材でも熱伝統が高いけやきだから。修行する場には"緊張感"が必要に。
宴が終わり、男性客のために揃えられた革靴。左右の靴の間に若干の隙間が開けられている。履きやすさを考慮した意図的な配置と思われる。傍らには靴べらを手にした仲居さんが控えている。
1、2階の床の仕上げは小石まじりの三和土(たたき)。にじり口を設けた左官壁の向こうに、前述《如庵》の写しの部屋が位置する。さすがに客の出入りには使っていないそうだ。
若い板さんが扉を開けてくれる。名残り惜し哉。
打ち水で光る石畳のアプローチを左折すると、林氏を含む2名が待機しており、恐縮。客が店の外に出た後も、姿が見えなくなるまでお見送り。これが、ミシュラン2つ星★★たるゆえん。
"器は料理の着物"であるとし、日本料理の中に独特の美を凝縮して表現したとされる北大路魯山人。杉本博司氏の展覧会「趣味と芸術 味占郷」を千葉市美で見た際の感動を想起したが、連日連夜実践している店が存在するとは。アメージングな一夜であった。

魯山人の食卓〜La Table de Rosanjin〜
http://lart-de-rosanjin.org/

菊乃井
http://kikunoi.jp

Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton 空へ、海へ、彼方へ ── 旅するルイ・ヴィトン展

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本展は、ルイ・ヴィトンに始まる創業者一族の膨大なアーカイヴを、"旅"をテーマに一気にみせる。 地図上は麹町だが、1978年に日本初店舗をオープンさせた紀尾井町を会場に構え、入場無料、場内撮影可、特設サイトで無料アプリを提供してさらに詳しいリーフレットも配布、併設のカフェやショップも充実と、まっこと手厚い。

展示目録を重視する日本と異なり、欧州では会場全体でどのような世界観を提示するかに重きを措き、潤沢に予算を使うと、海外美術館での企画展キュレーション経験者から聞いたことがあるが、その談を裏付ける、仮設とは思えぬ本格的な造作による会場構成も大きな見所。
LVの肖像画と並ぶ第一の展示作品、ヴィトン家三代目ガストン・ルイ・ヴィトンが所有していた1906年製のトランク「マル」の円形展示台は驚きの本革張り。ゆっくりと回転して360度からみせる。
LVの初代ルイ(1821-1892)が荷造り用木箱の職人経験を活かしてトランク製造を始めたことが、現在の世界的ブランドに発展するまでの原点。トランク制作に欠かせない木材や道具類、当時の写真を収めた展示ケースやフォトフレームに至るまで、木の素材感で見事に統一された第2室。日本の美術館では常設でもついぞお目にかかったことのない洗練された会場構成に感嘆するばかり。
かつてのアトリエで使われていたという1924年の木製ケース。次の展示室で見られるトランクの原点を思わせる構造。
LVといえば、モノグラムで埋め尽くされた生地が代名詞だが、それはいかに違法コピーを防ぐかに腐心した1886年以降のこと。1854年の創業当初はグレーのグリ・トリアノン・キャンバスのトランクが主力製品。
モノグラム・キャンバスのリネン用特製デスク・トランク(1932)。
アメリカ人外交官の妻が発注した70点余のトランクのひとつだというから恐れ入る。
婦人の衣類、手袋、扇子、リボン、アクセサリー、靴まで複数収納でき、かつ書き物よう机を備えたこのようなトランクは、1910年代に企画・製作されたもの。
こちらは男性用。ショートブーツ、ステッキ、シルクハットを形を崩さず収納して持ち運べる。
1890年頃に作られた、ストライプ柄のレイエ・キャンバスのトランクの場合、展示ポイントは当時の錠前とバックルだが、製造年にぴったりとあわせて用意されたアクセサリー類も見逃せない。本展キュレーターを担当した、オリヴィエ・サイヤール氏が館長を務めるパリ市立ガリエラ宮美術館・モード&コスチューム博物館館長所蔵のコレクションがほとんど。
LVの商売は顧客との深い信頼関係にあることをうかがわせる錠前の展示。1890年に開発した5枚羽の錠前ひとつひとつのナンバーを控え、商品購入後に万が一、客が開けることができなくなった場合に備えた。
デスク・トランクの特注は現代も対応。こちらは2014年製。
これらのトランクを並べた展示台も作品のひとつ(ゆえに、台の上に手をついたり荷物を仮置きすると、会場スタッフからやんわりと教育的指導を受けるが、スタッフは頃合いを見ながら親切な解説もしてくれる)
第3室のテーマは「冒険」。当時の植民地主義を反映する展示でもある。アジア・アフリカの地を走破できる車両に積み、長期間の移動や雨への耐久性を考慮した金属製トランクが開発される。
灼熱の砂漠をイメージした展示の反対側には、海を渡る船の舳先を模した空間のしつらえ。
服飾文化史としては、20世紀初頭にランドリーとしてバックの中を仕切れるスティーマー・バックが登場。やがて訪れる豪華客船時代には、船の上で日光浴を楽しむサマードレスが流行。
自動車の旅にお伴したバック類の展示室。
インドのマハラジャのオーダーによる、グレイン・レザーのティー・ケース(1926)
トルコの王族が所有した、モノグラム・キャンバスのピクニック・トランク(1926)
LVのトランクは空の旅にもお伴する。
初代ルイの孫で双子のジャンとピエール・ヴィトンは航空開発にも関与。1910年にピエールが設計した単葉機の複製模型。
 
空の旅の展示室でやっと今回の"旅"の半分。
またガラリと雰囲気が変わり、列車の旅の展示室では、車窓にモノクロの景色が流れ、天井ではシーリングファンがゆっくりと回転。
右端:1885年頃の「ジュメル・バッグ」。
高級感あふれる展示ケース、そして閲覧用図録が用意されたキャビンコーナーの仕様。
座り心地を味わいたかったが、満席状態が続くため断念。
ウール・ダブサンス(余暇の時間)と名付けられた展示室には、収納品を限定したトランクがずらり。
壁面に埋め込まれた展示ケースには、マーク・ジェイコブスとコラボレーションしたモノグラム・グラフィティ キャンバスのバッグ「スピーディ」も。
"余暇の時間"の展示室の壁を埋め尽くすモノグラム。
美術商のためのモノグラム・キャンバスの絵画用トランク(1924)
三代目ガストン-ルイ・ヴィトンが収集した、コーラン用収納箱や金庫、漆塗りが施されたものなどさまざまな収納ボックスのコレクションを見上げながら、「セレブレティのためのトランク」の展示室へ。
下:パリ・現代装飾・工芸美術国際博覧会に出品された化粧道具ケース(1925)。
左:靴ばかり30足を収納できるトランク。
グレタ・ガルポ、キャサリン・ヘップバーン、ローレン・バコール、エリザベス・テイラーが所有したバックを並べた展示室、シャンデリアの見上げ。
顧客からのオーダーを記したカードを展示したパネル。財布ひとつ持っていなくとも、例え今なお80年代バブルのイメージを条件反射としてモノグラムに感じてしまっても、LVの世界観とブランド・ポリシーを具象化し、どっぷりと浸れる会場空間は秀逸。
1927年にリリースしたフレグランスのスケッチとボトル。
メンズコレクションの展示。郵便物用トランク、靴用トランクなど。現在のアーティスティック・デザイナーを務めるのはキム・ジョーンズ。第3室に今年の秋冬物の化粧箱が出ていた。
ファッションとクリエーションをテーマにした展示の一部。カメラがとらえているのは、2014年にウィメンズ・コレクションのアーティスティック・ディレクターに就任したニコラ・ジェスキエールがデザインした2014-15秋冬コレクションのドレス。
音楽家の"命"である楽器や指揮棒を守るトランクやケース。
ガス-ルイ・ヴィトンのコレクションのひとつに、日本刀の鍔があった。父のジョルジュも日本文化に関心があり、家紋などの「紋」が、複製を防ぐために生まれたモノグラム・パターンのデザインに影響を与えたという。そんな短い解説をモノローグに、日本とLVとの関わりを示す空間へと誘う。VVV展もいよいよ終盤。
茶道家元からのオーダーに応えた特注品と、右の赤いトランクは当代・11代目市川海老蔵のためにデザインした、鏡台付きトランク。
草間彌生、川久保玲とコラボレーションしたバッグは、枯山水の上に展示。
板垣退助が所有した、レニエ・キャンバスのスティーマー・トランクの展示台は畳敷き。縁のデザインはLVモノグラム。
最後にLVが見せるのはクラフトマンシップ。職人の手元の動きをバーチャルで追体験出来るテーブルも。
優先的に入場できる、公式サイトからのネット予約は早々に満杯。最終日前日は10時過ぎの段階で場内エントランス前に7列横隊ができ、10分弱の待ち時間で入場。
Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton 空へ、海へ、彼方へ ── 旅するルイ・ヴィトン展」は明日6月19日(日)まで。入場無料。

特設サイト
http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/heritage-savoir-faire/exhibitions




+飲食メモ。
VVV展は展示会場を出てすぐ目の前に併設のLV美術館カフェは、至極真っ当なメニューを揃え、鑑賞後の余韻も大事にしてくれる。入場待ちの長い列はこちらのカフェの外にあるので、視界に入らずゆったりできる。
りんごジュース(¥650)、おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

「土木展 DOBOKU Civil Engineering」@21_21 DESIGN SIGHT

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21_21 DESIGN SIGHTで24日から始まる企画展「土木展」のプレスカンファレンスへ。
英訳すると"Civil Engineering"ーー市民のための技術であるDOBOKUを老若男女・ファミリーで親しんでもらい、さらに深く考えるきっかけになれば、というのが主催者の訴求。

企画展にあわせたグッズや書籍を集めた1F / 21_21 DESIGN SIGHT SHOPでは、今回も楽しい関連商品を各種取り扱い(ショップは入場無料で利用できる)
前回の企画展「雑貨展」のオープンと期を同じくしてリニューアル。テーブルはスキーマ建築計画 / 長坂経氏のデザイン。
階段を降りて企画展会場へ。サンクンコートの壁に描かれているのは、重機(コマツのダンプトラックと思われる)はタイヤの大きさからして人の背丈くらいデカいと一目で判る「重機グラフィック」。
ロビー展示「都市の風景」。
作家のヤマガミユキヒロ氏によるキャンバスプロジェクション作品「六甲山からの眺望」。ギャラリー1の手前に「隅田川リバースケープ」も展示中。1Fショップでは「東京駅の眺望」や、東京ステーションギャラリーでの2012年企画展「始発電車を待ちながら」に出展された「Platform No1/No2」の絵葉書も販売(「熊本城」の絵葉書の売り上げはチャリティーとして寄付される予定)
展覧会ディレクターを務めるのは、東京大学名誉教授の内藤 廣氏の推薦を受けた西村 浩氏株式会社ワークヴィジョンズ代表取締役)。 ドローイング作品「東京駅駅解体」、「新宿駅解体」を前に、プレスカンファレンス冒頭に挨拶。
西村氏と内藤氏それぞれのコメントをまとめると以下の通り。
「この会場に来るために皆さんが使った電車や道路など、インフラを整備するのが土木の仕事。我々の日常生活を支え、暮らしの空間ほぼ全てが土木によるもの。現場にはものすごいものづくりのエネルギーがあり、最新技術が投入され、ナイーブかつダイナミック、社会を変えていくものである。そんなことをいちいち意識させないのが土木の良いところだが、ひとたび大きな災害が起これば悪い意味で注目されてしまう、誤解を受けやすいのが土木でもある。それに対して我々関係者は敗北感のようなものを味わってきたが、デザインとアートの力で乗り越えようというのが本展の狙い。これはほんの入り口にすぎず、本展を見れば、それまでの暮らしの見え方が変わってくるはず」。
TASS建築研究所の共同代表を務める建築家の田中智之氏は、東京の巨大ターミナルを俯瞰したドローイング作品を3点出展。上の画は「渋谷駅解体」。
ギャラリー1「DOBOLERO」。渋谷駅で進行中の再開発現場で集めた音で奏でる、モーリス・ラヴェルの楽曲「ボレロ」にあわせて、日本の高度経済成長を支えた工事現場などの映像で構成された、大迫力の土木オーケストラ。
ワークヴィジョンズによる「土木の道具」の展示。このうちひとつを青森で借用しようとした際のエピソードが面白い。借用先に「これは土木で使った道具ですか?」と確認したところ、先方に「道具に土木も何も区別があるものか。土木専用なんて道具は存在しない。道具は道具だ」と返されたとのこと。
解説パネルを掲示した足場に引っ掛けられたタオルは本展オリジナルグッズのひとつ。グラフィックを担当した柿木原政広氏株式会社10incによるデザイン。
ギャラリー2では、土木にまつわる行為:まもる、ほる、つむ、ためる、つく、つなぐ、ささえる、はかるなどをキーワードに、参加作家それぞれがドボクを表現。
壁面をスクリーンでループ上映の映像作品は、ビジュアルデザインスタジオWOWによる「まもる:キミのためにボクがいる」。画面を動き回るドボくんをナビゲーターに、山間部斜面で樹木を保全するノンフレーム工法、沿岸部における消波ブロックなど、知られざる3つの工法をわかりやすく解説。
康 夏奈(吉田夏奈)「ほる:地質山」は、作家いわく「一瞬で地層のありようがわかる」作品。
(株)設計領域による「人孔(ひとあな)」はマンホールをモチーフにした擬似体験展示。
マンホール孔から顔を出すと、こんな感じ。これほど至近にアスファルトを眺めることなど日常ではまずもってナイ。
作品には下水管の主の姿も。
(株)感電社が刊行する土木建築系総合カルチャーマガジン 『BLUE'S MAGAZINE(ブルーズマガジン)』に掲載された、写真家・菊池茂夫氏による「現場で働く人達」シリーズについて説明する社主の柳 知進氏(右)と、同社顧問で作家の石丸元章氏。柳氏は水道土木工事会社の経営者でもあり、パンクバンド活動も行なっている。音楽のライブに通じる現場の"LIVE"感を切り取った写真とのこと。
『BLUE'S MAGAZINE』バックナンバーはプレカン開催時にロビーにて特別配布された。
漫画家の横山裕一氏による「ニュー土木」(手前)と、土木を専門に取り続けている写真家の西山芳一氏による大判写真4点(奥の壁)。 「土木の美しさ、かっこよさ、スケール感が伝わる写真をセレクトした」。
西山氏が撮影した貴重な土木写真は、階上のショップにあるパネル「土木マップ」でも見ることができる。
403architecture [dajiba]は"つむ"をテーマに「ライト・アーチ・ボオリューム」を出展。ビニル素材の台形エアクッションを本展のために特注、橋の構造を体験して学ぶことができる。
桐山孝司(東京藝術大学大学院映像研究科教授)+栞原寿行(東京藝術大学COI特任助手)は、「土木で遊ぶ:ダイダラの砂箱」を2タイプ出展。共に砂を敷き詰めた"砂箱"で、来場者が砂に触れて自由に高低差を変えることができる。要は、児童公園のお砂場のようなもので、右奥の"砂箱"では等高線が、手前の"砂箱"では高いところが赤く、低いところが青く、リアルタイムで投影される。
後者の"砂箱"では、"上空"でかざした手が雨雲と認識され、下の窪地に雨水が溜まる。
日本左官会議(挟土秀平、小林隆男、小沼 充、川口正樹)による「つく:山」。
左官職人が手で突いた痕跡が残る版築工法を取り入れた土と石の作品。ピラミッド状の壁の表面は掻きおとし仕上げ。「大型重機が導入されるまで、土木は人の手が作り上げてきた、その歴史に想いを馳せてもらえれば」と関係者談。
渡邉竜一+ローラン・ネイ株式会社ネイ&パートナーズジャパンによる「ささえる:ストラクチャー」。板のままでは自重でたわむ、厚さ1ミリのステンレスによる橋の縮尺模型。
厚さ1ミリともなると、人力ではパンチングや溶接などの加工が不可能となり、それらをロボットが担当する。全長65メートルの橋の計画が実際にヨーロッパで進行中。
田村圭介+昭和女子大学環境デザイン学科 田村研究室が制作し、過去にも何度か渋谷マークシティ内のスペースなどで披露されている「渋谷駅(2013)構内模型」。
平面縮尺1/100、垂直方向は1/150で表現。地上5階+地下3階の空間に、JR、私鉄、地下鉄各線が乗り入れる巨大ターミナル駅の複雑な構造がわかりやすい模型。
DOBORELOの音楽に始まり、ファミリーで楽しめる体験型を含む展示の数々、ライゾマティクスリサーチによる「Perfume Music Player Installation」などを巡った後、最後に、主催者は、目をそらしてはいけない現実の問題をしっかりと提示する。「自分たちの未来、街をどう作るかを考えてほしい」と西村氏談。関東大震災後に架けられた永代橋設計図(上の画は、青図による「BLUE WALL」を構成したEAU代表取締役の崎谷浩一郎氏)と並んで、東日本大震災で被災した三陸地域を記録した、GSデザイン会議+岩本健太監督による66分の映像作品『GROUNDSCAPE』を上映。

土木展 DOBOKU Civil Engineering」は21_21 DESIGN SIGHTにて9月25日まで。

展覧会チーム(敬称略)
展覧会ディレクター:西村 浩
企画協力:内藤 廣
企画チーム:崎谷浩一郎、新堀大祐、中村勇吾、八馬 智、羽藤英二、本田利器
テキスト:青野尚子
会場構成協力:菅原大輔
照明デザイン:海藤春樹
展覧会グラフィック:柿木原政広
アドバイザー:中村英夫


21_21 DESIGN SIGHT
www.2121designsight.jp/




+飲食メモ(後日の追記)
「土木展」関連イベントとして、東京ミッドタウン内の飲食店2店舗で、会期中特別メニュー「ダムカレー」を提供している。会場の展示品(カレーを貯水湖、白飯を防波堤に見立てた数種類の「ダムカレー」の食品サンプル)と同じレイアウトのダムカレーを実際に、という趣向(参考LINK:日本ダムカレー協会
「銀座プラチナダムカレー」を提供するプラザ館1F(敷地の端の端)にある[GRILL&WINE BENIE'S TOKYO]はラストオーダー14時に3分間に合わず、炎天下をガレリアB1Fの[デリー]に引き返す。

「ダムチキン・ダムカレー」(ドリンク付き¥1,200 左の画の赤丸囲い)を食すつもりが、この日は気分で[ビーフカレー クラシック]をオーダー。かなりボリューミー。欧風とうたってはいるが、やはり独特のスパイシー感が舌に残る。
牛肉トロトロで、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

DEHLI(デリー)
www.delhi.co.jp/

「GTV Special Exhibition 2016」とサローネレポ@アルフレックス東京

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恵比寿のアルフレックス東京にて開催された、ミラノサローネ2016レポートを聴講(6月27日、28日のみ、要事前予約制、すでに各回満員御礼)
トーネットの曲げ木技術を受け継ぐGebrüder Thonet Vienna(ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ)の歴代アーカイブを紹介する「GTV Special Exhibition 2016」も開催中(6月23日-28日)

サローネレポでは、現地を視察したアルフレックス ジャパンの社員による、主要家具ブランドとディレクターの動向、総体分析、同社が扱うモルテーニ、リーヴァ、パオラ レンティなど各ブランドの新商品情報などを解説。6月1日から発売中のGTV社の新商品も披露された。
4〜5万年以上前の地層から出土した木材カウリを天板に用いたテーブル。亀裂や欠損部分(透明部分)に樹脂が流し込まれた、現代の古代のハイブリッド。
デンマーク人Stine Gam(スティーネ・ガム)とイタリア人Enrico Fratesi(エンリコ・フラテージ)の建築家二人によるユニット、GamFratesi(ガム・フラテージ)が今春のミラノで発表した「WALTZ」は、GTV社のお家芸である曲げ木技術を生かしたウォール・コートハンガー。前年発表の「TARGA」はGTV初のソファコレクション。リリース写真の印象よりも大きい。
「GTV Special Exhibition 2016」では、ミヒャエル・トーネット(1796-1871)が生み出した曲げ木の家具製造の原点および歴代作品をみることができる。今春のミラノで展示されたアーカイブからの抜粋。
Thonet No.1 Chair の製造は1848年。その頃の日本の社会情勢も短く解説に添えられている。1853年ペリー浦賀沖に来航、開国を迫る。
1880年頃製造の「スモーカーズ・チェア」は、ビリヤード・ルーム、バーで使用したと思われるデザイン。背もたれに向かってまたいで腰掛け、カップや煙草の灰を落とせるトレイが付いている。その奥の展示は、成型技術の高さを証明するもの。1890年~1930年代まで、家具のほかテニスラケットの製造も手がけていた。
No.14をベースにしたチェアは、1880-90年代に、日本人建築家Nagai Koseiがデザインしたもの。畳に適合させたソリのような左右両側の脚の下に付いている。その奥のチェアも、当時の日本人の体格にあわせたサイズに。このほか譜面台もあり。
手前:ヘルマン・チェック「CZECH(チェック)」1994、奥:ルチーディ・ペーヴェレ「BREZEL(ブレッツェル)」2014、さらに奥の見切れているのがナイジェル・コーツ「BODYSTUHL(ボディシュトゥール)」2015。
こちらはアルフレックス ジャパンの新製品。発売から30年を迎える「A・SOFA」のアニバーサリー企画第二弾。昨年のマレンコに続き、鈴木マサル氏とコラボしたスペシャルファブリックによる「SOU & HOTORI(販売期間:6月2日〜12月)。SOUは地層の積み重なり、HOTORIは湖畔や水辺の意。

アルフレックス東京を会場とした「GTV Special Exhibition 2016」は6月28日まで、11-19時。受付時に名刺要。

アルフレックス ジャパン
www.arflex.co.jp/




+飲食メモ。
ショップと恵比寿駅の中間にあるラーメン屋「AFURI(阿夫利)」にて夕食。
「醤油ラーメン」¥880の食券を買って、カウンターに着席すると、鶏油(ちーゆ)の量・あっさりor多めの二択を訊かれる。
極細の麺は全粒粉入り小麦麺。炙りチャーシュー、甘い半熟煮卵、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

AFURI(阿夫利)
http://afuri.com/

《銀座プレイス》外観あらわる

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銀座4丁目交差点、旧日産ギャラリーおよびサッポロ銀座ビル跡地で建設中の《銀座プレイス(GINZA PLACE)》。
「FRETWORK(透かし彫り)」をモチーフにしたと各媒体ニュースやビルの公式サイトでも発表されている外観デザインはKlein Dytham architecture(クライン ダイサム アーキテクツ)

三愛ビルがある北西側外観。
同・中央通り側からの見上げ。
コーナー見上げ。
銀座三越側・北東側見上げ。写真だとモアレ感が増して出るようだ。
晴海通りにまた新たな名物建築がお目見え。《銀座プレイス》のオープンは今年9月24日の予定。

「GINZA SONY PARK PROJECT」展 7月10日まで

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銀座5丁目・数寄屋橋交差点に建つ、1966年竣工の《ソニービル》。来年3月31日をもってその幕をおろすことが先ごろ発表された(同社6月13日発表ニュースリリース
竣工50周年と、SONYの70周年を記念したプロジェクト展「GINZA SONY PARK PROJECT」が、同ビル8階のスペース[OPUS]で7月10日まで開催されている。入場無料。

ニュースリリースに拠れば、ビル外観に下げたバナー広告でも宣言している通り、「2018年から2020年の間は、当該スペースを「銀座ソニーパーク」と称するフラットな空間として銀座の街に開放する予定」。
そのイメージ模型も会場に展示されているが、同ビルの成り立ちを示す資料の数々が貴重。芦原義信建築設計事務所の青図、模型などの資料をはじめ、同ビル竣工30周年を機にソニーが発行したパンフレットに寄せられた、芦原氏やソニー創業者の盛田昭夫氏のコメントも確認することができる。
計画当時、西銀座の一等地に家電メーカーの社屋ビルを建てることは、世を憚ることであったらしい。全館をショールームとすることが決まった後、盛田氏はF.ロイド・ライトの《グッゲンハイム美術館》のように来館者が回遊できる「縦の銀ブラ プロムナード」を望み、それを芦原氏が「花びら構造」に基づいた設計で具現化した。
各フロアには逆梁で90センチの段差が設けられ、全25層を緩やかに結ぶ。螺旋階段のようにして1階までぐるぐると降りていくことができる(現在は8-7、7-6階が鉄砲階段に改装されている)
2020年開催の東京オリンピックが終わるまで建てずに、空き地を広場と称する計画は賢明といえるのではなかろうか。
ソニービル》内のソニーショールームおよびソニーストア銀座は今年8月28日にクローズ。ソニーイメージングギャラリー 銀座も9月8日に営業を終了する。銀座4丁目交差点に現在建設中の《GINZA PLACE》の4〜6階に移転し、9月24日オープン予定。

ソニービル
www.sonybuilding.jp/





+飲食メモ。
数寄屋橋交差点の地下にある飲食店街[エチカフィット銀座]に、超濃厚の鶏白湯ラーメンの名店がある。 銀座4丁目の路地裏にある[篝(かがり)]は、開店以来ずっと、平日でも行列が絶えない超人気店だが、こちらの[篝 Echika fit 銀座店]は、さほど並ばずに入店できることが多い。
メニューは左の画の「鶏白湯SOBA」(¥950)、または「鶏白湯つけ麺」の2種のみ、麺の量は並か大が差額100円で選べる。具材の野菜はズッキーニ、ヤングコーン、トマト、ボイルのオニオンなど。
 
とっても美味しゅうございます。ごちそうさまでした。

Echika fit(エチカフィット)銀座
http://www.tokyometro.jp/echika/echikafit_ginza/

ミヤケマイ 祈りのかたち 展 @ 銀座 ギャラリー厨子屋

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銀座1丁目のギャラリー厨子屋にて、作家のミヤケマイさんの個展「ミヤケマイ 祈りのかたち 展」が1日から2週間の会期で始まった。

本展は、山田節子氏を監修者に迎えて、西麻布にあったギャラリー ル・ベインで2013年に開催された「内田繁 祈りのかたち展」を始まりとする。その際にも仏壇および厨子の制作を担当したのが、明治22年創業の仏壇・仏具・位牌製造販売会社のアルテマイスターこと(株)保志。現代における「祈りのかたち」とはどのようなものかを、第一線で活躍するデザイナーやアーティストらとともに追求する企画展示と販売は、今年3月「緒方慎一郎 祈りのかたち展」に次いでの開催。

発表された新作厨子「五分の魂」は、ミヤケマイ氏がデザインし、仏壇製造で培われた職人の技が活かされたもの(非売品の1点を除き、販売中)
把手付きの天板は取り外し可能。側面の板もスライドして取り外し、配置を替えることができる。
上の画は底がタイルではなく板のもの。材は黒檀または桐。
内部の仕様、花入や香炉などのしつらえも含めて、作家のコーディネートによる。膳引きの板の上に置かれたドクロもミヤケマイ作品。
「日本では虫の報せをよく言いますが、古代エジプトでは死者の守り神としてスカラベが使われ、日本人は、日本書紀の時代から魂と蝶や蛾、蜥蜴や蜘蛛を結びつけてきました。儚い人間の一生、胡蝶の夢を閉じ込める箱として、虫かごをモチーフとしています」(会場掲示文より)
作家が「もしも自分の魂が入るなら」と出展した、苔庭付き厨子は非売品(1本の丸太をくりぬいているので、仮にオーダーを受けても、いつ材に恵まれて製造できるかわからないとのこと)
ミニ軸などがおさめられた壁掛け厨子「景」「神」「客」(真ん中が観音開きの扉を閉じた状態、両脇の2点は扉をスッキリと両側面に収納した状態)
会場では、行燈や軸の展示および販売も。
今回出展された軸4点も新作。
軸「神はたくさんの名前を持つ」のモチーフは、神道、仏教、キリスト教、原始宗教から。
ミヤケさんの個展で軸を拝見するのは、昨年11月に森岡書店で開催された「梅より桜より椿」以来なのだが、見るたびに我が家を増改築して、ミヤケさんの軸を迎えるにふさわしい床の間をしつらえたいという衝動にかられる。
ミヤケマイ 祈りのかたち 展」は7月1日から14日まで。開廊は11:00〜19:00、火曜休。作家在廊日は会場の「ギャラリー厨子屋」スタッフブログでアナウンスあり。

ギャラリー厨子屋
www.zushiya.com/

ミヤケマイ公式サイト
www.maimiyake.com/




+飲食のメモ。
ギャラリー厨子屋を出てすぐ左手にある[銀座のジンジャー 銀座本店]でひと休み。1階が物販店で2階にカフェがある。
7月15日から2か月の間は作らなくなる「ジンジャーパンケーキ」が美味しいらしいが、この日は旬の「あかつき桃とピーチティ蜜」のかき氷(税込¥1,180)をオーダー。
コンフィチュールはかかった状態でなく、小瓶で供されるのでなんかゴージャス。氷もボリューミー。ストロー付きはナイスアイディーア。
さっぱりと甘く、桃ゴロゴロのコンフィチュールがおいしかった! ごちそうさまでした。

銀座のジンジャー
www.cep-shop.co.jp/

スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集@TOTOギャラリー・間

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乃木坂のTOTOギャラリー・間で8日からスタートする、チリの建築家による企画展「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」のプレスカンファレンスへ。

スミルハン・ラディック(Smiljan Radić)氏は1965年、チリ・サンティアゴ生まれ。2001年に同国建築家協会35歳以下の最優秀国内建築家賞を受賞、2014年には「サーベンタイン・ギャラリー・パヴィリオン 2014」の設計者に選ばれた建築家。

ラディック氏がこちらの会場で展覧会を行なうのは、TOTO ギャラリー・間が創設25周年を記念して開催した2010年の「GLOBAL ENDS towards the beginning」以来、二度目。
世界5大陸7カ国から選ばれた7組9名の建築家の一人として出展した前回は2点の模型を出展(下の画)。ワイングラスを縦に積み上げてタワーに見立てたスタディ模型「フラジャイル」は、《サンティアゴ・アンテナ・タワー》のデザインに反映されている。
《サンティアゴ・アンテナ・タワー》は4F会場で縮尺模型を見ることができる(下の画)
前述・ワイングラスによる「フラジャイル」は3Fに展示。
「ミーティング・ポイント」と「ランプの塔」(画面右奥および下の画)
会場で見られる立体作品の約半数は、建築や構造物というよりコンテンポラリーアートのようだが、ラディック氏がこの6年間に手掛けた作品および進行中のプロジェクトに関連している(もしくはいつの日にかかたちを変えて実現すると思われる)
下の画のオブジェ「卵に隠れた少年」(2011)は、妹島和世氏が総合ディレクターを務めた、2011年の第12回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展で発表されたインスタレーションで、巨石をくりぬいたような作品「The Boy Hidden in a Fish」の"タマゴ"のようなもの。本展は、ラディック氏が「確信の瞬間」と言い表したさまざまなインスピレーションを凝縮したもの。
本展タイトルの「BESTIARY:寓話集」とは、猛禽類の上半身と獅子の下半身をもつ「グリフォン」のような、空想上の怪物を集めて中世のヨーロッパで発行された『BESTIARY』になぞらえている。

「この『寓話集』は、私個人が収集した建築とアートを、再び構築して仕立てたものである」(『TOTO通信』2016年夏号65P スミルハン・ラディック氏の寄稿より、最後の一節を引用)
キューピー人形とチーズのおろし金(がね)によるある種の見立て、「マイ・ファースト・タワー」。
上の画・手前「ビオビオ市民劇場」模型。
スペイン語訛りの英語を瞬時に逐次通訳するのは、海外建築家による講演会やプレカン時に登板が多い横田さん。
長辺側の壁一面を使った「ルッソ・パーク・プロジェクト」(2014、サンティアゴ)の展示。中央の台に全体がわかる縮尺模型あり。
クラシカルなファサードを持つ建物の上に、表現芸術の原点といえる円形の天幕を据えた《NAVE ーーパフォーミング・アーツ・ホール》の模型(内部空間が確認できるようにファサード1面が着脱された状態)
前述の"確信の瞬間"を得たサーカスのテントのイメージが、中庭に展示された大判の写真。本展フライヤーのビジュアルでもある。
ラディック氏が"確信の瞬間"を書き留めた手帳。4F会場にたくさん吊り下げられ、ページを繰って閲覧可。
2010年「GLOBAL ENDS」にも出展された、ル・コツビュジエへのオマージュでもある「直角の詩に捧ぐ家」のスタディと、2014年の《サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン》のドローイング。
3F会場にもあった「ビオビオ市民劇場」模型の一部。
夏の日差しを遮るのはフェルト生地の赤いカーテン。作品名「家での死」は、高さ3メートルほどのチャペルの模型(上の画・右手前、下の画の右手前)
できるかどうかその時点ではわからずに手を動かして作ったというドーナッツ状のコンセプト模型「わがままな大男の城」は、後にイギリス・ロンドンで実現。
2014年《サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン》模型。壁に吊り下げられたのは、白い紙テープを幾重にも貼って立体化した、同作品のスタディ模型。
「シー・ハウス(SHE House)」は工業製品化されてグローバル展開する予定とのこと。
4F会場の奥のスクリーンでは、広島で撮影された「オレンジノイズ」と、「寓話集」とタイトルされた2作品をループ上映(上映時間は25分と23分|共に撮影不可)。

なお、前掲『TOTO通信』掲載の出展作家寄稿によれば、本展で見られる模型あるいはオブジェは、ラディック氏のほかに建築家アレハンドロ・リュエール氏が共同制作者としてクレジットされており、一部は2013年に母国チリで開催された「イラストレーションズ」に出展されたもの。


TOTOギャラリー・間「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」は9月10日まで。休館は月曜・祝日、夏期休暇8月6日(土)~8月15日(月)。開廊は11-18時、入場無料。

TOTOギャラリー・間
www.toto.co.jp/gallerma/




+飲食のメモ。
乃木坂駅から、乃木神社方面へ。鳥居を越した先にある乃木會館1Fの[メゾンブランシュ]は、メニューはさほど多くないが、ランチやカフェに気軽に使える(但し、ラストオーダーが17時と早く、土日祝と水曜休みなので注意)。初夏は屋根付きデッキのオープンテラス席も良い。

左の画はランチ終了後にオーダーした軽食メニューのホットサンドとアールグレーのアイスティー。
アングルに工夫のない平々凡々な撮れ具合ですが、おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

※[メゾンブランシュ]としての公式ページなし

チームラボによる大規模デジタルアート作品展「DMM.プラネッツ Art by teamLab」

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チームラボteamLabによる大規模デジタルアート作品展「DMM.プラネッツ Art by teamLab」を内覧会で見学。最新作の披露を含む。
16日から始まるフジテレビ主催イベント「お台場みんなの夢大陸」会場の1DAYパスポート要のエリアにて。場内は動画も含めて撮影可(フラッシュと三脚使用は不可)。SNS投稿も奨励。

過去最大規模となるクリスタル ユニバース「Wander through the Crystal Universe」。昨年8月に銀座のポーラ ミュージアム アネックスで披露された「teamLab Exhibition, Walk Through the Crystal Universe」の約6倍の規模(空間ボリューム公式発表は約20×20×4メートル)
光の正体はFull Color LEDチップ。
天井と床、壁もほとんどミラー仕様。展示空間の境目が曖昧となり、鑑賞する側の意識も浮遊する(後述する"前室"で味わう重力体験の効果が大きい)
POLAでの展示は「Crystal Universe」のハコを1周する動線だったが、今回は大きくなった作品内部に通路が入り組んでいて、上下左右を光の粒子に包まれての鑑賞。"宇宙"との一体感が味わえる。
今回の「Crystal Universe」も「鑑賞者は自身のスマートフォンを通じて、クリスタルユニバースを構成するエレメントを選び、出現させ、クリスタルユニバースを創っていく」というインタラクティブなデジタルインスタレーション(カッコ内はニュースリリースより引用)
さまざまな光と音に包まれた会場。明滅したり、大きな光の球体が流れてきたり。
次の展示室の手前に、やや広い空間が用意され、「Wander through the Crystal Universe」を俯瞰できる。
殆どの内覧会参加者の服装が短パンだったり足の脛が出ているのがわかるだろうか。この後に観る「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity」の展示室の床が膝丈ほどの水で満たされているためである。
DMM.プラネッツ Art by teamLab」は、手荷物を返金式100円ロッカーに預け、カメラやスマホだけを持って入場する。デジタルインスタレーション作品は3つ、そしてもうひとつ"アナログ"な作品も。前述の「Wander through the Crystal Universe」の展示室の前にある「やわらかいブラックホール - あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である(上の画)。床は柔らかく、中身の素材はビーズクッションだろうか。完全に足を取られるので這いつくばって前に進むしかない。
2つめのデジタルインスタレーション作品「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity」は、水の中に入り込んで鑑賞する作品。
おととし開催された「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」で最初に観た作品「花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に – Tokyo」に似た印象だが、今回の作品は水面に浮かび上がリ、デジタルの鯉が泳ぎ回る。
「鑑賞者のふるまいの影響を受けながら、変容し続ける」今回の作品「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity」。動かずにじっと立っていると足元にひまわりなどの花が咲き、やがて花びらを散らす。
先ほど「膝丈ほどの水」と述べたが、この作品を心底から楽しむなら、膝小僧が完全に露出した短パンで臨むべき。
こちらの展示室も四方は鏡張りなので、映像がどこまでも続いているかのよう。

プールの消毒槽を抜け、備え付けのタオルで濡れた足を拭いて、新作披露の最後の展示室へ。

Floating in the Falling Universe of Flowers」は、ドーム空間に四季折々の花が舞う。ミラー仕様の床に座ったり寝転んで、音楽に包まれてゆったりと鑑賞。
「1年間の花々が時間と共に刻々と変化しながら咲き渡る宇宙が、ドーム空間に無限に広がっているインスタレーション作品」(公式サイトより引用)

菜の花、ひまわり、コスモス、彼岸花、椿などなど。時おり舞う蝶は、誰かがスマホを使って"生み出した"もの。


ふだん、こんなに拡大された花を目にすることはないためか、なにやら小さな虫になって風の強い花園を飛び回っているような気分。
圧倒的な音と映像の世界。ふと、寝転んでいた床に目をやると、天井に投影された映像が鏡に写り込んでいるのだが、高さがある分、深さがある。極めて透明度の高い湖の底を覗き込んでいるような、それと同時に天地の身体感覚が変容した。見飽きない。
約3,000平方メートルもの面積を使って展開される「DMM.プラネッツ Art by teamLab」の会期はフジテレビ主催イベント「お台場みんなの夢大陸」と同じ、2016年7月16日(土)〜8月31日(水)の45日間。オープンは原則10:00〜18:00。鑑賞にはイベントの1DAYパスポート要。

「DMM.プラネッツ Art by teamLab」
http://exhibition.team-lab.net/dmmplanets2016/




飲食のメモ。
この日、お台場を含む首都圏は夕方から激しい雷雨に見舞われた。終了時間にはウソのように晴れたものの、いろいろあって冷えきった身体は汁モノを求め、ゆりかもめ新橋駅接続の地下街ウィング新橋にある「麺処直久 新橋店」へ直行、ラストオーダーに滑り込む。

らーめん(直久は平仮名表記)+餃子3個+杏仁豆腐が付く「直久セット」は¥830ナリ。
あったまりました。おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

直久(なおきゅう)
www.naokyu.com

エマニュエル・ムホーによるインスタレーション「今、ここにいるよ。/ I am here」@METoA Ginza

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今月9日から銀座5丁目の[METoA Ginza(メトア ギンザ)]で始まったイベント「銀座の中の宇宙」の出展作家のひとりとして、エマニュエル・ムホーさんemmanuelle moureaux architecture + designがインスタレーションを発表。

会場の[METoA Ginza]は三菱電機グループのイベントスクエア。三菱電機で未来に触れる:Mitsubishi Electric: Touch of Advancement が施設名の由来(同社3月4日発表ニュースリリース。今年3月31日にグランドオープンした《東急プラザ銀座》南端の1-3Fに位置する。
建物《東急プラザ銀座》の設計は日建設計が手がけたが、こちらの3フロアの空間デザインとプロデュースは、建築家の窪田茂氏窪田建築都市研究所がクレジットされている(地下2Fのショップ[SALON adam et ropé]と[SALON GINZA SABOU]も同社による)

2Fには64面液晶マルチディスプレイによる大型映像システム「METoA VISION」を常設、大迫力の音と映像を流す。今回の「銀座の中の宇宙展」では、デザインスタジオkaibutsu(カイブツ)の映像作品「PIECE OF UNIVERSE」をループ上映中。1Fでは松尾高弘作品「BLUE ORBITS」を展示中(下の画|参考LINK : LUCENT by Takahiro Matsuo
ムホー作品「今、ここにいるよ。/ I am here」は3F・METoA3に展示中。
サウンドクリエーターのYosi Horikawa氏による"いままでにない音響体験"を可能にしたエレベーターらしいので、エスカレーターではなく EVを使うのも一興。
「今、ここにいるよ。/ I am here」コンセプト(「銀座の中の宇宙」特設ページより全文を引用)
(註.三菱電機が設計・製造を手がける)「準天頂衛星」のセンチメータ級の測位精度をモチーフとしたインスタレーション
準天頂衛星は、宇宙約4万キロメートル(32,000〜40,000km)高度から自分のいる場所(x,y,z)を、センチメータ級の精度で測ることができます。この、準天頂衛星の精度を美しく可視化し、親しみと感動を届ける来場者参加型のインスタレーションです。銀座の雑踏をイメージした作品の中には、迷い込んでいる何かが存在しています。
館内で配布しているフリーペーパー「METoA Journal Vol.2」に、今回の出展作家各氏への短いインタビューが掲載されている。

「いちばんのこだわりは、宇宙がテーマなのに視点をあえて地球にしたこと。たくさんの色と人のシルエットを使って、美しく親しみやすい表現で精度の高い技術をカタチにしました」(ムホー氏のインタビュー談話より一部抜粋)
銀座の街を闊歩する女性をモチーフにした「100colors」シリーズの最新作。
腕に下げたバッグが切り貼りに見えるが、女性のシルエットは単色1枚。端で折り曲げていてバッグの形状にして、折った紙の間に線を通して天井から吊り下げている。
女性たちの影も美しい。
どこをきりとっても絵になる「今、ここにいるよ。/ I am here」だが、会場では写真を撮っている人は少ない。背伸びをし、腰を曲げ、中を覗き込んで、大人も子供も熱心に何かを探している。
この作品の中に、風船または傘を手にした女の子がそれぞれひとりずつと、猫が一匹紛れ込んでいる。
これがなかなか探し出せない。
下の画はようやく発見された"迷子"の女の子の一人(モノクロ処理)
銀座の中の宇宙」会期終了は9月下旬の予定。開館は11-21時、入場無料。

METoA Ginza(メトア ギンザ)
www.metoa.jp/




飲食のメモ。
1Fにある[Me's CAFE & KITCHEN(ミーズ カフェアンド キッチン)]では、階上のイベントと連動した特別メニューも提供中。ギャラクシーなスイーツ+ラテアートのドリンクが「残りあと1食」とススメられたが、入店と同時に目に飛び込んできたパンケーキを迷わずオーダー。
左の画「ミックスベリーのパンケーキ」のほか、シトラス、チョコベースのパンケーキもあり(¥1,100+セットドリンク=1,400+消費税)

オーガニックなコンセプトの店だと、ナイフを入れて初めて気づく。中身ははんぺんもとい、卵白がベースの"しゅわわわわ"な感じの生地。
ベリーのアイスを除いてさほど甘くなく、これならベーコンと合わせたり食事パンケーキのメニューがあっても良いのでは。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

Me's CAFE & KITCHEN(ミーズ カフェアンド キッチン)
www.mescafeandkitchen.com/

オカムラデザインスペースR 第14回企画展「木のパーティション」

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紀尾井町のオカムラデザインスペースRにて、この時期恒例の企画展が20日から始まる。14回めとなる今回は、企画建築家に西沢立衛氏SANAA西沢立衛建築設計事務所、協働者として構造エンジニアの金田充弘氏オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズを迎えての「木のパーティション」。
建築家と建築以外の領域の表現者との協働によって初めて可能となる、新しい空間・風景づくりを毎回目指す企画展。 19日の夜にレセプションが開催された(下の画:左端から、金田氏、西沢氏、企画実行委員会委員長の川向正人氏)

「木のパーティション」を構成している材は、突き板などに使われるスライス状のヒノキの無垢材で、厚さ2mmという薄さ。ハサミで容易にカットできる。
左の画は展示サンプル用に丈が短い現物。会場にはロール状態で納品され、紙のように平たい。スライスされる前の丸太は防虫処理などで塩水に浸かって保管されるため、納品時もまだ湿っていた。搬入から設営まで約3週間の間に乾燥し、表面に微妙な凸凹が出てくる。今回の「木のパーテーション」は、この三次元曲面の形状や、木目の美しさを生かしたもの。

会場入り口側からの眺め。ふしが多い部分を選んでこちらに向けている。
画面中央にアタマが覗いている白い柱のあたりが、従来では展示空間と通路とのおおよその境目。元の図面はあるものの、木の状態を探りながらの設営するうち、当初の予定よりボリュームが大きくなり"越境"したとのこと。却って迫力が増したような。
1本の丸太から約30mの長さでスライスできるが、人力で作業することを考慮し、10m単位にカットして会場に搬入。端など一部で欠損していたり、乾燥による亀裂で割れることもあり、乾いた表面を再度湿らせるなどいろいろと試しながらの設営に。
設営時は治具も使ったが、今は完全に支えなしで自立。
「木のパーティション」で囲われた打ち合わせスペース。テーブルと椅子は岡村製作所製品。
パーティションの表面には、加工時のおがくずが生々しく付着(場内2か所で稼働する大型加湿器が、作品の乾燥および粉塵化することを防いでいる)。場内はヒノキの香がかなり強い。搬入時はもっと強かったとのこと。
「木のパーティション」の内側は外周部に沿って通路が設けられ、通行ができる。
高さは1.8m、視覚としては外界から遮断される。「人間の背丈くらいの高さでやりたかった」と西沢氏。金田氏は「昔は構造計算なしでもモノは建っていた。来場者に『どの辺が金田さんの仕事ですか?』と訊かれるが、参加してますよ(笑)。僕からすれば完全にエンジニアリングな作品」との談。
エントランスと反対の側。こちらはふしがない面を選んで立て込んだ。
外周部の外側には、西沢事務所が用意したスチールの椅子が三脚置かれている。休憩用ではなく、パーテーションの中を覗き込むためのもの。
場内最深部から、ガーデンコートエスカレーター側の眺め。
「木のパーティション」の中心部、密集地帯の眺め。
パーテーションを全てつなぎ合わせた場合、全長は約250mにおよぶ。
オカムラデザインスペースR 第14回企画展 「木のパーティション」は8月5日(金)まで。オープンはショールーム開館時間に準じ、平日は10:00~18:00、土曜10:00-17:00、日曜休館(7月24日、31日)。入場無料。

オカムラ ガーデンコートショールーム
www.okamura.co.jp/company/showroom/




飲食のメモ その1。
19日の夜のレセプションでは、西沢氏が事務所へのケータリングサービスなどで日頃からお世話になっているという森村芳枝氏(タイ料理研究家、サロン ヨシエズキュイジーヌ主宰)が特別メニューを用意、卓上を美しく彩った。
森村氏は一般社団法人日本豆腐マイスター協会の理事(料理担当)も務め、エスニックのほかに豆腐料理も(上の画の右上:江戸時代のベストセラー『豆腐百珍』から再現したという「玲瓏豆腐」の作り方はびっくりするほど簡単)。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。



飲食のメモ その2。
同じガーデンコートにある[KATO'S DINING & BAR] にて高級かき氷を食す。9月30日までの期間限定メニュー(L.O.16:30)
ホテルニューオータニのグランシェフが手がける「サツキ江戸かき氷」は、氷とシロップも厳選の天然素材。
いちご、メロン、抹茶、和三盆など5種類すべての頂にマカロンが鎮座する。 
左の画は「マンゴー」(¥1,800+サービス・税)。葛入り濃厚マンゴーピューレ、蒟蒻粉を使ったマンゴーゼリーに甘酸っぱい果実も皿の底にたっぷり。
サービスの緑茶も美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

KATO'S DINING & BAR
www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/kato/

CASE GALLERY 移転オープンのこけらおとし展「木工房ようびと14人のテキスタイルデザイナー」展

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代々木上原・井の頭通り沿いにあったCASE GALLERY(ケースギャラリー)が、代々木八幡・旧山手通り沿いに移転、23日からこけら落としとなる展覧会「木工房ようびと14人のテキスタイルデザイナー」が始まった。

2棟のマンションに挟まれた、約7坪という狭小地に建てられた、床面積は約5坪のギャラリー。敷地も屋根も三角形のこの小さなギャラリーが建つ以前は、夏場は背丈ほどの雑草がぼうぼうの土地だったという(上の画・向かって左手が小田急線代々木八幡駅まで徒歩7分ほどの南側、向かって右が京王新線初台方面の北側)
竣工は今年5月末頃。設計者は新関謙一郎氏NIIZEKI STUDIO。6月に開催された内覧会時の様子、設計者については、[japan-architects.com]ブログのレポート元代々木プロジェクトが詳しい。
床および天井の三角形は正二等辺ではなく、構造と内装を兼ねるツーバイ用木材を中央の頂点に向けて立て込んでいく際、職人さんが難儀したとのこと。
三角形の北側隅からの天井見上げ。右側の辺に打ち込まれている"くさび"は本展の作品(後述)を展示するためのもの。
2辺の頂点には天井まで採光用のスリットが開けられている。天井と壁に照明器具はない。上の画に見えるグレーの箱(トイレレーム)の天井部分に、空調と照明がわからないように収納されている。
スリットがもしもクロス状なら、教会のような雰囲気。小さな"荒地"に出現したこの三角形の建物に、地元の人々も建設中から興味津々で、見学時にも「ここは何をやっているところなのか」と通りすがりに何度も声をかけられた。
北側隅からの眺め。
約9mもの長いスパンを支える細い鉄骨の角柱。雨が降った時、三角屋根をつたって道路側に落ちる雨水は均等に、滝のようにならないよう、水平のラインを美しく保つことが求められた。
道路からは一段上がっており、往来との距離は近いが、互いの視線が交わることがない。表面の板が竣工から約2か月を経て退色し、内部の床とひと続きのグレーになった。この横長のスペースは、昼夜を問わず"都市の縁側"のような様相を見せている。
左右の壁、真ん中がややくびれた木の把手がついた扉と合わせて3枚の一枚ガラス。それなりに重量があるが、ガラス戸は女性でもスムーズにスライドできる。
"負けるな、ようび、愛してる"とサブタイトルがついた本展。出展者の一人である木工房ようびは、岡山県西粟倉村で「用」と「美」を兼ね備えた家具づくりを行なっている職人たちが運営しているのだが、今年1月に工房を始めとする活動拠点を火事で焼失。facebookなどでそれを知った、木工房ようびの活動に共感し、作品を愛する全国の人々の力添えもあり、早期に活動を再開することができたという。
本展は、CASE GALLERY ゆかりの作家やテキスタイルデザイナーとのコラボレーション。木工房ようびが3年ほど前から販売している「ホタルスツール」の座面をキャンバスとした作品14点が、左右の壁に華やかに並ぶ。

参画した14人(五十音順):
赤羽美和、植田志保、kata kata、gabriyolly、シミズダニヤスノブ(JUBILEE)、島塚絵里、鈴木マサル、炭酸デザイン室、点と線模様製作所、氷室友里、Masashi KONDO、YUMI YOSHIMOTO、YOKANG、ようびオリジナル[デザイン協力 西川圭]

森の"きのこ"のようにも見えるこの「ホタルスツール」は、香がやや強くて継手仕口などの加工も難しいため家具には不向きとされてきたヒノキを用材とする。危機的状況にある日本の林業、そのひとつでもある西粟倉村産の間伐材を有効に使うことで、人が手を入れ続けて守るべき森林の生態系を整備し、緑と水が揃って豊かな地を好むヒメホタルの繁殖につながるようにという願いを込めてのネーミング。
円形の座面は脱着可能。腰を下ろせば背筋がピンと伸びる椅子、またある時はサイドテーブルとしても使える。日本の和の空間や、人々の暮らしにそっと寄り添い、ポッと灯してくれるような家具にという、木工房ようびとしての願いもまた込められている。
素材も柄もコンセプトも"14人14色"の座面は、壁に釘を1本も打ち付けることなく、2×4材によるストライプの美しさを損なうこともなく、後付けの展示台に据え置かれている
ホタルスツールの座面がちょうど立てかけられる台を付けたパイン材が、壁の段々に違和感なく収まっている。丈は取り付ける位置の床から天井までの高さぴったりにカット。天井と壁との接点に、前述・パイン材の"くさび"を打ち込み、固定している。
この見事な会場構成は、本展出展者の一人である鈴木マサル氏が自身初となる"傘展"を、当時は代々木上原にあったCASE GALLERYで開催した際に会場構成を手がけた、小林 恭とマナの両氏が代表を務める設計事務所imaによるもの。
参考:設計事務所imaがyoutubeに掲出した2012年「鈴木マサル傘展 持ち歩くテキスタイル」会場の動画
設営時の様子や、14名の出展作家については、CASE GALLERYの公式facebookが詳しい。
この時期は両隣に立つ2棟のビルの間に陽が沈む。照明が灯された後のCASE GALLERYは、内外観ともにガラリと雰囲気が変わる。 
「木工房ようびと14人のテキスタイルデザイナー」展 負けるな、ようび、愛してる の会期は8月9日(火)まで。開廊は12:00〜20:00、会期中無休。

CASE GALLERY(ケースギャラリー)
www.casedepon.com/

木工房ようび
http://youbi.me/




+飲食のメモ。
代々木八前駅から旧山手通りを北上してCASE GALLERYを目指す途中、複雑な起伏を持つこの土地ならではの歩行路の脇に設置された黄色い看板が目に入る。左の画・ビルの1階にある焼き菓子専門店に入るには、ビルのエレベーターを拝借して降りるべし。
こちらはテイクアウト専門店。この日は夜も予定があったのでキッシュ類とショコラのタルトは諦め、予約しておいたベイク類ほか(下の画)を引き取りに戻った17時頃の店内が上の画。やや品薄の状態(8月3日から営業日は水・木・金・土曜日、開店時間12:00〜19:00)
プレーンのスコーン、バニラのパウンドケーキ、パインナップルとココナッツのケーキ、バターサブレ、どれも美味週ございました。ごちそうさまでした。

temps des coloris(タンデコロリ)
http://temps-des-coloris.com/

HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION@青海特設会場

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30日から始まる「HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION」 内覧会へ。2013年以来、東京では3年振り2回目の開催。
 

会場は東京臨海エリア。ゆりかもめ青海駅から徒歩3分ほど(下の画は新橋方面から進行して入線直前の車内からの俯瞰。右奥に見切れているのは《東京テレコムセンター》)
展覧会ディレクターを原研哉氏が務め、原寸大に具現化された展示ハウスでそれぞれの近未来を提示する「HOUSE VISION」。全体の会場構成は今回も隈 研吾氏が担当。12の展示ハウスが場内に分散し、渡されたウッドデッキを渡って進む。
来場者を迎えるシンボル・ツリーは、住友林業緑化とプラントハンターの西畠清順氏そら植物園が1か月前に船便で日本に持ち込んだもの。推定樹齢1000年というオリーブの大樹の、左右に手を広げたような立ち姿から、人と植物が築いてきた長い関係性や、"何かが芽生えるように"して本展からさまざまな気づきを得て欲しいというメッセージが込められている。
「新しい常識で家をつくろう」をテーマに開催された2013年は7つだった展示ハウス。今年は12に増。「CO-DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる」を共通テーマに掲げる各展示ハウスの解説は場内配布物に記載あり。あるいは原氏自らがテキストを読み上げる音声ガイダンスでも聴ける(アプリはHOUSE VISION 公式サイト経由で無料ダウンロードできる)
以下、ナンバリングは配布物に準じる(*印は前回も出展した企業あるいは建築家)
1.[冷蔵庫が外から開く家] ヤマトホールディングス × 柴田文江
2015年のHOUSE VISION シンポジウムに登壇した鈴木健氏の発言に着想を得た提案。家の内と外・両側から、クリーニングの衣類や冷蔵冷凍品、また高齢者向けに薬の配達も視野に入れている。
住まい手不在でも「もう一つのドア」が大事な荷物を管理してくれる住まい。
2.[吉野杉の家] Airbnb × 長谷川 豪
先に奈良県吉野町で作られてから、分解して5台のトラックで会場搬入、再び建てられた家。会期終了後は吉野川のほとりに移設され、Airbnb(エアビーアンドビー)登録の宿泊施設として利用されることが決まっている。"コミュニティがホストとなることで地域との新しい関係を目指す家"。
1階は地域の人にも開放されるコミュニティの場(移設後はカフェ利用も計画中)。食器類も含めて全て奈良・吉野の杉と檜。
濃密な木の香りに包まれながら、昨夏に見学した展覧会「木を知り、木を使い、木を活かす Vol.2」を思い出す。
床に接していない階段。2階がゲストルーム。
移設後は長辺を東西に向けて建てる予定。夕日が沈む西側が小さなちゃぶ台が置かれたくつろぎの間、陽が昇る東の間に布団を敷いて就寝する。
長谷川氏はこの展示ハウスのほか、場内休憩スペースも手掛けている。
[冷涼珈琲店ー煎] AGF × 長谷川 豪
先端を尖らせた吉野檜の柱に、麻の布屋根をかけた休憩所。海風で麻布が煽られる。
内覧会時はアイスコーヒーと甘味が振舞われ、来場者に何よりの涼をもたらした(会期中は有料:「AGF 冷涼珈琲〈煎〉¥300、榮太棲葛小氷あずき寄せ¥300ほか)。美味しゅうございました。ごちそうさまでした。
麻の暖簾越しに、展示ハウス3.[の家]の眺め。協働者はPanasonic × 永山祐子氏。
上から見ると「の」の字をした壁を持つ展示ハウスの外周部に沿って、デッキの上に描かれた白い猫の足跡を辿るように1周してから中に入る動線。白い壁に記されたサインにタブレットを向けると、画面に「IoT : Internet of Things」のガイダンス映像が流れる。
[の家]の内部。曲面の壁が全てインターネットに接続するスクリーン。通話や通販、健康管理、映画も楽しめる。P社が自社展示会でも数年前から提示している近未来。
外気温などから室内環境にフィードバックしてくれる"風見猫"をいただくテント幕屋根の下、中央に水まわりと就寝空間を配置。軽量化と単純な構成により、どこにでも建てられるというコンセプト。
5.[遊動の家] 三越伊勢丹 × 谷尻 誠・吉田 愛
土間の1室空間にキッチン・ダイニング、寝室、水まわり、茶室を緩やかに仕切る。定住ではなく遊動するニュー・ノマドを住まい手として設定。高い購買力を前提とするインテリア。
黒皮鉄、杉古材、モルタルで構成した「背景」に、百貨店バイヤーが世界中から取り揃えてくるこだわりの品々が点景に。
6.[賃貸空間タワー] 大東建託 × 藤本壮介*
最小化した個人の空間と、最大化した共有空間の、立体的パッチワーク。
個人の本棚を集約し、趣味を共有するライブラリー。
共有化することで広く贅沢な空間も夢ではないバスルーム。
さまざまな世代が"1つ屋根の下"に住めば、時間に余裕のある高齢者層が畑や植栽いじりを楽しみながら管理してくれるのではという想定。
ホームシアターやカラオケルームもある。
”心ときめく複合空間”になる[賃貸空間タワー]の廊下から、HOUSE VISION場内の眺め。中央に見えるのが[冷涼珈琲店ー煎]。
7.[凝縮と開放の家] LIXIL* × 坂 茂*
軽くて丈夫なPHPパネル構造+ジッパーで脱着できるテント屋根=災害時にも仮設できる住まい。
1枚300kgもあるガラス窓の可動デモ中。向かって右側は90度回転させてから家の側面に収納。向かって左側は跳ね上げ式。遮光性ガラスで快適な軒下空間も演出。
2枚の大ガラスの間に柱はない。この大開口を、紙のハニカムボードを合板で挟んだPHPパネルで作られた"家型"のフレーム構造が支えている。
水まわりは家の中心に据えたボックス空間に集約(ライフコア)。床下ではなく、上の画・左に写っている頭上に配管そのほかの設備インフィルを通すことで、制約のない自由な間取りが可能に。
8.[市松の水辺] 住友林業* × 西畠清順 × 隈 研吾*
下足棚に靴を預け、冷たい水に足を入れて涼む足湯ならぬ"足水"の水辺。
 木目が美しい檜の集成材の底に、西畠氏が植えた枝垂れ楓の影が落ちる。
9.[木目の家] 凸版印刷 × 日本デザインセンター 原デザイン研究所
吉野檜の木片を超高解像度スキャンで20倍に拡大、出力して化粧した壁面に代表される、凸版印刷のプリント化粧版や液晶調光フィルムなどのシート素材をPRする展示。
1.[木目の家]内部 天井の隅の見上げ。当初は屋上に上がれるプランだったとのこと。
10.[内と外の間/家具と部屋の間] TOTO・YKK AP*× 五十嵐 淳・藤森泰司
単なる壁の開口部としての窓、窓→外部にそのまま直結する開口部ではなく、奥行きを持った新しい空間、豊かさを持った開口部を提案。
眠る、くつろぐ、食べる、思考する(一人で籠るトイレ)、入浴する、5つの空間への"入り口"を前に、藤森氏が作品解説。5つの「窓」と来場者はいきなり出会わずに、安東陽子氏がしつらえた白いカーテンの向こうに現れる。
眠る、の空間。この左側にある"セカンドリビング"同様、家具で空間がしつらえられている。
上の画・手前と下の画:食べる、の空間。
4枚前に掲出した画が「食べる、の空間」の外観。
入浴する、の空間と、展示ハウスの模型。内と外とが曖昧な、古来からある日本の縁側空間を、窓を切り口として現代的に解釈した住まい。
11.[グランド・サード・リビング] TOYOTA × 隈 研吾
向かって右:炭素繊維の骨に伸縮性のあるストレッチ繊維の「膜」をかけたテント。TOYOTAのプリウスPHVを電源供給元とすれば、エネルギーインフラがない土地にも引っ越せる、というコンセプト。
4.[棚田オフィス] 無印良品* × アトリエ・ワン
[棚田オフィス]も[吉野杉の家]同様、会期終了後は鴨川市釜沼集落に移築され、米作りのイベントを現地で行っている良品計画のサテライトオフィスとなる。
12.[電波の屋根を持つ家] カルチャア・コンビニエンス・クラブ(CCC)*× 日本デザインセンター原デザイン研究所*×中島信也の展示ハウスは、CCCが展開するスマートフォンサービス「TONE」による近未来を提示。VRゴーグルをかけて視聴する"180°コント"は、俳優の八嶋智人氏が一人4役で出演。 
今年も[蔦屋書店]が出店。会期中、連日開催されるトークイベントの会場はこちら。
メインテントや観覧ブリッジで使われている約1,500本の材木は、本展協賛の奈良県の吉野杉。会期終了後の再利用を見込み、断面10.5cm四方の角材をできるだけ加工せずに用いている。今年は"移動"や"ノマドといった、定住を前提としない提案が目立つ。
場内の家具提供はカッシーナ・イクスシー。
今年の場内では、水とお茶を廉価で、キッチンカーでは奈良の特産品やビールなども販売。上の画・奥では麦わら帽の販売とレンタルも。
代官山蔦屋書店2Fのラウンジが特別出店。サンドイッチ、ドリンク、かき氷を販売。いちごとマンゴー各¥600、練乳は¥50プラス。
「HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION」は2016年7月30日から8月28日まで。開場は11-20時(ライトアップあり)。入場は有料、連日開催のトークイベントは、当日の入場料で聴講できる。スケジュールなど詳細は公式サイトで順次公開。

HOUSE VISION 公式サイト
http://house-vision.jp




+飲食のメモ。
新橋駅前ビル1号館にて、内覧会見学前の腹ごしらえ。 ランチ時はどの店も行列ができている。2階の[七蔵]も13時近くなっても同様に激混みだが、店内は席数が多く、相席アリで回転が速い。長蛇の列に怯むことなかれ。
刻んだミョウガが入ったつけ汁はヨソにはない風味。ランチは小丼がつくセットメニューもあり、種類豊富かつ超ボリューミー。
左の画はマグロと煮タコの小丼と稲庭うどん(小)のセットで¥1,100ナリ。ニンニクの効いた白菜漬けがまた絶品。

七蔵(ななくら)
www.nanakura.co.jp/

アートフェス「TOKYO ART FLOW 00」@二子玉川

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二子玉川で3日間の会期で昨日より始まったアートフェスティバル「TOKYO ART FLOW 00」を夕方から観に行く。
テーマは「Human’s Nature – 人間の自然」。タイトル末尾の「00」とは今年がスタートの意で、来年の「01」では国際コンペが実施される見込み。

主催:TOKYO ART FLOW 00 実行委員会(CCC /カルチュア・コンビニエンス・クラブ、多摩美術大学、東京急行電鉄ほか) 実行委員長:建畠晢氏
アートプロデュース:スパイラル / 株式会社ワコールアートセンター
参加作家:SUPPOSE DESIGN OFFICE、髙橋匡太、谷川俊太郎、ラング&バウマンほか


会場は東急線二子玉川駅を中心とする街中。多摩川河川敷の兵庫島公園もそのひとつ。
上の画は、日没後の点灯を待つ、高橋匡太作品「ひかりの実」。奥の緑の河川敷に、SUPPOSE DESIGN OFFICE(谷尻誠+吉田愛)作品「Air Stone」が見える。
"川辺の石ころのように、時をかけて角がなくなり佇まう自然に寄り添う形を模した、大きな透明のドーム型インスタレーション"(公式サイトより)
透明膜のドーム内にはエアが送り込まれて膨み、1か所開いた出入り口から内部に入ることができる。
内部には石ころのようなグレーのクッションが用意されている。
日没後に再度行ってみたが、予定されていた終夜展示は観られず、残念。
兵庫島会場は他にも展示作品あり。複数のキッチンカーによるバーキッチンも23時まで営業。キャンプファイヤートークには山中俊治氏も出席。
国道246号の橋脚を利用した、ラング&バウマンによるパブリックインスタレーション作品「Beautiful Bridge #2」。
夜間はライトアップ。この発色は塗装ではなく、装飾用シートによるもの。
橋脚の反対側は映像作品のスクリーンとなっている。
上の画の右奥、YANAGIYAの壁に投影された作品:髙橋匡太+oblaat(山田 亮太、河野 聡子、石原 ユキオ、髙塚 謙太郎、中家 菜津子)による夜景プロジェクト−マゼンタナイト−「おそいおそいおそい詩」のマゼンダに染まった壁に浮かぶ「に」の白い文字が見える。
中川ケミカルの蓄光シートにペンライトで絵を描く「光のらくがき」。
別の角度からの「おそいおそいおそい詩」の遠景。
あちこちの街かどがマゼンダに染まっている。
駅前に設置された鐘を鳴らすと、玉川高島屋S・Cの壁もそれまでの白色からマゼンダに。
髙橋匡太作品:夜景プロジェクト−マゼンタナイト−「この鐘を鳴らすのはあなた」。
協賛会社のひとつ、カラーキネティクスジャパンのLED照明があちこちで展開中。
二子玉川ライズ館内トイレに置かれたロールペーパーも、「トイレの紙専門店」×多摩美術大学のコラボによる出展作品。
駅構内のモニターに流れるメインビジュアル、ロゴ、オフィシャルグッズなど各種デザインは、デザインオフィスWALTZ.が担当。
「TOKYO ART FLOW 00」会期は2016年7月29日(金)〜31日(日)。最新情報は逐次更新の公式facebookが詳しい。




+飲食のメモ。
二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット2Fにある「100本のスプーン」にて夕食。
ちょっとずついろんなものが食べたい人向けの「夏のリトルビッグプレート(6種類のスモールサイズ)」とジンジャーエールの画。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

100本のスプーン
http://100spoons.com/

「明治有田 超絶の美 万国博覧会の時代」@泉屋博古館 分館

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有田焼創業400年記念事業「明治有田 超絶の美 万国博覧会の時代」が東京に巡回、六本木1丁目にある泉屋博古館分館で24日から開催される。
同館は旧住友麻布別邸跡地にオープンした「泉ガーデン」内に2002年に開館。江戸期の住友家の屋号と、約一千年前に中国で編まれた青銅器図録に由来する施設名称は「せんおくはくこかん」と読む。
本展は、当時の国策を背景に、海外にあまた出展ならびに輸出された、明治期の伝統工芸品のうち、有田の磁器にフォーカスしたもの。
展示室内は通常は撮影禁止。開催前の内覧会参加者に限り、特別に撮影とSNS掲載が美術館に許可された。以下は佐賀県立九州陶磁文化館 鈴田由紀夫館長と、本展コーディネーターを務める美術史家の森谷美保氏の解説付き内覧会の備忘録。

展示は4章立て。最初の展示室I「万国博覧会と有田」。当時の万博で数々の賞を受賞した(現代の名工をもってしても再現不可能な)磁器が並ぶ。
上の画・中央、高さ1m85cmの「染付蒔絵富士山御所車文大花瓶」は、明治6年(1873)開催のウィーン万博に出展されたもの(現在は 有田ポーセリンパーク所蔵)。窯で焼くことができる、かつ自立できるギリギリのサイズだという。
本展フライヤーに使われている対の「色絵菊花流水文透台付大花瓶」も、透かし入りの華奢な台で自立しているのは驚異的な技法らしい。制作したのは後述する香蘭社の辻勝と判明しているが、江戸期において作者が"作品"に名を記すことはほぼなかった。
当時の日本人および現代の私たちでも日常的には使わないサイズの花瓶や大皿には、緻密で華美な装飾がびっしり。上の画・右奥の「色絵人物花鳥文コーヒーセット」は、あくまで当時の海外需要に応えたデザイン。

関係者いわく「新時代の喜びと興奮に満ちた」明治期の有田は、明治8年(1875)に日本陶磁器製造販売会社として僅か4名でスタートした香蘭社と、その4年後に分離独立した精磁会社がその多くを担った。第2章の展示も含め全体的にテンションは高め。
手前の対の大花瓶と耳付大壷はともに香蘭社の作。明らかに海外を意識したデザイン。これら明治期の工芸は、磁器以外でも、現代では再現不可能なものが多い。
香蘭社、精磁会社、さらに江戸期から"皇室御用"を務めた辻精磁社など、有田の各社は国内需要にも応えた。菊の御紋入りの染付洋食器は、宮中もしくは鹿鳴館で使用されたと推測される。
唐草の文様、大皿に至っては五芒星形と、正統な洋のデザインではないが、本展会場で目にすると、際立つシンプルさに思わずホッとする。
展示室IとIIを結ぶホールの展示では、当時の図案が添えられている。2匹の獅子がだまし絵的に描かれた牡丹大皿(制作:香蘭社)では、特に鑑賞の手助けに。なお、出展品の過半数を占める香蘭社は、現在も佐賀県内で操業中。明治期の図案を今日でも使っている。
第4章「近代有田の発展」(展示室II)
上の画・右:香蘭社「金彩菊花流水文洋食器」
左:特別出展 林谷五郎作「銀七宝孔雀尾花瓶」と図案解説、右:香蘭社作「色絵麒麟花喰鳥文鳳凰形トレイ・コーヒーセット」など、作品名からして相当に濃ぃい。
上の画・右の香蘭社作「色絵竹林文壺」は、蓋のつまみ部分の獅子が前脚で押さえている玉がクルクルと回転し、下の画・左奥の深川製磁作「色絵鳳凰文大花瓶」は、底の裏にも文様が施されている。そうと指摘されなければ判らぬこだわりっぷり。
創業から十余年で廃業する精磁会社に象徴されるように、僅か30年で隆盛を終える明治工芸。昔も今も日本人の好みの主流からは外れるのだろうが、欧米列強に追いつけ追い越せ的な時代の気概、創作の熱量が半端ではない。
泉屋博古館 分館での「明治有田 超絶の美  万国博覧会の時代」は9月24日(土)から12月4日(日)まで。
会期中、ギャラリートークなど関連イベントも各種開催される。
受付併設の売店では、香蘭社ブランドのひとつ赤繪町工房のグッズの「かや生地はんかち」も取り扱い。

泉屋博古館 分館
http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/






+飲食のメモ。
館内および界隈にもカフェは見当たらず。ホテルオークラ別館の[カメリア]か、泉ガーデン1Fの[PAUL 六本木1丁目店]は落ち着ける(平日は分煙タイムあり)

食事メニューもあるが、甘いも辛いも豊富な陳列ケースから選んで店内で食べることもできる。
左の画は「ガトー・ド・ブリュッセル・シュクレ」とアイスカフェ・オレ。(税込合計¥932ナリ)
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。
←最高に美味しい「パルミエ」(税別¥367)

PAUL(ポール)
www.pasconet.co.jp/paul/

特別展「驚きの明治工藝」@東京藝術大学大学美術館

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東京藝術大学大学美術館で開催中の特別展「驚きの明治工藝」を観に行く。来場者を迎えるのは全長3mの《自在龍》(作者:宗義、明治-昭和時代)

本展で見られる工芸作品の数々は、すべて台湾人宋培安氏のコレクション。明治期から昭和にかけて日本でつくられ、ほとんどが海外に輸出された品々であり、極めて貴重な"里帰り"展。台湾でも数年前に本格的に披露されたばかり。

展覧会図録によると、宋氏は今から26年前に(本展には出ていないが)象牙彫刻の《卵売置物》と出会ったことをきっかけに収集を始め、現在では金工、木工、漆工、陶磁、七宝、染織など約3,000点を所有。本展には約130点が出展された。
会場内は数点を除いて撮影可能。作者不詳ながら極めて精巧な《邯鄲夢根付》など、サイズの小さい作品もあるので、スコープ等があるとより楽しめる。

初めて自在置物を見たのは、5-6年前にリニューアルしたトーハク本館常設展だったか。明治期特有の超絶技巧品については、清水三年坂美術館を取り上げたBSのTV番組で聞き嚙り、実物を2014年の「超絶技巧! 明治工芸の粋」で見て度肝を抜かれた。泉屋博古館分館で現在開催中の企画展は有田の磁器に特化しているが、明治期の工芸はやはり面白い。隆盛が短期間で収束したぶん、エネルギーが凝縮している。
自在置物は龍、蛇、鯱、伊勢海老、烏など約20点を見ることができる。
《自在鯉》のアップ。
自在置物は甲冑制作の技が活かされたもので、動かすことができる。場内にはそのあたりの解説展示と自在蛇の動画もあり。
自在置物の蜻蛉、蝶、バッタ、蟷螂など。材は鉄または銀。
本展では元の素材が全く判別できない作品も多数。例えば、下の画の《蝉》など。クイズも出題されている。
正解は、牛角、木、銀の3つの材。
ちなみに宋氏は会場内でお気に入りをひとつ挙げるとすれば、こちらの《蝉》とのこと展覧会公式図録より)
宮本理三郎《春日 竹に蜥蜴》 は木に彩色、昭和期のもの。
この両隣にある雀と蛙も精巧。
第2章は「技巧を凝らす -どこまでやるの、ここまでやるか-」とタイトルされていたが、この《蝸牛付竹花入》なんぞはまさにそれ。蝸牛は陶製。 作者は諏訪蘇山。
海野勝泯《背負籠香炉》
作者不詳・無銘の《鷺》。材は木ではなく竹。 
恵順作の《山姥香炉》は、老婆の口から煙が出るという細工。に 

大島如雲 《置物狸》
目鼻立ちのみならず、接地面の肉球までもがキュート♪

特別展「驚きの明治工藝」会期は10月30日(日)まで。本会場終了後、細見美術館、川越市美術館に巡回予定。
なお、EV直結の同館3Fで10月16日まで開催中の「台東区コレクション展-日本絵画の源流、法隆寺金堂壁画・敦煌莫高窟壁画模写-」も見応えあり。さすがは藝大といった内容(こちらは撮影禁止)

特別展「驚きの明治工藝」
www.asahi.com/event/odorokimeiji/






+飲食のメモ。
東京文化会館2Fにある、上野精養軒が運営するレストランForestier(フォレスティーユ)でランチ。
カニコロやオムライスなどTHE洋食メニューの中から、開館当時からあるというアメリカ風広東料理「チャップスイ」を単品でオーダー(隣接する《国立西洋美術館》世界遺産登録記念を受け、ミニサラダ他が付く¥1,959の限定メニューもあり)
メニューリストに「お急ぎのお客様にお薦め」とあったように、オーダーして3分くらいで出てきた。洋風の"中華丼"。
おいしゅうございました。ごちそう様でした。

Forestier(フォレスティーユ)
www.t-bunka.jp/shop/shop_list.html

「杉本博司ロスト・ヒューマン」展@東京都写真美術館

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9月3日にリニューアルオープンした東京都写真美術館へ。英語名称が Tokyo Photographic Art Museumとなり、頭文字をとって「トップミュージアム」を新たな愛称に掲げている。
シンボルマークのデザインは田中義久氏、ロゴタイプは字游工房の鳥海修、岩井悠、宇野由希子の3氏がクレジットされている。

リニューアル・オープン/総合開館20周年記念として、「杉本博司 ロスト・ヒューマン Hiroshi SugimotoLost Human Genetic Archive」展を11月13日まで開催中。
2フロアに分かれた展示場内は撮影禁止。唯一、2Fのロビー展示の杉本博司作品「コメディアン」のみ可(下の画)
奥:「放電場」 2点 2009、手前:「地球儀(コメディー・フランセーズ舞台装置)1990

この日の晩、NHK-Eテレ「SWITCHインタビュー 達人達」で杉本氏と田根剛氏の対談が放送された。番組後半は3Fの展示「廃墟劇場」が対談場所(番組アーカイブ。その画を見ずに予備知識なく、杉本氏の作品世界にトリップできたのは幸いであった。衝撃度は雷の如し。

東京都写真美術館
https://topmuseum.jp/





+飲食のメモ。
リニューアルした東京都写真美術館の1Fに、[MAISON ICHI (メゾン・イチ)]が入ったのも重ねて幸いである。
よく利用する代官山店が本店かと思っていたら、西馬込が発祥の地で、ガーデンプレイスと恵比寿駅の中間に2号店があるらしい。

東京都写真美術館店では、代官山にはないベーグルのメニューがテイクアウト可で各種あり。

ランチメニューの中から「カニとブロッコリのキッシュ」をオーダー。数種類のパンがセットで付いて¥1,000+税ナリ。
ドリンク(¥400)とプチガドーは別メニュー。
片側ガラス張りで、テラス席もあり、これからの季節は良さそう。

MAISON ICHI(メゾン・イチ)
https://topmuseum.jp/contents/pages/cafe_index.html

「富山もよう展 in Tokyo」 – 富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい –

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同展は、テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏がデザインを手掛けた富山もようプロジェクトを紹介するもので、富山市のD&DEPARTMENT TOYAMAで今夏に開催された「富山もよう展 ー富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい。ー」の巡回展であり、最新版。

富山もようプロジェクトのスタートは2014年の8月。富山県民の殆どが購読しているという北日本新聞の130周年を記念し、8月1日から4日連続で、鈴木氏がデザインした"富山もよう"でラッピングされた朝刊が発行された。会場に置かれた閲覧用の現物で、併載された鈴木氏のインタビュー記事も確認できる。
立山連峰、白エビ、ガラス、水をモチーフにした4種で朝刊での展開は終了。県民の好評と、その後の自然な盛り上がりを受けて、五箇山の合掌造り集落、ライチョウ(雷鳥)、カイセン(海鮮)富山もようが追加された。昨年3月には北陸新幹線開業記念としてshinkansen柄が登場。今では倍の8種類に。
会場では、ファブリックのパネル(下の画・壁の展示)のほか、富山県下の企業やものづくりの担い手たちとのコラボレーションで誕生した各種プロダクト(参考商品を含む)も展示されている。
上の画・左:「shiroebi(白エビ)」の帯(×牛島屋

30日の夜、代々木上原のhaco galleryで開催されたトークショーで鈴木氏が語るには、富山もようをデザインするにあたって富山を何度か訪れたが、天候などに恵まれず、立山連峰も雷鳥も実際に目にすることができなかったという(鈴木氏のブログ「テキスタイル獣道」にもその際のエピソードが出ている:2015年11月14日更新「ライチョウに会いに」など)。それを申し訳なく感じたらしい現地の関係者がその都度、補うに余りある言葉を尽くしてイメージを伝えてくれたのだという。「見られなかったことが却って良かったのではないか」と鈴木氏。
例えばこの「shiroebi」の場合、ザルにあげられた茹でた白エビをイメージしたビジュアルなのだが、元となったのは、子供の頃から茹で白エビの皮むきを手伝わされて半ばウンザリしているとは言いながらも、白エビ愛・郷土愛に満ち満ちた地元民の言葉から生み出された。
トークショーには、富山もようプロジェクトのプロデューサーである小柴尊昭氏も登壇。小柴氏がプロジェクトを立ち上げた想いの背景には、絵柄の布1枚を生活の中に取り入れることで、日々の暮らしを彩り、気持ちを豊かにしてくれるフィンランドでの生活体験があるという。
プロジェクトが世に出て約2年。富山もようは、フロアマット(×北陸バロン美装、把手がダイカストで台座を兼ねるうちわ(×ナガエ、富山の薬売りの流れをくむ紙ふうせん(×富山スガキ、風鈴(×能作などに商品化されている。ガラス飛散防止フィルム三協アルミ、型染め和紙の名刺入れ(×桂樹舎なども検討中(アートディレクター:高橋理氏)
テキスタイルではなく、ガラスや樹脂など透明な地で展開される"鈴木マサルワールド"が新鮮。トークショーの席上、鈴木氏は「なんでもかんでも柄にすればいいとは思っていない。適材適所というものがある」と最初と最後に語っていた。 「新聞もそうだが、何気ないもの、なんでもないもの、例えば消えて無くなってちゃうようなものでやれたら面白いのではないか」とも。
トークショーに招かれたデザインジャーナリストの川上典李子氏が話の中で引用した「デザインとは、愛する人に花を贈るようなもの」というエットーレ・ソットサスの言葉が、富山もようにはふさわしい。サラの状態で2014年8月1日の富山県下にタイムスリップし、富山もように包まれた新聞を受け取りたかったと悔しそうだった川上氏の吐露に点頭。

「富山もよう in Tokyo」- 富山を誰かに贈るとしたら、こんなもようで包んでみたい -の会期は10月2日(日)まで。開廊は11:00〜18:00、会期中無休。

CASE GALLERY(ケースギャラリー)
www.casedepon.com/

富山もよう facebook
https://ja-jp.facebook.com/toyamamoyo/




+飲食のメモ。
トークショーが始まるまで、井の頭通り沿いのパティスリー[BIEN-ETRE(ビヤンネートル)]にて休憩。目当てはパフェだったが、かき氷をまだ提供していたので「檸檬カードとバナナヨーグルトソースのかき氷」をオーダー。バナナと檸檬のとりあわせは初、アリですわこれ。

ドリンク付きで¥1,400ナリ(巨大になった分、2年前より上がったか)
とっても美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

BIEN-ETRE(ビヤンネートル)
http://bien-etre-patisserie.com

公式facebook
https://ja-jp.facebook.com/BienEtrePatisserie

アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair”

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1946年に誕生した「ドムスチェア」の70周年を記念する「アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair”」が、東京・南青山のスパイラルガーデンで開催される(主催:アルテック
以下の備忘録は、開催前日の内覧会での見聞と配布資料に拠る。


ドムスチェアをデザインしたのはイルマリ・タピオヴァーラ(1914-1999)。フィンランドを代表するデザイナーの巨匠も当時は32歳。祖国は対ソ連戦で荒廃し、復興途上という時期である。学生寮ドムスアカデミカの内装設計の一環として誕生したこの椅子は、やがて輸出され、アメリカでは「FINNCHAIR(フィンランドのチェア)」の名で販売された。1951年にはミラノトリエンナーレで金賞を受賞、今日ではフィンランドにとって重要なデザインアイコンのひとつに数えられる椅子に。
寮生が部屋で本を読む際にと考案されたチェアに腰掛けてみると、局面の背もたれが吸い付くように身体にピタッとはまる。短く思える肘掛けも違和感はない。
機能美のヒミツ、タピオヴァーラのデザイン精神、ドムスチェアを世に送り続けてきたアルテックの歴史など、背景の説明するものは会場に表立って見当たらない。入場時に渡される配布物で補完される。タピオヴァーラが遺した「A CHAIL IN NOT JUST A CHAIR, IT IS THE KEY TO THE WHOLE INTERIOR.」という言葉に基づいて、モノに触れて、感じてほしいというコンセプトが会場全体を貫く。
奥の吹き抜け空間では、フィンランド人・日本人の計4組が語ったドムスチェアへの想いから紡ぎ出された4つのストーリーがインタラクティブに展開される。ドムスチェア誕生の由来から、学生が使うノートの見開きがモチーフに。会場デザインは、フィンランドと東京に拠点をおく、ヨプス&ティモ・ラムの両氏によるクリエイティブスタジオ MUSUTA
各ブースに添えられたテキストはシンプル。どこの誰がドムスチェアについて語っているのかは、配布資料の冊子(これもノート)を開いて初めてわかる。掲載文は、現地工場や、ドムスアカデミカのかつての住民など関係者への取材をもとに、編集者の猪飼尚志氏がまとめた。
本展に先駆け、ドムスチェア70周年記念ポスターをデザインしている皆川明氏は、ドムスチェアの印象を「Little Girl」と形容。小さな肘掛け部分が、あどけない顔をした少女のおさげ髪に見えたのだという。
スパイラル1Fのショップ[MINA-TO]では会期中、皆川氏がデザイナーを務めるミナ ペルホネンの生地を背と座面に張った特別仕様を限定70台で販売中。柄は8種類。
5つのノート型ブースをただ見てまわるだけでは、意図された展示構成の半分も味わえない。ブースごとに置かれた、貴重なヴィンテージを含むドムスチェアに腰を下ろすと、MUSUTAが用意したインタラクティブなデザインを体感できる。
4つのストーリーを覗き込む、ドムスを抽象化したかたちの"鍵穴"にスポットが当てられたこちらのブースでも同様に、鍵穴にタッチして初めてそれぞれのストーリーが動き出す。
ノイズ部分はMUSUTAのヨプス・ラムさんのハンドドローイング。
なお、MUSUTAの母国でもあるフィンランドには、"鍵穴は人生を覗く窓"ということわざがあるそうだ。
Artek社長のマリアンネ・ゴーブル氏、皆川氏、猪飼氏が出席した特別トークは立ち見でぎっしり。最後に登場したMUSUTAのヨプス&ティモ・ラムの両氏は「アルテックはフィンランド人にとって大事なアイコン。そのアルテックを代表する椅子を今回展示するにあたり、映像や音など現代的な解釈を加味して表現した」と述べる(ティモ氏の親御さんはドムスアカデミカの学生だったというエピソードに場内沸く)
アルテック ドムスチェア展覧会 ”the chair ≠ a chair” は10月8日(土)から16日(日)までの会期。入場無料。

アルテック ドムスチェア展覧会
”the chair ≠ a chair”(ザ チェア イズ ノット ア チェア)
www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_2050.html





+飲食のメモ。
内覧会開催日の晩、早仕舞いした1FのSpiral Cafeでパーティが開催された。アアルトのSIENA柄を敷いた上にフィンランドをイメージしたフィンガーフードのおもてなし。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

なお本展会期中、スパイラルガーデンにて朝9時から、北欧ジャーナリストを講師に迎えて、暮らしをはぐくむフードワークショップ「北欧・フィンランドの豊かなブレックファースト」も3回にわたって開催される(有料、要予約)
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